プロジェクトのレバレッジマネジメント Feed

2010年1月 5日 (火)

PMサプリ200:管理メカニズムと哲学を混乱してはならない(フルバージョン)

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管理のメカニズムを、本質や哲学と混乱してはいけない(フレデリック・テイラー)

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◆テイラーの科学的管理法

PMサプリもおかげさまで、今回で200話になる。200話ということで、少し、重みのある言葉を探して、見つけたのがこれだ。フレデリック・テイラーが1911年に著した「科学的管理法」からのフレーズである。

現代では、科学的管理法の評判は決してよいものではない。もっとも批判されているところは、人間を機械として扱っているという点だ。テイラーは科学的管理法の父と呼ばれるが、マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカーは著書「マネジメント」の中でテイラーを以下のように称している。

テイラーは、労働の生産性を押し上げ、それによって労働者たちにまずまずの暮らしをさせたいと願ったわけだ

管理のメカニズムの本質とは労働の生産性の向上であり、労働によって得られる対価
を引き上げることであった。日単位の出来高払いの仕事の中で、労働者はテイラーの
科学的管理法の指導を受けて作業方法を変えることによって、生産性を向上すること
ができ、それによって従来よりははるかに多い報酬を手にすることができた。

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2009年5月26日 (火)

【補助線】プロジェクトの神とレバレッジ

◆Der liebe Gott steckt im Detail

神は細部に宿る(Der liebe Gott steckt im Detail)という言葉がある。誰の言葉か不明だが、ドイツの建築家L. M van der Roheが世の中に広めたというのが定説になっている。

もともと、建築について言及した言葉だが、いろいろな使われ方をしている。問題は意味(解釈)だが、これまた、さまざま。細部の細かなところまでこだわるといった使い方をしているケースもあるし、逆に、細部が全体に統合されなくてはならないという意味に解釈している人もいる。結局のところ、この2つは同じことなのかもしれない(であるべきということ)。

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2009年4月21日 (火)

【システム講座ミニ講座第1回】プロジェクトレバレッジを見つけて、効率的にプロマネを行う!

スケジュールが遅れている

この問題に対するもっとも表層的な解決方法は、「要員を投入し、遅れを挽回すること」である。しかし、経験的にそれでは問題解決にならず、「真の原因」を考えなくてはだめだと言われるようになっている。いわゆる問題解決である。

「真の原因」といういう言葉はなんとなく説得力のある言葉で、かつ、WHYを5回繰り返せといった経験的な手法があわせられているので、多くの人がそうだ!と思っている。

では、なぜ、5回なのか?真の原因とそうでない原因はどこにあるのか?

と改めて尋ねられるとどうだろうか?

多くの人は、「あれ」と思うのではないか?実は、これは相当難しい話だ。

ソフトウエア開発では、フレデリック・ブルックスが

人月の神話 狼人間を撃つ銀の弾はない

でもっとも有名な法則として

「その2:遅延プロジェクトに人員を投入すると、さらに遅れる」

という法則をご存じの方も多いと思うが、なぜかと言われると、この本を読んでいない人が説明できる人は多くないだろう。おそらく、5回のWHYを繰り返してもこの答えは見つからない。

では、真の原因に到達するにはどうすればよいか?

問題の構造をみて判断することである。たとえば、5回WHYを繰り返し、

スケジュールが遅れている
 ←アクティビティにおいて、見積もり工数以上の工数がかかっている
  ←作業担当者の生産性が低い
   ←残業が続いており、作業担当者の疲労がひどい
    ←作業担当者のスキルが低い

となったときに、根本的な問題は「作業担当者のスキルが低い」ことなのだが、プロジェクトの中で注目したい問題は、実はこの問題ではないことが多い。むしろ、その前段の「残業が続いており、作業担当者の疲労がひどい」である。

つまり、真の原因というのは根本的な原因ではなく、その問題を引き起こしている「本質的な問題」であり、これは、問題の構造を考えなくてはわからない。

上の例だと、確かに、

スキルが低いので残業が多い

という因果関係はあるのだが、それ以上に、全体構造を見ると

疲労で下がる生産性とスキル不足で下がる生産性を比べると、疲労の方が大きい

という関係が強い。従って、本質的な問題は「残業が続いており、作業担当者の疲労がひどい」ということができる。

言い換えると、本質的な問題とは、その問題を解決することによって、画期的に状況が変わるような問題であるといえる。最近のはやり言葉でいえば、「レバレッジ」と呼ばれるものである。

このレバレッジをうまく探して、適切な対応をしていくための方法として「システム思考」がある。

今回から、短期連載として、「システム思考ミニ講座」をお届けする。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。