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2014年2月17日 (月)

【新連載・リーダーのためのビジネスナレッジ】第2講 ゲーミフィケーション(4)~ゲームデザイン

Game1_5◆ゲームデザインのプロセス

前回はゲーム要素について紹介したが、今回は最後にゲームデザインについて解説します。

ケビン・ワーバック、ダン・ハンターはゲーミフィケーションにおけるゲームのデザ
インは

(1)ビジネス目標を設定する
(2)対象とする行動を具体的に考える
(3)プレイヤーを詳しく説明する
(4)アクティビティのサイクルを考案する
(5)楽しさを忘れない
(6)適切なツールを活用する

の6つのステップで行うのがよいとしてします。



◆目標をどう設定するか

(1)のビジネス目標は一般的なビジネスの目標ではなく、ゲーミフィケーションに
よって向上を狙う特定の業績目標です。たとえば、生産性の向上、品質の向上など
が該当します。

重要なことはゲーミフィケーションはモチベーションの手段で、前回述べたように単純な仕事を楽しくやり、ワークモチベーションを向上させるような効果がありますが、最終的に業績につながらないと持続性がありません。

何のためにゲーミフィケーションを導入するのかというところからスタートする必要があります。

目標定義のプロセスは

達成目標のリストアップ
 →達成目標に優先度をつける
  →目標設定の理由を明確にする

という順序で行うことができます。

目標が決まれば、次は対象行動を具体的に考えていきます。


◆目標達成行動とゲーム要素をどう結び付けるか

ゲームのデザインの最大のポイントは、目標達成のための行動とゲーム要素をどう結び付けるかです。そのためには、プレイヤーに何をさせ、それをどうやって測定するかを考える必要があります。ちょうど、仕組みづくりでメトリクスを設定するのと同じ考えです。

たとえば、ビジネス目標として、顧客提案件数を増やすという目標を掲げたとします。すると、

・顧客の声を集める
・類似事例を探す
・顧客の顧客を観察する

といった行動が考えられます。

次に、プレイヤーを説明する。これはペルソナを作るのと同じ要領です。


◆アクティビティサイクル

ゲームをデザインする中でもっとも難しいのは、アクティビティサイクルを作ることです。アクティビティサイクルは、あるユーザーの行動が別のユーザーの行動を引き起こす一連の連鎖を示すものです。

アクティビティサイクルには

・エンゲージメントループ
・進捗ステップ

の2種類があります。ゲームでは、モチベーションに基づいてユーザーが行動し、それに対してフィードバックが行われ、そのフィードバックによってユーザーはさらにアクションを起こすというのが基本構造です。これがエンゲージメントループです。

この際のフィードバックが問題だが、基本的にゲーム要素はすべてフィードバックになります。ところが、これだけではユーザーには進歩がなく、いつか飽きてしまいます。そこ
で、進捗ステップというアクティビティサイクルを作ります。簡単にいえばレベルアップです。

これでデザインの骨格はできますが、ここで楽しさという面から確認し、さらにインプ
リメントをするツールを選びます。

以上がゲームデザインのプロセスです。


◆楽しさを忘れない

実際にビジネスの面で難しいなと思うのは、実は楽しさを忘れないというプロセスです。デジタルゲームの世界に「クソゲー」と言う言葉がありますが、たとえば、

・つまらなくて、すぐ飽きてしまう
・難しすぎて、やる気がなくなってしまう
・シナリオや設定が悪く、一貫性に欠ける

といったものが該当するようです。少なくともこれらの性質が該当するものは楽しくないというわけです。特にビジネスでは楽しむことに罪悪感があり、まじめな方向に走ってしまうと上のようなゲームになってしまうことが多いので気をつける必要があるといえるでしょう。

ということで、ゲーミフィケーションの解説は以上で終わりますが、ゲームと言うとイロ
モノ的に見れらていますが、ゲーミフィケーションもMBAコースで教えられるものになってきており、そろそろ、ゲームに対する認識を変える必要があるのではないかということを最後に付け加えておきたいと思います。

【参考資料】
ケビン・ワーバック、ダン・ハンター(三ツ松 新監訳、渡部典子訳)「ウォートン・
スクール ゲーミフィケーション集中講義」、阪急コミュニケーションズ (2013)

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。