マネジメントに直感を活かす
児玉光雄「天才社員の育て方」、日本経営合理化協会出版局(2006)
お奨め度:★★★★1/2
1万5千円とちょっと高い本だが、ひょっとすると、それだけの価値があるかもしれない。著者の児玉光雄氏はトッププロスポーツ選手から指導依頼が殺到するスポーツ心理学の第一人者。その児玉氏が20年以上の研究を経て開発した独自の 「右脳開発メソッド」を、ビジネスリーダー向けに体系化した本。
このメソッドは、ガンガン“自分から働く人材”になる、「持続力」「没頭力」「創造・ 発想力」「人間力」…の4大能力を、無理なく、自然と習得させることができるそうだ。
この本では、さらに、天才育成を社内に「仕組み化」するために、社長としてどう 手を打つかの「戦略記入シート」も各タスク毎に収録されており、これらのシートを使うことによって、すぐに取り組むことができる。
「右脳開発メソッド」自体はもう少し、購入しやすい本がある。
児玉光雄「直感力 「上手に決断できる人」になる脳力トレーニング」、フォレスト出版(2006)
この本では、直観力をアップするための方法として右脳開発メソッドを説明している。
マネジメントの理論の中では、意思決定の際に、合理的(論理的)な意思決定と直感をうまく統合することがポイントだといわれることが多いが、では、実際に、それをどのように統合するかは難しい。そのヒントというより、方法そのものを示してくれるこの本の1万5千円は高いか、安いか?
価値観の問題だろう。
はじめに
1. 組織力より天才社員の時代
1、異端児が会社を伸ばす ……………………………
個性こそが世界で通用する武器
正しいスイングとは何か
経営者が異端児に興味を持ち始めた理由
2、本物の自主性を育てよ ……………………………
優等生がお荷物になる時代
未開の地で動ける人材
イチローにサッカーをさせるな
3、天才を育てられるリーダーの条件 ……………………………
個性を活かすための3大条件
心に響くビジョンの4原則
やる気と情熱の源
リーダーは聞き役に徹せよ
結果でなくプロセスを見よ
モニタリングで情熱を探れ
4、天才が育つリーダーの采配 ……………………………
日本的チームワークの限界
リーダーは采配に徹せよ
2. 天才社員が育つ仕組みづくり
天才社員を育てる16のステップ ……………………………
人材育成のための重要な条件
まず始めに持続力ありき
のめり込める力
きっかけをつかむものが飛躍する
本物は厚みが違う
4つの能力を身につけさせる16のタスク
タスク1 小さなことから ……………………………
嫌な事でもこなせる大事さ
小さなことからでしか、大きな成果は得られない
毎日同じ時間に同じことをやる習慣
「プチ達成感プロジェクト」を推進しよう
タスク2 コツコツ ……………………………
継続から生まれる驚異的な力
石の上にも最低3年
量質転化と慣性の法則
一つずつ、丁寧に、最後まで
「声かけ運動」がコミュニケーションの量を劇的に増やしてくれる
部下との接近度チェック用紙を活用しよう
タスク3 忠実に真似る ……………………………
マネ上手が天才に育つ
すべての創造は、真似から始まる
なぜ真似ることを恥じるようになったか
真似ることにより成功したメジャーリーガー
デキる人を意識して忠実に真似よう
タスク4 小さい目標設定 ……………………………
小さい目標達成の積み重ねが大を成す
目標は最小単位に区切って数値化する
メモの効用
重要な業務を最優先させる
「1日のハイライト実行運動」を社内に浸透させよう
タスク5 宣言・必ずやる ……………………………
有言実行こそ成功の秘訣
2種類の有言実行
チャレンジ宣言でドンドン自信と実力がつく
「半減ルール」と「2倍ルール」を適用しよう
これが使命感を育てる特効薬
タスク6 プロセス管理 ……………………………
プロセスを押さえればヒットを連発できる
一喜一憂はアマチュア
プロセス思考は姿勢に現れる
部下の長所と短所をしっかりと把握する
「進捗評価シート」を活用しよう
リーダーは気配り上手たれ
タスク7 内発的モチベーション ……………………………
天才たちは皆、内発的エネルギーの塊
小さな目標から徐々に引き上げる
内発的モチベーションが湧き起こる仕組みづくり
何に夢中になっていたか
タスク8 集中する時間を確保する ……………………………
集中できれば誰でも天才になれる
集中力を強烈に生み出す源とは
集中力を高める2つの方法
集中できた時間を知る
放っておけば時間は自然に膨張していく
タスク9 本物のプラス思考 ……………………………
ヒラメキは逆境突破のプラス思考から
逆境こそ飛躍のチャンス
思い込んだらそれが当たり前になる
チャレンジ伴う失敗には寛容さを
あるモノ、長所を書き出す
タスク10 頻繁にイメージする ……………………………
映像化でヒラメキが生まれる
映像は実際と変わらない
天才は、目の前を通り過ぎる数少ないチャンスを決して逃さない
一日編集イメージトレーニング
絵や図を用いる習慣づくり
タスク11 直感を使う ……………………………
直感が無敵の対応力と改革力を起こす
経験で直感は強くなる
直感を研ぎ澄ませるには
即断即決トレーニング
ピンときたものを書き出す
タスク12 願望から信念に ……………………………
天才は己を信じて疑いを知らない
信念が成功の扉をこじあける
強烈な自信から信念が生まれる
信念により大番狂わせを演じたボクサー
信念を高める仕組みづくり
タスク13 危機管理 ……………………………
王者に君臨し続けるための方策
動じないことが最大の危機管理
負のシミュレーション
ピンチこそ飛躍のチャンスと捉えよう
タスク14 回復力 ……………………………
ピンチは飛躍すべき時にやってくる
事実を真摯に受けとめる
笑顔とリラックスの効用
真に受け止める体質
細部まで記録しておく
回復力はリフレッシュから
タスク15 行動 ……………………………
行動が人間の幅を広げる
枠を超えるチャレンジに人は魅せられる
全力でがんばっているから魅了される
思考パターンが行動を支配する
行動癖が社内に根付くための5つのポイント
タスク16 自己実現 ……………………………
自己実現はあくなき成長の原動力
一流選手は、最高の自分が見たい
ほんの一握りの人にだけ与えられる快感
自分のため、誰かのために
声が届く仕組み
3. 天才社員が育つ風土づくり
1、リーダーみずから変革を起こせ ……………………………
右脳を鍛えた人材だけが生き残る
失敗を許そうとしない風土と決別せよ
失敗は、チャレンジした者に与えられる勲章
「勝手に走るように、走るように」育てる
2、個力こそ、成長の原動力 ……………………………
社員が望む本当のやり甲斐
100人、100特技の時代
参考図書
著者紹介
奥付
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