2007年1月 3日 (水)

2006年「PMコンピテンシーを高める一冊の本」で取り上げた本

一覧表を作るに当たって、

 ・プロジェクトマネジメント
 ・ジェネラルマネジメント
 ・リーダーシップ(チームマネジメント、組織論などを含む)
 ・プロフェッショナル
 ・人間力
 ・人材開発
 ・企業もの、開発もの
 ・思考法・仕事術

の8つのジャンルに分けた。

・のあとは記事のタイトル。
・の代わりに★があるのは各ジャンルで最もよかったと思う本。

【プロジェクトマネジメント】

・プロジェクトレビュー
 菊島靖弘「実務で役立つ プロジェクト・レビュー

・プロジェクトマネジメントベストプラクティス
 ジョリオン・ハローズ「プロジェクトマネジメント・オフィス・ツールキット」 

・リスクマネジメントの実践
 John McManus(富野壽監訳)「ソフトウェア開発プロジェクトのリスク管理

・PMBOKの次はこれだ!
 Project Management Institute「The Standard for Portfolio Management

・プロジェクトミーティングを改善しよう
 中西真人「実務で役立つ プロジェクトファシリテーション

・マネジメントが先か、プロジェクトマネジメントが先か
 林伸二「組織が活力を取りもどす―プロジェクトの立案から監査まで

・プロジェクトの危機を脱出する
 デイビッド・ニクソン、スージー・シドンズ(中嶋秀隆訳)
プロジェクト・マネジメント 危機からの脱出マニュアル―失敗ケースで学ぶ

・プロジェクトファシリテーション教本
 岡島幸男「プロジェクトを成功させる 現場リーダーの「技術」

・体系を知り、スキルポートフォリオを作る
 プロジェクトマネジメント協会(PMI東京支部訳)
  「プロジェクトマネジメント プリンシプル

・ぴったりサイズのプロジェクトマネジメント
 カーティス・R・クック(中西全二訳)「実務で役立つプロジェクトマネジメント

・これは使える!PMBOKのITプロジェクトの適用の具体的方法
 山本需「PMBOK第3版を活用するITプロジェクトマネジメントへの適用と実践

★プロジェクトマネジメントはサイエンスかアートか
 スコット・バークン(村上 雅章訳)
 「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法

・PMツールをベースにした実践的PM力を身につけよう
 岡野智加
  「Microsoft Projectでマスターするプロジェクトマネジメント 実践の極意
  

【ジェネラルマネジメント】

・プロジェクトマネジメントは必要悪か
 ジェームズ・フープス(有賀裕子訳)
  「経営理論 偽りの系譜―マネジメント思想の巨人たちの功罪

・コスト削減がプロジェクトを元気にする
 村井哲之「社員のやる気に火をつける! コスト削減の教科書

・MOTはPMの必須科目!~
 技術経営コンソーシアム監修、三菱総合研究所編集「標準MOTガイド」
  https://mat.lekumo.biz/books/2006/02/post_4aba.html

・PMの必須科目 テクノロジーマネジメントの決定版~
 古田健二「第5世代のテクノロジーマネジメント―企業価値を高める市場ニーズと技術シーズの融合

・現場を動かすマネジャーのノウハウ~
 デューク・コーポレート・エデュケーション(嶋田水子訳)
  「現場を動かすマネージャーのための『人を活用する技術』

・マネジメントの原理を学ぼう
 D・クイン・ミルズ(アークコミュニケーションズ監修、スコフィールド・素子訳)
   「ハーバード流マネジメント「入門」

・プロジェクトの目的マネジメントの重要性を知る
  和田浩子「すべては、消費者のために。―P&Gのマーケティングで学んだこと。

・プロジェクトの品質は顧客が決める
 クリス・ディノーヴィ、J.D.パワーIV世(蓮見南海男訳)
   「J.D.パワー 顧客満足のすべて

・アメーバ型のプロジェクトを作ろう!
 稲盛和夫「アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役

・おとなのマネジメント論
 天外伺朗「マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ

・技術者のためのマネジメント入門
 伊丹敬之, 森健一編「技術者のためのマネジメント入門―生きたMOTのすべて

★プロダクトマネジャーって何をする仕事!?
 Linda Gorchels(新井宏征訳)「プロダクトマネジャーの教科書
  

【チームマネジメント、リーダーシップ&組織論】

・PMのためのとっておきの1冊
 石田淳(小阪裕司監修)「リーダーのためのとっておきのスキル

・実務家に実感として分かる組織論
 野田稔「組織論再入門―戦略実現に向けた人と組織のデザイン

・役人とプロジェクトマネジャーの類似性
 久保田勇夫「役人道入門―理想の官僚を目指して

・リーダーがいつも考えるべきことは何か?
  マーカス・バッキンガム(加賀山卓朗訳)
 「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと

