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2020年10月 7日 (水)

組織文化をつくる実践的ガイド

4799326686

唐澤 俊輔「カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2020)

(kindle)https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08DCGTH2Z/opc-22/ref=nosim
(紙の本)https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799326686/opc-22/ref=nosim

お薦め度:★★★★★

 

 

 

 

 

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◆はじめに


ビジネスモデルについてフレームワーク化し、その構築方法をまとめた一冊。組織開発に非常に役立ちそうな一冊。

本書では、

どんなに優れたプロダクトやサービスを開発しても、有利な条件で資金調達を行うことができても、あるいはどんなに優れた人を採用したとしても、ミッションを果たすことが難しく、結果としてビジョンを実現することもできない。重要なのは、事業と組織の両輪としてうまく回すことだ。事業についてはビジネスモデルをフレームワークと活用し、回しているが、組織についてはフレームワークもなく、なんとなく「人を集めただけ」であることが多い。

◆ビジネスモデルとカルチャーモデル

このような問題意識の元、組織を回すためには、組織文化が重要で、カルチャーモデルというフレームワークを持ち込むというもの。ビジネスモデルもカルチャーモデルも、ミッションを実行するために不可欠なものだと位置づけられている。

事業については、事業と組織の両輪を働かせるための仕組みとして

・Proposition(顧客への提供価値)
・Business development(ビジネス開発)
・Product development(プロダクト開発)
・Strategy(事業戦略)
・Value chain(バリューチェーン)
・Promotion(プロモーション)
・Sales(セールス)

の7つの要素からなるモデルを提唱している。このモデルによってミッションをオペレーションに落とし込む仕組みを提案している。

一方、カルチャーモデルは、経営活動のモデルであるマッキンゼー・アンド・カンパニーの「7S」を参考に、

・Stance(組織としての在り方)
・Shared value(行動指針)
・Structure(組織の構造・形態)
・System(制度)
・Staff(人の採用や育成)
・Skill(組織としてのスキル)
・Style(組織風土)

の7つの要素からなるモデルになっている。これから分かるように、マッキンゼーの7Sにおいて、Strategyはビジネスモデルに入っており、その代わりにStanceが入っており、この要素が自社のカルチャーの方向性を決めるとしている。


ここで興味深いのは、マッキンゼーの7Sモデルは本質的にはマーケティングのモデルである。そして、ビジネスモデルではなく、カルチャーモデルがマッキンゼーの7Sモデルにしているのは、カルチャー構築の活動をマーケティングとしてみていることである。これは、あとで述べるように、カルチャーの浸透にコトラーがマーケティング4.0で提唱している5Aを応用していることと整合している。

◆カルチャーをつくるプロセス

カルチャーをつくるプロセスは、

(1)現状のカルチャーを棚卸する
(2)ビジョン・ミッションを設定する
(3)カルチャーの方向性を決める
(4)カルチャーを言語化する
(5)カルチャーを浸透させる

(1)、(2)はよいとして、本書では、カルチャーモデルの設計の指針として、企業経営を

・カリスマリーダー経営
・チームリーダー経営
・複数リーダー経営
・全員リーダー経営

の4つに分け、それぞれに対して、Stance(組織としての在り方)をどのようにすればよいかを提案し、実際にそのようなスタンスでうまくいっている例を解説している。

◆言語化

さらに言語化では、マクドナルドやメルカリで、著者が行った経験を活動の流れに従い、その中から、ポイントをピックアップし、それについて詳細なをしている。例えば、マクドナルドだと、ポイントとして、

―一人の若手社員の声からカルチャーが変わる
―ワークショップを通じてカルチャーを言語化する
―ボトムアップでカルチャーを言語化し当事者意識を持たせる

といったことと取り上げ、その上で、7Sで分析している。メルカリについても同様だ。

―元からある「ビジョン・ミッション・バリュー」を疑ってみる
―細かく定義する範囲と解釈の余地を残す範囲を分ける
―社員一人ひとりが実務的に使えるレベルにまで言語化する
―カルチャードック

などである。さらにこれらから、言語化する際の一般的な注意事項をピックアップしている。本書の中ではこの部分が圧倒的に面白いし、役立つだろう。

◆浸透


そして、最後は浸透である。浸透の活動では、ピープルマネジメントを通じて実行、浸透していくというアプローチをとっている。そして、浸透には上で述べたようにコトラーの5A理論を使っている。

5A理論はマーケティング活動を

・認知(Aware)
・訴求(Appeal)
・調査(Ask)
・行動(Act)
・推奨(Avocate)

の5つに分け、それぞれについて、

・顧客行動
・タッチポイント(接点)
・顧客の感想

の3つの視点から組み立てようとするものだが、本書では、このプロセスに従い、ぽイープルマネジメントをどのように進めていくかを詳細に、例を示しながら解説している。

本書を読んでみて、一つ曖昧なままになっていると感じたのは、カルチャーの定義だ。カルチャーは組織文化とは違うと述べられているが、本書のイメージしている組織文化はシャインが30年前に示した組織文化と同じようなものだと感じた。

そう考えると、組織文化の構築については、このカルチャーモデルの構築スキームは非常に有効だと感じている。そして、ビジネスモデルはカルチャーモデルの一部に位置付けられるだろう。

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