(シナリオプラニング1/2はこちら)
◆シナリオとビジョン
前回、シナリオプラニングの歴史や必要性を説明し、シナリオプラニングの大まかな流れとして以下のようなものになるという説明をしました。
(1)描きたいシナリオの範囲を決めて、リサーチを行う
(2)分析をする
(3)情報を統合する
(4)ストーリーでプランを描く
(5)複数の選択肢を提示する
今回はこの手順をもう少し細かく見ていくことにします。まず、シナリオプラニングのゴールイメージですが、文字通りシナリオです。シナリオという言葉の意味ですが、ドラマのシナリオという言葉のイメージがあって、一つの筋書きをイメージする人が多いですが、シナリオプラニングのシナリオは複数の筋書きを意味します(この筋書きもシナリオと呼ぶことが多いので少しややこしいのですが)。
前回述べましたように、シナリオプラニングは従来、未来適応戦略を策定のための分析手法として位置付けられていました。つまり、未来適応のシナリオプラニングでは複数の選択肢を提示するところがゴールで、シナリオを使って妥当性のあるシナリオを選んで戦略を策定します。
これに対して、未来創造のシナリオプラニングではビジョン策定までを行うことがあります。つまり、もっとも望ましいシナリオを選んで将来ビジョンの描くわけです。
ビジョンの描き方については後で触れることにして、まず両方のシナリオプラニングに共通するシナリオを作るところまでの進め方を説明しましょう。
◆はじめに
プロジェクトの補助線メールマガジンの連載第2弾として、「リーダーのためのビジネスナレッジ」という連載を開始することにしました。
リーダーがビジネスを進めていくために必要なビジネスナレッジを手短に提供していこうという趣旨の連載です。
◆シナリオプラニングの歴史
ここ数年、フューチャーセッション、未来創造など、未来を見すえた活動をすることに関心があつまり、その中核として注目されているのが「シナリオプラニング」です。
シナリオプラニングは意外と古い歴史を持つ手法で、世界第二次大戦の軍事計画研究に遡ると言われています。
初期のシナリオプランニングは、予測を立てて、それを管理するというプランニング手法にでしたが、そののち進化し、ビジネス分野でも事業戦略構築やマネジメント手法として活用されるようになりました。このあたりの流れはプロジェクトマネジメントと似ているといえます。
シナリオプラニングがビジネス分野で注目されることになったのは、1970年代にロイヤル・ダッチ・シェル社(以下、シェル)が活用し、大きな成果を上げたことです。
シェルでは、未来がどうなるのか、それがなぜ起こるのかを組織内で考えていった結果、複数の未来のストーリーをシナリオとしてまとめました。そのシナリオの一つが日本にも大きな影響を与えた「石油危機シナリオ」です。そして、事前に組織内の体制を整えていたことで効果的に対応していきました。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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