・プロジェクトを熱狂させよう!
 デビッド・シロタ(スカイライトコンサルティング訳)
  「熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素

・リーダーシップを鍛えよう!
 保田健治「ケースで鍛える 人間力リーダーシップ

・リーダーの悪習慣
 山中英嗣「なぜか思考停止するリーダー―MBAホルダーに見るリーダーの落とし穴

・プロジェクトリーダーシップ~
 ジェフリー・クレイムズ(沢崎冬日訳)
  「ジャック・ウェルチ リーダーシップ4つの条件

・サーバントリーダーシップこそ、PMリーダーシップ~
 高橋佳哉、村上力「サーバント リーダーシップ論

・プロジェクトの成功は支持してくれるステークホルダできまる~
 サミュエル・ バカラック(坂東智子訳)「統率力。

・7つの習慣を具体的に実践する~
 スティーブン・コヴィー(フランクリンコヴィージャパン訳)
  「ビジネスに活かす12のストーリー―「7つの習慣」実践ストーリー<1> 「7つの習慣」実践ストーリー-希望とインスピレーションあふれる- (1)
  

・リーダーシップを開発するには~
 D・クイン・ミルズ(アークコミュニケーションズ監修、スコフィールド・素子訳)
  「ハーバード流リーダーシップ「入門」

・リーダーは君だ!~
 新里聡「実践リーダーシップ「リーダーは君だ!」―リーダーシップ実践のための12ステップ

・リーダーシップを行動で解説
 グロービス・マネジメント・インスティテュート「MBAリーダーシップ

・究極の学習理論
  ピーター・センゲ他(野中郁次郎, 高遠 裕子訳)「出現する未来

・コミュニケーションミスが死を招く
  是本信義「組織のネジを締め直す鉄壁の「報・連・相」

・物語でプロジェクトを動かす
 平野日出木「「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法

・シンボルでリーダーシップを!~
 ボイド・クラーク、ロン・クロスランド(田辺希久子訳)
  「リーダーの「伝える力」

・西遊記に学ぶチームマネジメント
 成君憶、呉常春(泉京鹿訳)「水煮西遊記    中国ビジネス思想の源流を知る

・スコープクリープに悩む人に
 福田秀人「見切る! 強いリーダーの決断力

★「個織」(こしき)
 眞木準「ひとつ上のチーム。

・メンバーの上司として心得るべきこと
 嶋津 良智「あたりまえだけどなかなかできない 上司のルール

・強い個とリーダーシップ
 平尾誠二「人は誰もがリーダーである

【プロフェッショナル】

・ビジネス・プロフェッショナル
 大久保幸夫「ビジネス・プロフェッショナル―「プロ」として生きるための10話

★この仕事は他の国ならもっと安くやれるだろうか~
 ダニエル・ピンク(大前研一訳)
  「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

・あなたはプロフェッショナルだといえるか?
 波頭亮「プロフェッショナル原論

【人間力、ヒューマンスキル】

・人間力をつける
 ハーヴィ・マッケイ(栗原百代訳)
  「ビジネス人間学―「超」のつく成功者になる94の法則

・PMよ、第1感を鍛えよ!
 マルコム・グラッドウェル(沢田博、阿部尚美訳)
     「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

