コンセプチュアルスタイル考 Feed

2019年5月13日 (月)

【コンセプチュアルスタイル考/マネジメント編】(4)コンセプチュアルな組織とは

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Column_2

「コンセプチュアル」という概念が徐々に重視されるようになってきました。概念そのものは、ピーター・ドラッカーが提唱したマネジメントという概念より早く、70年前にロバート・カッツにより提唱されたものです。

興味深いのは、マネジメントの前後でコンセプチュアルスキルの位置づけが大きく変わっています。マネジメント以前は、テクニカルスキル、ヒューマンスキルに加えて上位者に必要な概念的にものごとを考える3つ目のスキルでした。

ある意味でマネジメントスキルも含んでコンセプチュアルスキルだったのですが、マネジメントスキル以降は3つのスキルはマネジメントスキルが入り、コンセプチュアルスキルはマネジメントスキルの補完的なスキルとして位置付けられるようになりました。

さらに、それだけではなく、テクニカルスキルやヒューマンスキルをよりレベルの高いものにするために不可欠なスキルとして位置付けられるようになってきたのです。つまり、コンセプチュアルスキルは監督職以上だけではなく、すべての社員に必要なスキルになってきたのです。

この背景にあるのがドラッカーが提唱したナレッジワーカー(知識労働者)です。ナレッジワーカーとはナレッジ(知識)とワーカー(労働者)を合わせた造語で、専門的な知識や高度な知恵を活かして新しい価値を創り出す労働者のことです。

50年前、ドラッカーはこれからはすべての労働者はナレッジワーカーになっていくだろうと予見しました。

最近よく言われるVUCAの時代(「volatility」(変動が激しく不安定)、「uncertainty」(不確実性が高く)、「complexity」(複雑で)、「ambiguity」(曖昧な))という認識があります。

VUCAの時代にはトップだけが考え、ミドルがそれをブレークダウンし、メンバーが実施するという階層的な組織は役に立ちません。

VUCAの時代には、まず、トップが考えることは必要ですが、そのあと、ミドルを介して、メンバーに降ろし、メンバーが具体的な方法を考える。その中でメンバーがより良いと考える具体的なやり方をミドルを介してトップに上げる。トップはそれを受けて戦略を修正し、再び、下に降ろしていく。この繰り返しで、組織として最もよい戦略を策定し、戦略実行していくのです。

言い換えると、トップが考えた抽象的なアイデアがすべてではなく、メンバーの考える具体との間で行き来しながら、決めていくことが求められます。このためには、組織のすべての人が自分の専門知識を持ち、価値を生み出していくことができるナレッジワーカーであると同時に、同時に組織がそのように動くためにコンセプチュアルでなくてはなりません。

組織がコンセプチュアルになって初めて、トップから現場まで全員が考えて動く仕組みできるのです。そのような組織を作り上げたいものです。



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2019年3月 4日 (月)

【コンセプチュアルスタイル考/マネジメント編】(3)コンセプチュアルスキルが経験から新しいものを生み出す

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Column_2

◆人材開発担当の要望

コンセプチュアルスキルのトレーニングを始めたのにはいくつかの理由がありますが、その中の一つが、マネジメントやプロジェクトマネジメントの研修をするときに人材開発の担当の方から、よく

「我が社のエンジニアはコンセプチュアルスキル(概念化能力)が低いので、説明もできるだけ具体的な事例でお願いします」

と言われていたことが多いことです。PMstyleで提供しているマネジメント研修は、かなり概念的な説明を入れているものが多いからこういう要望が出てきていると思われます。

これに対して、概念と具象の行き来を行いながら、講義やワークを行うマネジメント研修を提供していますが、どうも行き来がうまくできない、言い換えるとコンセプチュアルスキルが低い人が多いと感じたのがコンセプチュアルスキルのトレーニングを始めたきっかけの一つです。


◆なぜ、エンジニアのコンセプチュアルスキルが低いのか

エンジニアのコンセプチュアルスキルが低いのにはいくつかの側面があるように考えています。

一つは、エンジニアというのはもともと概念の扱いに慣れていました。技術を使って行っている業務においてモデルと現象/現物があり、その間を行き来しなくては、エンジニアリングは仕事にならないからです。

しかし、最近では業務のスピードやコストの制約により、分業が細かくなり、現場を知らない設計者とか、モノを作ることしかできない技術者といった人種が増えてきました。結果として、コンセプチュアルスキルが鍛えられるような機会に遭遇しませんので、コンセプチュアルスキルは低いままです。

もう一つは、具体的であるということに誤解があることです。具体的なものを見て何かを得るということは、なぜそのようになっているかのを理解するということに他なりません。そのためには、それなりに背景になる知識や理論が必要になります。つまり要素技術がないのです。

