現場主義の真髄
高原慶一朗「理屈はいつも死んでいる」、サンマーク出版(2006)
お奨め度:★★★★1/2
ユニ・チャームを創り上げた高原慶一郎会長の現場論。自らの考え、ユニ・チャームの社員の考えなど、豊富なエピソードを交えながら、非常にインパクトの強い本になっている。
最近、現場の重要性を説く人は多い。
が、現場をイメージだけで捉えている人も少なくない。現場主義をいうからにはもっとも重要なことは、先入観を持たず、すべてを現場から得ることである。
中村先生は臨床の知という概念を唱得られた。エスノグラフィーに熱心に取り組んでいらっしゃる経営論の先生も多い。現場主義というのは、このような活動のように、現場から謙虚に学ぶことである。
臨床の知
https://mat.lekumo.biz/books/2005/08/post_73ea.html
にも関わらず、現場のイメージを「適当に」作り上げてしまっているケースは多い。コンサルティングをやっていて、「現場ではこうやっている」といわれて、実際に調査するとそんなことはないという経験は結構多い。要するに、現場マネジメントを行うような立場の人が、現場を自分の主張の道具に使っているようなケースが多いのだ。そのようなにおいのする本も多い。
この本は、そんな偽者の現場主義を喝破するようなことがたくさん書いてある。
例えば、ユニ・チャームの話で商品開発を担当している男性社員が、生理用ナプキンをつけて、生活するといったエピソードが出てくる。まさに肌で感じてているわけだ。現場から学ぶというのはまさにこういうことだろう。
この本には、このような現場重視経営のための金言があちこちにちりばめられている。すばらしい本だ。
1章 本質を突く「勘」は現場から(理屈ではなく、「肌で感じる」
自分を変える「一個のネジ」が拾えるか ほか)
2章 仕事に心を投げ入れる(心まで深入りしてこそ仕事が本物になる
やりたいことを探すより、やるべきことに没頭してみる ほか)
3章 体ごとぶつかって人を育てる(「間違っても、自分のことを心配する上司にはなるな」
「私」のない人間は伸びない ほか)
4章 「理屈を超える力」を育む生き方(クリーニング店のジレンマ
「給料は誰が払っているか」を忘れない ほか)
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