・正しいメンタリングの仕方を身につける
 渡辺三枝子、平田史昭「メンタリング入門

・はぐらかしの達人になろう
 梅森 浩一「「はぐらかし」の技術

・面目と調和を保つ交渉術~
 ジム・トーマス(安達かをり訳)「パワー交渉術―絶対に成功する21のルール

・説明できるPMを目指す
 鶴野充茂「あたりまえだけどなかなかできない説明のルール

・PMが定着しにくい理由が理解できる本~
 マリヨン・ロバートソン「なぜ「思い込み」から抜け出せないのか

★シロアリ被害を防げ!
 マーク・エプラー(ルディー和子訳)「その無意識の習慣が部下とあなたをダメにする

・ハーバード流コミュニケーション作法
 Harvard Management Update編集部「対話力

【人材開発、組織開発】

・最高のゴールを目指す
 マイケル・レイ(鬼澤忍訳)「ハイエスト・ゴール―スタンフォード大学で教える創造性トレーニング

・次世代プロジェクトマネジャーの育成をまじめに考える
 佐藤達男、伊藤英雄「プロジェクトマネージャ育成法―ITプロジェクトを成功させる人材育成

・プロジェクトに適した組織活性化方法論
 デビッド・L.クーパーライダー「AI「最高の瞬間」を引きだす組織開発―未来志向の“問いかけ”が会社を救う
  

・直観力に優れたマネジャーを育てる
  児玉光雄「天才社員の育て方

・PROJECT MANAGERS NOT PMPs
  ヘンリー・ミンツバーグ(池村千秋訳)
   「MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方

★効率よく学ばせ、効率よく業務に活かす
 中原淳 (編集)、荒木淳子、北村士朗、長岡健、橋本諭「企業内人材育成入門

・個性を捨てろ!型にはまれ!
 三田紀房「個性を捨てろ!型にはまれ!

【企業もの、開発もの】

・ライブドアはプロジェクトである!
 株式会社ライブドア「livedoor?何だ?この会社

・サントリー版プロジェクトX 伊右衛門開発物語~
 峰如之介「なぜ、伊右衛門は売れたのか。

・理屈はいつも死んでいる
 高原慶一朗「理屈はいつも死んでいる

・ヤクザに学ぶプロジェクトマネジメント
  山平重樹「ヤクザに学ぶ組織論

★誰もできないことをやるから面白い
 岡野雅行「世界一の職人が教える仕事がおもしろくなる発想法―結果が出ない人はいない

【思考法、仕事術】
・あるあるマーフィー探検隊!
 リチャード・ロビンソン(小林由香利、杉浦茂樹、服部真琴訳)「やっぱり、あるある マーフィーの法則

・リスクマインド向上のための必読書
 坂井優基「パイロットが空から学んだ危機管理術

・和して同ぜず
 T.W. カン「日本企業改革開放論―中国人の上司とうまくやれますか

・ベタなマネジメント論
 芳晶せいじ「人とカネはこうして掴め! 夜王塾

・持論でやる気を自己調整する
 金井壽宏「働くみんなのモティベーション論

・業務の生産性を上げる習慣
  デビッド・アレン(森平慶司訳)
   「仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法

・非連続思考でピンチを乗り切る
 リュック・ド・ブラバンデール(森澤篤監訳、秋葉洋子訳)
  「BCG流 非連続思考法 アイデアがひらめく脳の運転技術

・独りよがりからの脱却
  出口知史「論理思考の「壁」を破る

・仮説を操れないとPM失格!?
 内田和成「仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

・優秀なPMはシナリオを書くのがうまい~
 高杉尚孝「問題解決のセオリー―論理的思考・分析からシナリオプランニングまで

★人やチームの問題解決能力を向上させ、問題を解決する~
 ブレア・ミラー、ロジャー・ファイアスティン、ジョナサン・ヴィハー(弓野 憲一、西浦 和樹、南 学、宗吉 秀樹訳)「創造的問題解決―なぜ問題が解決できないのか

・ストレスを推進力に変える方法
 サルバトール・マッディ、デボラ・コシャバ(山崎康司訳) 「仕事ストレスで伸びる人の心理学

・目を覚ませ!いい仕事こそ、いい人生だ~
 スクーリングパッド「ビンタ本」編集制作チーム、黒崎 輝男「ビンタ本

2007年1月 2日 (火)