要素技術のない人が具体的な製品や事例をみても、情報は増えますが、なぜを考えられないので学ぶものはあまり多くありません。コンセプチュアルスキルも向上しません。エンジニアにとって経験するとはこのなぜを考える機会を得ることなのです。


◆コンセプチュアルスキルがないと経験から新しいものは生まれない

このような背景があって、人材育成の担当者たちはエンジニアのコンセプチュアルスキルが低いと感じており、研修はできるだけ事例を使って、具体的にと要望するわけですが、実はこれはあまり意味がありません。

まず、上で述べた通り、コンセプチュアルスキルが低いと具象と概念の間の行き来ができませんので、事例を知っても何も考えることができません。ほぼ、似たような業務であれば役立ちますが、それだけです。いわゆる応用が利かないのです。

ここに一つ時代錯誤があります。それは以前から、製品にしろ、サービスにしろ、類似のものが多く、一つの事例を知ればコンセプチュアルスキルが低くても対応できたという一面もあります。しかし、今はどんどん新しいものを作って、展開していかなくてはビジネスになりません。したがって、応用がきかなくてはあまり意味がありません。

イノベーションの生まれない理由はいろいろとありますが、個人の問題としてはコンセプチュアルスキルが低いことが最も大きいのではないかと思われます。


◆事例はネットで

こういう状況を考えると事例を学ぶというのは時間の無駄とは言わないまでも、研修で行うことではないように思えます。それこそ、ネットで自分で調べてみればよいのです。

その上で、コンセプチュアルスキルを高めるトレーニングをする。すると、調べた事例からさまざまな新しい考え方を生み出すことのできるエンジニアが育ってくると思われます。これこそが、コンセプチュアルな組織を創るマネジメントの基本だといえます。

コンセプチュアルスキルのトレーニングというのはそういう意味合いがあります。

 

◆コンセプチュアルスキルを高めるセミナー

PMstyleでは、コンセプチュアルスキルのトレーニングの入門として以下のセミナーを行っています!

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◆コンセプチュアルスキル入門~本質を見極め、行動するスキル   ◆7PDU
 日時・場所:【東京】2019年 04月 17日(水)10:00-18:00(9:40受付開始   
     【開催決定】ちよだプラットフォームスクウェア(東京都千代田区)
       【大阪】2019年 05月 22日(水)10:00-18:00(9:40受付開始)
           大阪市中央公会堂(大阪市北区)
 講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
 詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_skill.htm
 主催:プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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 【カリキュラム】
  1.コンセプチュアルスキルとは
  2.本質を見極める
  3.洞察力を高める
  4.応用力を高める
  5.コンセプチュアルスキルでこれからの行動が変わる~ケーススタディ
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※個人で受講料を負担されている方は、受講料が50%引きになる個人受講割引をご利用ください。

まずはコンセプチュアルスキル診断でご自身のコンセプチュアルスキルのレベルを確
認してみてください!これまでに2,300名以上の方は実施されており、自分のコンセプ
チュアルスキルのレベルが分かります。

https://pmstyle.biz/cncpt/conceptual_shindan.htm

本セミナーはコンセプチュアルスキル診断の平均スコアが6点以下の方には特におす
すめしたいセミナーです。

2019年1月15日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考/マネジメント編】(2)「人が足らない」問題の解決方法

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Columnプロジェクトで取り組む課題が過去に経験のある課題であれば、チームの人数を揃えれば解決できるが、経験のない課題に対しては人数をそろえても解決できるとは限らない。

プロジェクトチームを見ていると、この区別があまりされておらず、「人が足らない」という悩みを抱えていることが多いように見える。

実際には人が足らないといっているのは以下のいずれかだ。

(1)課題の解決方法は分かっているが、人数が足らない
(2)課題の解決方法が分からないことを、人数の問題にすり替えている

(1)に対しては、必要な人数を揃えることが望ましいわけだが、現実には無理な場合が多いのが今の時代だろう。そう考えると、過去に行った解決方法そのままでは解決できない。まず、この点を前提にアプローチしていく必要がある。

すると、現実に調達できる人数でできるような新しい対応を考える必要がある。そのための方法は2つありそうだ。

一つは本当にやるべきこと(生み出すべき成果)を明確にし、それ以外はやらないこ
\とにより人数をカバーする対応。二つ目は、生産性を向上し、少ない人数で同じ成果を上げるという方法。いずれにしても、過去の経験に基づき、ちょっとした改善が必要になる。

現実に最も多いのは(2)の状況だと思われれる。「人が足らない」といっているのは何をやれば課題が解決できるか分からないために、必要資源を多めに考えて足らないと言っているケースが多いのだ。

