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2021年6月23日 (水)

【コンセプチュアル講座探訪】VUCA時代のプロジェクトデザインの実践的方法~「パーパス」でプロジェクトを動かす

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceptual_course/
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Project_design

◆目標と達成方法に着目したプロジェクトの区分

従来(VUCA以前)のプロジェクトでは、できるだけ成果物を確定的にし、その生成を具体的に計画し、着実に実行し、成果を得るマネジメントが求められてきました。

ところが、VUCAと呼ばれる時代を迎え、このような進行ができないプロジェクトが増えてきています。VUCAの時代には、

・変動性や不確実性が大きい
・規模が大きく、複雑である
・新規性が高く、すべきことが曖昧である

といった特徴のあるプロジェクトが増えているためです。まさに、VUCAがプロジェクトのレベルでも起こっているわけです。

プロジェクトを目標に着目して区分してみますと、

(1)目標が決まっており、目標達成の方法も分かっており、さらにその目標達成に必要なコストや時間も分かっているプロジェクト
(2)目標が決まっており、目標達成の方法も分かっているが、その目標達成に必要なコストや時間が分からないプロジェクト
(3)目標は決まっているが、目標達成の方法が分からず、従って目標達成に必要なコストや時間も分からないプロジェクト
(4)目的はあるが、目標が決まっていないプロジェクト
(5)目的が曖昧で、プロジェクトを実施することだけが決まっているプロジェクト

の5つに分けることができます。


◆VUCA以前のプロジェクト

従来のプロジェクトですと、プロジェクトには製品やサービスの開発が中心で、、その場合(1)、(2)が圧倒的に多く、(3)はチャレンジの必要なプロジェクトだと考えられていました。また、(4)、(5)はプロジェクトとしては認可すべきではないと考えられていました。

ただ、例外的に行われていたのは、経営変革、組織変革、オペレーション変革などの変革プロジェクトです。これらのプロジェクトは(4)のタイプのプロジェクトとして行われることがよくあります。しかし、これらのプロジェクトは成功/失敗があまり明確になりません。

目標が決まっていないため、目的を実現できたかどうかには主観的な判断が評価の中心になるからです。


◆VUCA時代のプロジェクト

さて、ではVUCAの時代にはどう変わるのでしょうか?

(1)、(2)、(3)に注目すると、プロジェクトが始まると、目標や目標達成の方法が変わらないという前提がありますが、VUCAの時代には目標が変わることは珍しいことではなく、その場合、この構図はもう少し複雑になり、以下のようになります。

(1)、(2)のケース:目標が決まっており、目標達成の方法が分かるからスタ
(A1)目標は変わらないが、目標達成の方法が変わり、そのコストや時間が分かる
(A2)目標は変わらないが、目標達成の方法が変わり、そのコストや時間が分からない
(A3)目標が変わっても、目標達成の方法が分かり、そのコストや時間も分かる
(A4)目標が変わっても、目標達成の方法が分かるが、そのコストや時間が分からない
(3)のケース:目標が決まっており、目標達成の方法が分からないからスタート
(B1)目標が変わって、目標達成の方法が分かり、コストや時間が分かる
(B2)目標が変わって、目標達成の方法が変わるが、コストや時間が分からない
(B3)目標が変わっても、目標達成の方法は相変わらず分からない

VUCA時代のプロジェクトは広くいえば、(A1)~(A4)、(B1)~(B3)のすべてですが、VUCA時代らしいプロジェクトだと言えるのは、変化だけではなく、変化に何らかの意味で不確実さが伴うという意味で、(A2)、(A4)、(B1)~(B3)だと言えます。この中で、現実的に多いのは、(A4)や(B3)だと考えられます。

さらに、(4)はVUCA時代のプロジェクトで増えてきて、プロジェクトマネジャーに頭を抱えさせています。つまり、そのプロジェクトを実現することによって何を実現したい(期待されている)のかは分かって(決まって)いるのですが、現実に何ができればそれが実現できるかが分からないというパターンです。プロジェクトの5W2Hでいえば、WHYは分かっているけど、WHATが明確ではないプロジェクトです。その典型は、VUCAの以前からあった〇〇変革プロジェクトです。


◆VUCA時代にプロジェクトのマネジメントのポイント

VUCA時代のプロジェクトマネジメントは、これらのプロジェクトに対応できる方法であることが求められます。これらのプロジェクトのマネジメントは、

・プロジェクトで実現したいことの目的を明確にする
・プロジェクトの目的の実現を最大化するために、目標や目標達成の手法は柔軟に変える
・目的を実現するための活動の決定はメンバーに任せる

