★コンセプチュアル仕事術 Feed

2020年5月26日 (火)

【コンセプチュアル講座コラム】コンセプチュアルスキルを鍛えて、レジリエンスを高める

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceputual_col/

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◆レジリエンスとは
 
東日本大震災の後、レジリエンスという心理学の言葉が、経営学や社会システム論などで広く使われるようになり、一種のレジリエンスブームになりました。レジリエンス(resilience)とは、跳ね返り、弾力、回復力、再起力、復元力といった意味の概念です。
 
経営学ではレジリエンスは
 
「困難な状況にもかかわらず、うまく適応できる力」
 
として使われるようになり、リスク対応能力、危機管理能力などの上位概念として広く使われるだろうと期待されていました。詳しく知りたい人は、好川が連載していた「イノベーション戦略ノート」に書いた記事がありますので、お読みください。
 
第21回 イノベーターのレジリエンス(2013.12.11)
https://pmstyle.biz/column/innvnote/innvnotet21.htm
 
当時は、レジリアンスという概念はいろいろなメディアで取り上げられ、レジリエンスという言葉をタイトルに含む書籍も何冊も出版されましたが、その後、震災復興とともに消えていったようなイメージがあります。書籍の出版も、海外ものの翻訳ばかりになってしましました。
 
しかし、レジリエンスの必要性が薄れてきているかというとそんなことはありません。年々、レジリエンスの必要性は高まっており、極めつけだと思われるのが今回のコロナだと思われます。
  
 

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2020年3月24日 (火)

【コンセプチュアル講座コラム】仕事の成果物と成果を分けて、働き方を変える

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceputual_col/
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◆働き方改革の現状を概観する
 
VUCA時代には成果と成果物を分離しなくてはならないという話をしています。内容はこちらをお読みください。
 
【PMスタイル考】第158話:プロジェクトの成果と成果物
 
今回は少し違ったからこの問題を考えてみたいと思います。その観点とは、働き方改革です。
 
多くの企業が働き方改革に取り組んでいますが、あまり、芳しい効果が得られておらず、一方で生産性の向上は不可欠で、仕切り直しをしている企業すら出てきているような状況です。この状況に対して、残業だけだと働き方の改革にならないといった指摘を始め、さまざまな問題が指摘されていますが、問題解決の取り組みはあまりなされていないのが現状です。
 
そもそも働き方改革の必要性が出てきた背景には、一人の抱える仕事が増えてきたことにあります。もちろん、多くの仕事では、人員が削減され、業務の範囲が増えて、現実に仕事は増えています。これに対して、多くの組織は、例えば非正規社員を活用して対応してきました。しかし、景気がよくなると当然、人が足らなくなります。そこで、効率化をしようとしたことに働き方改革の動機があります。
このようなニーズに対して、経営として押さえているのは結果で、効率がよくなれば仕事をする時間が削減できるので、残業が減るということで、残業に注目するような管理が行われるようになってきました。

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2013年12月25日 (水)

【コンセプチュアル仕事術】第9話~実行力の源泉はコンセプチュアルスキルにあり

Jikko◆2つのプロジェクトマネジメント標準

プロジェクトマネジメントの標準というと米国のプロジェクトマネジメント協会(PMI)が作ったPMBOK(R)を思い浮かべる人が多いと思う。PMBOK(R)は1987年に原型ができ、1996年に標準として世に出された。その後、改版を重ね、現在は2012年に発表された第5版が最新版となっている。

PMBOK(R)の初版はその名前の通り、知識体系が中心で、ひとつのマネジメントがプロセスとして確立されているのはリスクマネジメントだけだった。その後、プロセス志向が強くなり、第3版からは形の上ではすべてのマネジメントがプロセスとして連結された(ただし、インプットやアウトプットが抽象度が高く、プロセスだとは言い難い面もある)。

プロセス的になってきた背景は2つあり、一つは知識体系をの使い方が固定化してきて、標準プロセスとして提供しても問題なくなってきたことがある。もう一つはPMBOK(R)の普及とともに底辺が広がり、認定資格と知識体系という組み合わせだけでは活用できなくなってきたことだ。

これに対して、日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が作ったP2Mという標準がある。こちらは基本的にプロセスはない。コンピテンシーという言い方をしているが、概念的な標準があり、それを利用者が解釈して実行するようになっている。


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2013年12月 9日 (月)