今年のテーマ

今年のテーマのひとつを「抜く」にした。

「手抜き」など抜くというイメージはビジネスの中ではあまりよいイメージがない。無駄になってもよいので一生懸命やるのがよいという既成概念からなかなか抜け出せない。

「抜く」というのをもう少し、ポジティブに捉えてみたい。

そう思って、新年早々、上原先生の「抜く技術」を読み直した。ついでに「ビジネス書の杜」に書評も書いた。こちら

この本は基本的には省資源エネルギー開発の経験をまとめたものだが、そこから得られた知見をベースにしてさまざまな思考をまとめたものである。

この中に大変、重要なことが書いてある。それは

抜くことは抜きっぱなしではだめ。抜いたものを利用する仕組みを同時に考えておく必要がある

ということだ。肝に銘じておきたい。

2007年1月 1日 (月)

持論、あるいは、自論

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僕にとって「ひとつ上のプロマネ。」とは

 「持論に基づくプロジェクトマネジメント

あるいは

 「持論を持つプロジェクトマネジャー

である。

   持論(あるいは自論)はpractical theory in useという

経験をすることはとても大切だ。しかし、経験をするだけで、理論化をしないのであれば、そんなしんどい経験はしない方がマシだ。

歯を食いしばらなくてはならないプロジェクトでも、持論の構築に役立つと思えば、耐えられるし、積極的にできる。持論にはそんな役割もある。

今年は持論を作ってみませんか?

2006年12月31日 (日)

ブログ名が変わります

Pm

2007年より、 「PM養成マガジンブログ」は

 ひとつ上のプロマネ。

というタイトルに変わります。引き続き、お付き合いください。

2006年12月26日 (火)

プロダクトマネジャーって何をする仕事!?

4798111929_01__aa240_sclzzzzzzz_v3663775_1 Linda Gorchels(新井宏征訳)「プロダクトマネジャーの教科書
   

いよいよ、The Product Manager's Handbookの邦訳が登場した。原書は1976年に出版され、第3版になる。

日本には、製品開発マネジメントや、MOTの本はたくさんあるが、プロダクトライフサイクル全体をマネジメントするプロダクトマネジメントの本はない。その意味で貴重な一冊。

欧米企業にはプロダクトマネジャーという職種の求人は多いし、普通の企業であれば、そのような職位をおいている。ところが日本企業には、プロダクトをライフサイクル全体に渡って責任と権限を持つ職位をおいている企業は珍しい。

その意味で概念そのものが認知されていないが、企業には必要不可欠な職種である。

ゴールドラットの「ザ・ゴール」が出版されたときに、大騒ぎになったが、この本の出版はそれ以上のインパクトだといってよいだろう。

ぜひ、読んでみよう。

Forest_1  「ビジネス書の杜」の書評はこちら

2006年12月25日 (月)

富士通版 プロジェクトマネジメントの成功法則

PMAJで「ITプロジェクトマネジャー成功の条件」というSIG(研究会)に参加している。副会長の佐藤義男さんがやられているSIGである。先日、SIGのミーティングがあり、富士通の近藤さんから面白い話を聞いた。

富士通は最近プロジェクトマネジメントで非常に成果をあげている。日本のSIベンダーは10年くらい米国のSIベンダーに遅れを取っているという説があるが、富士通だけはそこから頭一つ抜け出した感じがあって、おそらく5年くらいまで挽回しているのではないかと思う。

さて、その近藤さんの話だが面白いのは、近藤さんはプロジェクトマネジャーに必要な資質の中で50%は技術的なスキルだといわれている点だ。これは一般的に言われている認識とはだいぶ異なる。

近藤さんの言われる6つの成功法則は以下のようなものである。

1)体制
2)システム化技術を初期の段階で決めることができる
3)業務設計(要求)の聞き出し方
4)WBS、計画を詳細に書く
5)モチベーションの向上マネジメント
6)無謀なプロジェクトを止める

近藤さんの体験によると1)~3)がきちんとできると大多数のプロジェクトはうまくいくそうだ。これが、技術50%の根拠らしい。

なるほどなと思った。1)~3)は、いわゆる技術ではなく、開発マネジメント技術である。プロジェクトマネジャーに技術が必要かどうかはいろいろな説がある。しかし、開発マネジメント技術が必要であるというのは異論がないところではないかと思う。開発マネジメントができないプロジェクトマネジメントはプロジェクトはマネジメントできないだろう。