という3つの性格が求められます。

その典型はアジャイルプロジェクトマネジメントや、OODAプロジェクトマネジメントです。これらのプロジェクトマネジメントは、目的実現を最大化するために、全体の計画を作らず、オペレーションを積み重ねていきます。

実際に、PMBOK(R)でも伝統的な(計画型の)プロジェクトマネジメントとアジャイルプロジェクトマネジメントの比率が変わってきており、VUCA時代のプロジェクトに対応しようとしている様子が伺えます。今後、この比率はさらにVUCA側によってくることが考えられます。

その中で、課題になるのは、計画型のプロジェクトなのか、VUCA型のプロジェクトなのかの見極めをすることです。何でもアジャイルやOODAでマネジメントすればよいというものではなく、計画型で行った方がよいプロジェクトも多くあります。また、計画型でなくてはできないプロジェクトもあるでしょう。

その中で、ポイントになるのがその組み合わせです。つまり、計画して行うプロジェクトとVUCAなプロジェクトに分けて、全体をプログラムとして実施することが求められます。この場合、その結果をどのように統合していくかが重要になります。


◆目的からパーパスへ

さて、ここまでは目的という言葉を使ってきましたが、ではプロジェクトの目的というのはどう作ればよいのでしょうか?

プロジェクトの目的に求められるのは、以下の2つです。

・プロジェクトの実施の根拠となっている戦略目標を明確に描き出している
・メンバーのモチベーションの源泉になる

前者はプロジェクトは戦略に基づいて行われるものであることを考えると、自然に満たされてきます。

問題は後者です。これは、センスメイキングの議論とも重なってきますが、VUCAの時代のプロジェクトにおいては目標はメンバーのモチベーションには直結しません。むしろ、目標が変動することによって、モチベーションが下がることもあるくらいです。

そこで、そのプロジェクトを実施する理由にその源泉を見出す必要があります。そのためには、単にその事業部や企業の事情では弱いところがあります。特に、ミレニアム世代においては、企業に対するコミットメントが低く、社会的インパクトのある仕事を求めるという傾向があると言われます。そこで、考えるべきことは、

「そのプロジェクトを実施することが社会にどのようなインパクトを与えるか」

が含まれる目的です。このような目的が示されて、かつ、個人の仕事をする意義と重なって初めて、メンバーはモチベーションを刺激されます。

このような目的は一般的にはパーパス(存在意義)と呼ばれます。つまり、VUCAの時代のプロジェクトを動かすには、パーパスが不可欠なのです。


◆セミナーの目的と構成

本講座はパーパス・ドリブンのコンセプチュアルプロジェクトマネジメントの上流になるプロジェクトデザインについて学ぶZOOMオンラインセミナーです。

プロジェクトデザインにおけるパーパスの役割を整理したあと、

パーパスを実演するシナリオ作り
 →成果と成果物の明確化とプロジェクト目的と目標の決定
  →プロジェクトコンセプトの決定
   →要求の見極め
    →成果物を実現する本質目標の決定

という流れでプロジェクトマネジメントの体験をします。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「パーパス」でプロジェクトを動かす
         ~VUCA時代のプロジェクトデザインの実践的方法◆
日時:2021年 07月07日(水) 13:30-17:00、07月 08日(木) 13:30-17:00
形態:ZOOMオンライン
※少人数、双方向にて、演習、グループディスカッションを行います
講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_pm.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
<第1日>
1.パーパスとプロジェクトデザイン
2.パーパス実現のシナリオ創り
3.成果と成果物を明確にし、プロジェクト目的と目標を決める
<第2日>
4.シナリオからプロジェクトコンセプトを創る
5.成果を実現する本質要求を見極める
6.成果物を実現する本質目標を決定する
7.環境変動時のプロジェクトマネジメントの対応
8.VUCA時代に求められるプログラム&プロジェクトマネジメント
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◆関連セミナー

また、OODAプロジェクトマネジメントの講座も開催しています。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆OODAプロジェクトマネジメント◆(3.5PDU's)
日時:2021年 07月 13日(火) 13:30-17:00
形態:ZOOMオンライン
   ※少人数、双方向にて、演習、グループディスカッションを行います
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/pm_simple.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
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【カリキュラム】                     
 1.プロジェクトに必要なマネジメント
 2.目的・目標を5つの質問で確認する
 3.目標からタスクを洗い出し、計画を作成する
 4.OODA概要
 5.OODAで自律的に動く
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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。