パーパス・ドリブン Feed

2020年1月29日 (水)

【VUCA時代のプロジェクトマネジメント】第4回 組織と個人のパーパスからプロジェクトのパーパスを見つけ出す

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/purpose/
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◆パーパスは組織と個人を統合する
 
前回は、コンセプチュアルプロジェクトマネジメントの概要を説明し、ポイントになる目的や本質目標の設定の考え方を説明しました。その中で、プロジェクトの目的には経営からの視点としてのMUST(必要性)、プロジェクトメンバーの視点としてのWANT(願望)があり、これらを統合する必要があることを述べました。そして、そのためにはプロジェクトのコンセプト、すなわち
 
・プロジェクトの経営的な成果の本質は何か
 
を考えることが有効であるとしました。
 
前回はあまり明確にしていませんが、パーパスドリブンのプロジェクトマネジメントとは、文字通り、パーパスに従ってプロジェクトを進めていくことです。
 
第2回で述べましたように、パーパスという概念の前提は、会社組織のパーパスがあり、そこで働く個人にもパーパスがあり、それらが統一(一致)していることです。言い換えると、その会社で働く一人一人がなぜその組織にいるのかをきちんと説明できることだと言えます。
 
その中で、プロジェクトはテンポラリーな活動ですので、そのチームや活動は組織のパーパスや個人のパーパスと統一的なパーパスを持つ必要があります。そして、そのパーパスに基づいて前回説明しましたプロジェクトの目的を設定する必要があります。
 
そのようなプロジェクトにしていくことによって初めてプロジェクトがメンバー一人一人のコミットメントを引き出し、戦略を実行するという経営の要請に応えることのできます。
 
では、どうすれば組織と個人のパーパスを統一したプロジェクトのパーパスを決定することができるのでしょうか。これが今回のテーマです。

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2019年12月 3日 (火)

【VUCA時代のプロジェクトマネジメント】第3回 パーパス・ドリブンのコンセプチュアルプロジェクトマネジメント

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◆はじめに
 
この連載では、第1回でVUCA時代のプロジェクトマネジメントはどうあるべきかについて解説し、その中でポイントになるのはパーパス、つまり存在意義(存在目的)であることを述べました。そして、前回はパーパスは企業のビジョンやミッションを定義するための根幹となる概念として使われ、よいパーパスを定義するには組織から個人までを統一的に捉えることが不可欠だという指摘をしました。
 
実際の企業活動の中で、組織から個人まで統一的にパーパスを捉えるためには活動単位になるプロジェクトのパーパスが問題になってきます。極論すれば、組織と個人がパーパスを統合する場がプロジェクトだとも言えます。そこで、今回は、いよいよ、連載の本論であるパーパスドリブンなプロジェクトマネジメントとはどのようなものかについて解説していきたいと思います。

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2019年11月13日 (水)

【VUCA時代のプロジェクトマネジメント】第2回 パーパスとは何か

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Purpose

◆はじめに
 
前回、VUCA時代のプロジェクトには、以下のような問題があり、このような特性に対処していくにはパーパス・ドリブンのプロジェクトマネジメントが必要だということを述べました。
 
・計画段階でプロジェクト目標が明確になっていない
・スコープ(成果物)変更が頻繁に起こる
・リスクとして想定していなかった問題が発生する
・一からやり直しのような大きな変化が起こる
・プロジェクトの規模が大きく、サブプロジェクト間の成果の関係が見えない
・組織や顧客のプロジェクトに対する要求や期待がどんどん変わる
・経験者がいない
・使える技術や手法が分からない
 
パーパスでプロジェクトを動かすことについて、日本で最初に必要性を指摘したのは、目的工学を唱え、目的工学研究所の代表をされている紺野登先生です。前回も紹介しました、この本で、かなり詳しく紹介されています。
 
紺野 登、目的工学研究所「利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか」、ダイヤモンド社(2013)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478010080/opc-22/ref=nosim
 
目的工学で目的にしているのは、イノベーションの推進です。イノベーションのプロジェクトは従来のようなプロジェクトマネジメントではうまく行かず、パーパスに注目してプロジェクトを推進していく必要があるということで、独自のプロジェクトマネジメントの手法を提唱されています。
 
この連載では、イノベーションだけではなく、
 
1.経験自体の価値
2.最適化の意味
3.予測(計画)の価値
 
の3つがなくなるVUCA時代のプロジェクトを前提にしたプロジェクトマネジメントを解説していく予定です。
 
それはPMBOK(R)をベースにし、コンセプチュアル思考でパーパスをマネジメントし、プロジェクトを動かしていくようなプロジェクトマネジメントになります。
 
まずは、パーパス(purpose)とは何かを明確にして行きます。
 
 

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2019年10月17日 (木)

【VUCA時代のプロジェクトマネジメント】第1回 VUCA時代のプロジェクトとプロジェクトマネジメントの方向性

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◆広まるVUCA
 
VUCAという概念が浸透してきました。VUCAは
 
「Volatility」(変動性:変化が激しく不安定)
「Uncertainty」(不確実性:問題や出来事の予測がつかない)
「Complexity」(複雑性:多数の原因や因子が絡み合っていること)
「Ambiguity」(曖昧性:出来事の因果関係が不明瞭で前例もない)
 
の頭文字をとった言葉(概念)で、1990年代に米国陸軍で使われ始めた言葉ですが、一言でいえば、
 
「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」
 
のことです。米国陸軍で使われるようになったのは、1990年代の冷戦終結後の複雑性が増し、将来の予測が困難な国際情勢を意味する概念としてでした。
 
21世紀になると軍事だけではなく、社会的に使われる概念になってきました。特に、米国の軍人であったスタンリー・マクリスタル将軍が2014年のASTD基調講演でVUCAについて述べたことが一般化の契機になっているようです。その後、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「VUCAワールド」という言葉が使われたことにより、ビジネスの世界にも一挙に広まってきました。
 
日本でも2017年くらいから、VUCAについての有識者の発言が目立つようになっています。そして、主にビジネスの世界で、VUCA時代のリーダーシップやマネジメントの在り方が議論されるようになってきました。今年になってからだけでも、VUCAに何らかの形で触れている書籍は5冊では収まりません(関連書籍については、記事の最後にまとめて紹介します)。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。