これはSIに限ったことではない。例えば、商品開発であればISOをうまくまわせない人にはプロジェクトマネジメントはうまくできないのと同じことだ。

近藤さんの話は他にも含蓄がある。1)~3)だけではできないプロジェクトもあるそうだ。これについては、4)に取り組めとのこと。さらにそれでもだめな場合には5)が必要だという。1)~3)でできるかどうかは、プロジェクト初期のあいまい性に大きく依存する。あいまい性が大きい場合には計画を詳細にしろというのはよく分かる。また、それすらできないようなケースは「ひと」の持っているポテンシャルを引き出すことを考えろというのもそのとおり。

それでも危いと思われるものはやらない。非常に納得性が高い。

プロフェッショナルのための業界団体 PMI

ある方から、「プロフェッショナル」という記事に批判コメントを戴いた。掲載を許していただけなかったので、できるだけ、ご本人のコメントに触れない形で反論をしておく。

まず、PMIという組織が何のためにあるかを考えてほしい。PMI(Project Management Institute)ができたのが1969年、アポロが月面着陸に成功した年である。この当時はPMIというのはプロジェクトマネジメントの普及団体であった。しかし、1984年、PMP(Project Management Professional)制度ができて、PMIにはもう一つの性格が加わる。それは、プロフェッショナルのための業界団体である。

プロフェッショナルのための業界団体をもう少し正確にいうと、プロフェッショナルの倫理を保証する団体である。このために、そのような団体は、プロフェッショナルの倫理規定を設け、その倫理規定が遵守されるように監視を行う。ピンと来なければ、弁護士会だとか、医師会といった業界団体を思い浮かべてもらうと分かると思う。

ここでもう一つ注意すべきことがある。それは、プロフェッショナルの活動を規定する「法律」があるかどうかだ。医師にしろ、弁護士にしろ、そのような法律があってそれによって活動倫理が規定されている。いわゆる「士業」だ。倫理というとこのような法律遵守を想像するかもしれないが、これは「人を殺傷してはならない」というレベルの話であって、倫理として議論すべきことではないだろう。法律を犯すことは犯罪であり、倫理感云々という問題ではないように思う。倫理とはプロフェッショナルの責任ともいうべきものだ。これはどのような業界のものでもだいたい3つある。

(1)業務とプロフェッショナルであることに対する真摯な態度
(2)業務責任を果たすために必要な専門性の維持
(3)自らが属するプロフェッショナルの地位向上への貢献

の3つだ。

PMIがプロフェッショナル責任として提示しているものを見るとこの点はよく分かる。以下の5点である。

(a)個人の健全性(真摯さ)とプロフェッショナリズムの確立
(b)個人の能力(コンピタンス)の増進
(c)専門領域の知識集積への貢献
(d)利害関係者間の調整
(e)チームや利害関係者との協調関係

上の3つの項目との関係は

(1):(a)、(d)、(e)
(2):(b)
(3):(c)

といったところだろう。

ここでよく考えてほしいがいくつかある。(d)とか(e)というのはプロジェクトマネジメントスキルだと考えているPMPが多いが、そんなに甘いものではない。これらはスキルではなく、プロフェッショナルとしての責任である。

次に、(b)個人の能力(コンピタンス)の増進という項目があるが、プロフェッショナルであれば、時間がないといういいわけはすべきではない。プロジェクトマネジャーとして従事することも、研修を受講することも同等な重要性を持つ仕事である。この点がよく分かっていないPMPが増えているのは嘆かわしい。

また、時間をとってレッスンズラーンドを行うことは、組織への貢献がない、あるいは評価されないとしてもプロフェッショナルとして行うべきである。(c)専門領域の知識集積への貢献として、他のプロフェッショナルのために知識集積をすると、めぐりめぐって、また自分に戻ってくる。

では、自分はプロジェクトで忙しいのでそれどころではない。これらのプロフェッショナル責任を果たせないと思ったときに、何をすべきか。選択肢は2つある。

ひとつは、自身のタイムマネジメントをより真剣に行い時間を作るという道だ。これはドラッカーがプロフェッショナルの条件で非常に重視しているポイントである。

もう一つは何か。いうまでもないと思うので、書かないことにする。

2006年12月22日 (金)