【コンセプチュアル仕事術】第8話~コンセプチュアルな計画とは何か

Keikaku5◆マネジメントとリーダーシップ

今回は計画の話をしたいと思います。どのような仕事においても計画は重要な仕事です。しかし、自分の仕事は不確実性が高く、計画はできないので、走りながら考えるという人もいます。まず、この問題から考えてみたいと思います。

計画の話に入る前にマネジメントとリーダーシップの話をしておきたいと思います。よくマネジメントは既存の枠組み(ルール、仕組みなど)の中で何とか目標を達成することで、リーダーシップは枠組みを変えることだと言われることがあります。

違う言い方をすれば、複雑性の高い仕事をするにはマネジメントが必要で、不確実性の高い仕事をするにはリーダーシップが必要だということになります。

この考え方はハーバードビジネススクールのジョン・コッター先生の定義で、他にも定義はいろいろありますので、自分の考えと違うと思う人は読み流してください。



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2013年12月 8日 (日)

【コンセプチュアル仕事術】第7話~ロジックを磨く

Migaku_2◆ロジカルシンキングとクリティカルシンキング

クリティカルシンキングという思考法があります。さまざまな定義がある言葉ですが、著者はロバート・エニスの

何を信じ、何を行うかの決定に焦点を当てた、合理的で内省的な思考

という定義がしっくりくるのでこの定義を使っています。クリティカルシンキングとロジカルシンキングはどう違うのか分からないという人がおり、実際にクリティカル・シンキングの書籍やセミナーをみても、ロジカルシンキングとどう違うのかと思う人も多いと思われます。

なぜそのようになるかといいますと、ロジカルというのは前回述べたように必ずしも合理的なものではなく(ましてや論理的だから正しいとは限らない)、合理性が問題なり、それを考えるのがクリティカルシンキングだからです。つまり、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは表裏一体なのです。

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2013年11月25日 (月)

【コンセプチュアル仕事術】第6話~ロジカルシンキングの本質

Ronri2◆日本におけるロジカルシンキングの原点

コンセプチュアルスキルの基本といえばロジックです。ところが、このロジックというのが非常にやっかいなシロモノなのです。今回から何回か、ロジックについて考えてみたいと思います。

日本でもいまではロジカルシンキングは新入社員教育にも含まれるようになっています。もっといえば、会社に入る前に身につけておくべきものだと思われています。ところが、この裾野の広がりが、あまり、よい結果をもたらしていないように思うわけです。

この辺から話を進めていきたいのですが、その前に少し、ここにいたった経緯的なものを見ておきたいと思います。日本のビジネスパースンをロジカルシンキングに注目させたのは2冊の本です。

ひとつは文字通り、ロジカルシンキングの本です。

照屋 華子、岡田 恵子「ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best
 solution) 」、東洋経済新報社(2001)

当時、マッキンゼーに所属していた2人の才女が書いた本で、マッキンゼーのやり方を整理して書いた本だと言われています。そのあと出版された本はこの本に影響を受けていますし、研修もしかりで、いまロジカルシンキングというとこの本の内容に近いものをイメージする人が最も多いと思います。

もう一つは、時期的には照屋・岡田本より先に出版された本ですが、「ピラミッド原則」についてかかれた本です。

バーバラ・ミント(山崎 康司、グロービスマネジメントインスティテュート訳)
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」、ダイヤモンド社
(1999)

です。こちらは論理構造に問題があるとよい文章を書けないということから、自らが考案した「ピラミッド原則」と呼ばれる考え方を提示し、物事を上手に論理立てて述べるテクニックを説明したものです。こちらは照屋・岡田さんのロジカルシンキングほど広まっていませんが、コンサルタントなど、問題解決をする仕事には必須のスキルだと言われています。


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2013年11月10日 (日)

【コンセプチュアル仕事術】第5話~T型人材とΠ型人材のコアスキル

Senmon_2◆T型人材ではなく、Π型人材になれという教え

大学の同級生や新卒で就職した企業の同期がそろそろ、役職定年になっている。会うとまだあと10年と言う話しと同時に、やはり、人生を振り返って的な話になる。先日もあるIT企業で役員まで務めた友人Aと人生振返って的な話をしていた。そのときに、面白い議論になった。

大学(工学部システム工学科)を卒業するときに2つのことを言われた。ひとつは農耕民族ではなく、騎馬民族になれということ。もう一つは、T型人材ではなく、二つ以上の専門性を持つΠ型人材になれということだ。

