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2019年10月11日 (金)

【コンセプチュアル講座探訪】管理からマネジメントへ~「マネジメントをコンセプチュアルにする」

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceptual_course/
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Management2

◆業務管理とマネジメントの違い
 
一般的に日本のマネジャーはマネジメントができないと言われます。なぜでしょうか?
 
企業には組織があります。例えば、事業部の中にいくつかの部があり、それぞれの部にはいくつかの課があります。そして課の中にはいくつかの係があったり、チームがあったり、プロジェクトがあったりします。
 
一般的には、マネジャーというのは課長以上の人です。つまり、係やチーム、プロジェクトは業務を遂行する組織であり、その長やリーダーは業務リーダーになります。つまり、業務の遂行に対して責任を持つ人です。
 
これに対して、マネジャーは業務の結果に対して責任を持つ立場にあります。
 
ちょっと脱線しますが、プロジェクト組織の場合には、課の中の複数の係の業務を統合する以外にも、部の中や、事業部の中でも組織されることがありますが、その場合のマネジャーは組織的にはプロジェクトマネジャーの上の立場の人になります。プロジェクトマネジメントの用語でいえば、プロジェクトスポンサーと呼ばれます。
 
いずれにしても、組織の成果を管理しなくてはならないわけですが、ここが一つ、重大な問題が潜んでいます。それは、業務がきちんと行われることと、期待した成果が生まれることは別だということです。
 
これはプロジェクトを考えるとよく分かります。スケジュールとコストを守り、要求仕様どおりの製品を作ることはプロジェクトマネジャーの責任ですが、その製品によって計画していただけの利益が上がるかどうかはその上位のプロジェクトスポンサーの責任です。つまり、業務がきちんと行われることによって、計画していた成果を実現するのがマネジメントという活動です。これが業務とマネジメントの関係です。業務を管理することは業務リーダーの仕事で、マネジャーの仕事ではありません。
 

◆管理はできてもマネジメントができない理由
 
では、業務の管理はできるのに、マネジメントはあまりうまくできないのはなぜでしょうか?
 
組織にしろ、成果にしろ、マネジメントが扱わなくてはならないのは目に見えないものです。業務とマネジメントの違いはここにあります。業務の対象はモノであれ、サービスであれ、目に見えるものが多いですし、見えないものも見える化しています。
 
ところがマネジメントは見える化できません。
 
たとえば、プロジェクト業務でいえば、スケジュールや品質は見える化できますが、生産性は見える化できません。ステークホルダーとの関係やコミュニケーションの在り方、モチベーション向上などの見えないものの影響が大きく、効果があるマネジメントを可能にするような見える化はまずできないでしょう。
 
マネジャーと話をしていると、やはり現場で育ったマネジャーは見える化に拘っていますし、確かに工夫し、管理の成果も出しています。管理としては重要なポイントですが、マネジメントではありません。マネジメントとは、見えないものに影響を与えることです。管理とは一線を引いて考える必要があります。
 
では、マネジメントをするにはなにが必要か。コンセプチュアルな思考です。言い換えると、コンセプチュアルな思考ができないので、管理はできてもマネジメントはできないというのが今の日本の多くのマネジャーの問題です。
 

◆ナレッジワーカーの時代
 
さて、上で業務は目に見えるものだと述べましたが、違和感を持たれた方もあると思います。まずは、その違和感を取り除きたいと思います。
 
コンセプチュアルスキルの提言者であるロバート・カッツが議論を始めたのは、1940年です。つまり、企業といっても今のようなイメージではなく、経営層が進むべき方向や製品を考えて、従業員が工場で作り、工場長や作業長が管理するというのが基本的な形でした。極論すれば、従業員は工場や業務のラインの中で、命じられたことだけをしていればよかったのです。
 
その後、この形は変わってきます。企業の中における経営と業務の役割分担が変わったからです。変わった理由は詳しくは述べませんが、要するに時代が変わり、世の中が複雑になり、少数の経営陣だけでは世の中のニーズの充足ができなくなってきたためです。そこで、今の組織の形が生まれてきます。
つまり、経営は会社の大きな方向性を決めて、方向性の実現のための組織を作り、それを実行していくという方法です。この方法だと、経営の示す方向に進むためには、
 
(1)提供ための組織をどうするか
(2)何を提供するか
(3)どうやって提供するか
(4)提供ための管理をどうするか
 
などをすべて(管理職も含む)従業員が決定することになります。特に(2)、(3)を如何にうまく決定できるかが成功のポイントになります。
 
その上で、実際のサービスや製品を提供していくことが求められます。
 
もちろん、最終的にはサービスにしろ、製品にしろ、形のあるものですので工場やサービス者が不要になったわけではありませんが、工場は自動化され、作ること時代を作業にしていることは珍しくなってきました。サービスもいずれ同じことが起こるでしょう。
 
特にAIが広がってくるとこの傾向は顕著になりそうです。
 
問題は(2)や(3)を従業員が全員でやらなくてはならないことです。ピーター・ドラッカーはこのような役割をする従業員をナレッジワーカーと呼びましたが、今の組織というのはナレッジワーカーの集まりです。ナレッジワーカーによる成果を実現するためには、昔のように管理だけではなく、マネジメントが不可欠になります。
 
ナレッジワーカーを動かすためには、文字通り、目に見えないものを使って何かを生み出す人です。つまり、ナレッジワーカーが優秀であるためには、コンセプチュアルスキルが高くなくてはなりません。
 

◆求められているのは「コンセプチュアル・マネジメント」
 
以上の議論を整理しますと、新しい組織の形が見えてきます。PMstyleではこれを「コンセプチュアルな組織」と呼んでいますが、要するに
 
目に見えないものを扱い、価値を考えていく組織
 
を創るマネジメントが必要なのです。
 
そのような組織を創るためのマネジメントを「コンセプチュアル・マネジメント」と呼びます。
 
 
◆セミナーの目的と構成
 
本セミナーでは、マネジャーの方に対してはマネジメントをコンセプチュアルにすること、今後マネジャーになる方に対しては、コンセプチュアル・マネジメントについて学ぶことを目的としています。
 
そのために、コンセプチュアルではないマネジメントの問題点を理解した上で、コンセプチュアルなマネジメントのポイントとして以下のようなポイントを学びます。
・主観を重視した方針の決定
・抽象的な方策考察と具体的な行動の決定
・大局的視点による現場と経営方針の擦り合わせ
・既存の前提条件の見直し
・顧客や社外ステークホルダーの概念的理解
・自発的に「考える」ことを支援するコミュニケーションをする
そして、これらのマネジメントを実施するために、どのような仕組みを作ればよいかを議論したいと思います。
 
これから、コンセプチュアル・マネジメント力を高めたいと思っている人にお薦めしたいセミナーです。
 
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆マネジメントをコンセプチュアルにする      ◆(7PDU's)
  日時:2019年 11月 18日(月)  10:00-18:00(9:40受付開始)
  場所:国際ファッションセンター(東京都墨田区))
  講師:好川哲人(プロジェクトマネジメントオフィス)
  詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_management.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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  【カリキュラム】                     
  1.コンセプチュアルではないマネジメントの問題点
    【振返り】自組織のマネジメントの問題を振り返る
  2.コンセプチュアルなマネジメントのポイント
  3.コンセプチュアル・マネジメントの仕組みづくり
    【検討】コンセプチュアル・マネジメントの仕組みのコンセプト
  4.コンセプチュアルなマネジメントの効果
  5.ワーク:自身のコンセプチュアル・マネジメントの仕組みを創る
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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。