PMサプリ56:わが身に課す厳しい掟

プロフェッショナルのプロフェッショナルたる本質はわが身に課す厳しい掟にある(波頭亮)

【効用】
・PM体質改善
  アカウンタビリティ向上、自信をつける、実行力向上、自己統制力アップ、
・PM力向上
  プロ意識の向上
・トラブル緩和
 モチベーション向上、弱気克服、プロジェクトにおける辛さの克服

【成分表示】

◆神に誓う自らの使命
◆やってはならないこと~不正
◆やってはならないこと~期待を裏切る
◆好川の考えるプロフェッショナルの条件

サプリを服用したい方はこちら

2006年12月19日 (火)

あなたはプロフェッショナルだといえるか?

波頭亮「プロフェッショナル原論
   

プロフェッショナルであるといえるには

1)プロフェッショナルは極めて高度な知識や技術に基づいた職能を有していなければばらない(職能に関する規定)

2)プロフェッショナルの仕事は特定のクライアントからの特定の依頼事項を解決してあげるという形態をとる(仕事の形式に対する規定)

3)プロフェッショナルはインディペンデント、すなわち職業人としての独立した身分である(身分に関する規定)

といった要件が必要だそうです。

非常に読みやすく、分かりやすいプロフェッショナル論です。プロフェッショナルとして仕事をしている人はもちろんですが、プロジェクトマネジメント「プロフェッショナル」の方も、ぜひ、読んでみましょう。

PMIのプロフェッショナル論とは一味違うあなたのPM道が見えてくるかも!

Forest_1  「ビジネス書の杜」の書評はこちら

2006年12月17日 (日)

プロフェッショナル

コンサルタントの波頭亮氏の書いたプロフェッショナル論「プロフェッショナル原論」の中に、以下のようなフレーズがある。

プロフェッショナルという言葉を聞いてまず思い浮かべるのは常人の域をはるかに超えた知識や技術の凄さであろうが、実はプロフェッショナルのプロフェッショナルたる本質は神に誓う自らの使命であり、わが身に課す厳しい掟にあるのだ。

昨年から、今年にかけてプロフェッショナルとは何かを問われる事件がたくさんあった。昨年のマンション強度偽装、粉飾決算、インサイダー取引、病気の臓器移植、すべて、プロフェッショナルが絡んでいる。

僕がプロフェッショナルであることを意識しだしたのは、技術士という資格をとってからだ。大学院に通ったときに、プロフェッショナルの研究をした。医師、看護婦、エンジニア、研究者、会計士、弁護士、弁理士などさまざまな人にインタビューをし、プロフェッショナルの本質を見極めようとした。その活動の中で得られた結論が波頭氏の結論とまったく同じものだった。

プロフェッショナルにとってもっとも大切なものは「倫理観」である。これを波頭氏は「神に誓う自らの使命であり、わが身に課す厳しい掟」と呼んでいる。今年は、オーム真理教事件が結審したが、この事件はプロフェッショナルとは何かという観点からも考えさせられる点が多かった。凄い知識や技術を持っている人が、その活用方法や研鑽において間違った方向性を持ってしまうと、社会的に非常に大きな脅威になる。

つい最近、Winyの作者に有罪判決が出た。即座に上告したようだ。この事件は、著作権の観点からいえば難しい部分があると思うが、一つはっきりといえることは、作者はプロフェッショナルではないことだ。ハッカーであっても、プロフェッショナルではない。

日本にもプロスポーツはたくさんある。しかし、プロフェッショナルを感じさせる人は多くない。サッカーだと三浦和良、中田英寿など数名。あとは、すばらしいファンタジスタかもしれないし、ストライカーかもしれないが、プロフェッショナルは感じない。

プロフェッショナルの研究をしたときに、

僕がやっていることは誰もわからない。ゆえに、自分自身がきちんとした倫理観を持って活動をしていくことが重要だし、それを無くすと自分自身の存在は許せないものだと思う

といったお医者さんがいた。まさにそういうことだろう。

さて、プロジェクトマネジメント「プロフェッショナル」の方たち、倫理感って十分ですか?倫理観でもっとも重要なことは、反社会的な考え方をしないといったことではなく、自身の専門性を常にプロフェッショナルであるに相応しいレベルに保っているかです。

PMstyle 2025年9月~12月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。