面白い話しとは、後者に関わる話。それを紹介する前に、まずT型人材について少し論じておきたい。

システムエンジニアはT型の人材でなくてはならないというのはよく言われる。ひとつの柱になる専門の深いスキルと、複数の分野にまたがる浅く広い知識である。専門分野というのはどのようなものでもよい。たとえば、著者が卒業した大学だと、機械工学、流体工学、メカトロニクス、制御工学、情報工学、経営工学などの専門の先生がいた。これはいずれもシステムエンジニアとして柱になるスキルだ。

もちろん、工学である必要はない。これまで知り合った有能なシステムエンジニアで、文系の人は少なくないし、一番変わり種で司法試験を通っていてシステムエンジニアをやっているとおいう人もいる。

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【コンセプチュアル仕事術】第4話~コンフリクトを統合する

Togo◆コンフリクトにどう対処するか

世の中は矛盾(コンフリクト)に満ちています。あなたのお客様も決して例外ではありません。時として、矛盾に満ち溢れたことを言ってきます。

たとえば、あなたの会社は顧客から技術力を買われて長く取引をしています。新しい技術の導入には理解を示し、多少割高になってもあなたの会社から新しい技術を導入した製品を購入してきました。そして、この顧客の存在はあなたの会社が業界で技術リーダーの立場を占めるのに存在してきました。

ところが最近役員が代わり、新しい役員は、コスト削減に強い関心を示す人でした。ここで2つの考え方が生まれてきました。

ひとつは従来の顧客はあなたの会社の技術力を評価してくれているので、あなたの会社が技術革新を続けていけば、顧客との取引は長く続けることができるだろう。そして技術革新をすることは他の顧客への競争力にもなる。よって、技術革新こそ追求すべき目標だという考え方です。

もうひとつはここにきて出てきた考え方で、顧客はコスト削減を気にしているので、今の価格では顧客を失うことになる。この顧客だけはなく、多くの顧客がコスト削減を重視しているので、多くの顧客を失うことになる。よって、コスト削減に努め、価格競争力をつけるべきだという考え方です。

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2013年10月28日 (月)

【コンセプチュアル仕事術】第3話~データから仮説を立てアクションをとる

Data◆データを言語化し、本質を表現する

コンセプチュアルという言葉からは概念的な表現を連想するかもしれないが、コンセプチュアルのひとつの軸は、データと言語表現である。

目標を立てて仕事をすると、目標は計測可能なものであることが望ましい。したがって、数値で表現され、データとして蓄積され、分析の対象になる。ここまではいいと思う。問題はこの後だ。

データから何かを考えたり、決めたりするときには、言語化しなくてはならない。つまり、データに隠されている本質を言葉で表す。そして、以降は言葉を使って思考を行う。その意味で、言葉として表現することはコンセプチュアルな仕事術の基本中の基本である。

コンセプチュアルスキルのことを概念化スキルということがあるが、概念化するとは、言語化することに他ならない。



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2013年10月22日 (火)

【コンセプチュアル仕事術】第2話~抽象的に考え、具体的に行動する

Chusyo◆イノベーションを起こす方法

たとえば、あなたは画期的なイノベーションを起こしたいと思っているとします。そのアイデア出しをどのようにしますか?

デザイン思考を活用し、イメージを形にしながら新しいアイデアを生み出していく方法もあります。自分が思い浮かべるテーマに関連する人たちを集めて対話を繰り返すのも一つの方法かもしれません。キラークエスションを使うと言う方法もあるでしょう。この方法ならいいアイデアが生まれるという方法があれば、誰も苦労しないと愚痴の一つをこぼす人もいるかもしれません。実際に、創造とか革新、イノベーションをキーワードとする思考法や、活動体系は試しきれないくらいの数がありますが、このこと自体が有効な方法がない証拠かもしれません。

その中で、多くの方法や活動の共通するのが、今回のテーマである、抽象的に思考し、具体的な行動に落とすという考え方です。もちろん、これだけではありません。たとえば、この前に、現象を観察するとか、現象を分析するなどが入ることもありますし、抽象的な思考と具体的な行動を繰り返す場合もありますが、コアになるのは抽象的な思考と、具体的な行動です。

冒頭の問題で、イノベーションにおいて、抽象的に考え、具体的に行動するというのがどういうことか、シミュレーションしてみましょう。


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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。