この場合、このような問題のすり替えを行わず、まずは新しい課題に対する解決の方法を考えることと、それを実行することに分けて考える必要がある。

前者については現行のメンバーの創造性を引き出し、チームで課題解決していくしかないだろう。後者については、決まったやり方でできるだけ少ない工数でできる方法を考え、進めていく。ここでもはやり、必ずやらなくてはならないことと、場合によってはやらなくてもよいことを明確にし、必ずやらなくてはならないことに集中する。

このようなチームワークを実現できるのが「コンセプチュアルなチーム」で、

チームで解決したい課題や問題の本質を見極めた上で、本質に対して多様な働きかけをするチーム

ということができよう。

コンセプチュアルなチームにするには、いくつかポイントがある。

まず、チームとして本質を見極め、共有することができることだ。本質は主観的なものですし、その見極めには直観を使うことも多く、チームで本質を共有するのは意外と難しいものだが、コンセプチュアル思考を使うことにより、チームとして納得できる形で課題の本質を共有できる。

また、チームとして、多様性があり、創造的で、生産性が高くなるような工夫をして活動をしていく必要がある。ここでもコンセプチュアル思考が有効だ。

さらに、このようなチームを作るには、リーダーのリーダーシップの質が大きく影響する。つまり、コンセプチュアルなリーダーシップが不可欠なのだ。

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2018年10月26日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考/マネジメント編】(1)コンセプトを大切にしよう!

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「「コンセプト」とは、物事を進めていく上でもっとも基本となる理念のことだ。あらゆる計画は、コンセプトが揺らぐと単なる「予定」に陥ってしまう。そのコンセプトが、2020年の東京オリンピック(以下、東京五輪)にはない。」

池田利道(東京23区研究所所長)「東京五輪、迷走の連続で露呈した招致計画の「ウソ」…いつの間にか消えた「コンパクト五輪」」より
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Column

東京オリンピックのコンセプトは「コンパクト五輪」だったが、そのコンセプトはもはや実現されようとはしていないという趣旨の記事。

日本には「小さく生んで、大きく育てる」ことを尊重する風土がある。このために不可欠なのがビジョンとコンセプトだ。これらの言葉はオバケ用語でいろいろな定義があるが、ビジョンは将来的にどのような発展を遂げていたいか、成長していたいかといった像で、コンセプトはそれを実現するための取り組みの本質だと考えておけばよいだろう。

東京オリンピックでいえば、ビジョンは「Discover Tomorrow~未来(あした)をつかもう~」であり、コンセプトは「コンパクト五輪」だった。ビジョンは変わっていないが、コンセプトは崩壊している。ビジョンは不動なのだからよいというものではない。計画はコンセプトに基づき、作られる。コンセプトが崩壊したということは計画がその妥当性を失ったということに等しい。

日本人は意外とこういう状況が平気だった。バブルの前までは、ビジョンはあったがコンセプトは借りてくるのが常だったからだ。バブルをきっかけにやり方を変えなくてはという雰囲気が生まれ、コンセプトを創るようになったが、それは計画と連動していないことが多い。現場には現場の考えがあるということで、マネジメントと実行の間に一線を引いているのだ。

4~5年前に、エリック・リースが提唱するリーンスタートアップが注目され、取り組んでみたが、うまく行かない。アジャイルがうまく行かない。これらはすべて、コンセプトの問題だろう。

コンセプトを大切にしよう!

◆関連講座

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆コンセプチュアル思考によるコンセプト力講座      ◆(7PDU's)
【開催決定】
  日時:2019年 01月 21日(月)  10:00-18:00(9:40受付開始)
  場所:国際ファッションセンター(東京都墨田区)
  講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
  詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/concept.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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  【カリキュラム】                     
  1.コンセプトとは何か~コンセプチュアルスキルの観点から
  2.本質とコンセプト
  3.よいコンセプトの作り方
  4.コンセプトをビジネスモデルとして具体化する
  5.コンセプト立案ワークショップ
  6.ストーリーでコンセプトを伝える        
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

【お知らせ】コラム「コンセプチュアルスタイル考/マネジメント編」開始のお知らせ

Column_2PMstyleの会員向けのメールマガジンでは、「コンセプチュアル・スタイル考」という連載をしています。それを発行後、1週間以内をめどに「PMstyleプロデュース」ブログに転載しています。

内容についてはこちらでご確認ください。

「コンセプチュアルスタイル考」
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9984019/

さて、この「コンセプチュアル・マネジメント」ブログの読者の方から、コンセプチュアル・マネジメントに関するコラムはないのかという問い合わせを戴きました。

以前も、このブログにもコラムがあったらいいねという声を戴いており、この機会に「コンセプチュアルスタイル考」のマネジメント編という形でコラムを始めることにしました。このコラムは本ブログでのみで、不定期に公開しようと思っています。

お楽しみいただけましたら幸いです。

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好川哲人

技術士&MBA 技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。