メンタルケアのあり方を考える
奥田英朗「イン・ザ・プール」、文藝春秋(2002)
奥田英朗「空中ブランコ」、文藝春秋(2004)
奥田英朗「町長選挙」、文藝春秋(2006)
お奨め度:★★★★
でっぷり体型、患者おちょくりアホ発言連発、笑えば歯茎丸出しの注射フェチの精神科医伊良部一郎が、くわえタバコで、斜にかまえ、ミニミニ白衣の胸の谷間で患者を惑わす相棒の看護師のマユミちゃんと軽度の精神病患者を次々と癒していく短編。
最初のインザプールが仰天ものだったが、映画化までされた。
そして、第2作の空中ブランコは直木賞受賞。とにかく面白い。何よりも設定がありそうなナンセンスで興味深い。24時間勃起しっぱなしという病に冒された営業マン、家のガス、電気、鍵をしめたか気になって、何度も確認のために帰宅してしまう強迫神経症のルポライターなどがやってくるが、意図的な、無意識か、興味本位でいい加減な対応がどんどん、患者の問題を解決していく。
そして、第3作になる「町長選挙」では少し作風が変わった作品がある。明らかに、実在のモデルをデフォルメして描いている作品がいくつかある。ホリエモン、ナベツネなど。
メンタルヘルスはマネジメントの中でも重要性が高まってきている。カウンセラーや専門家に任せて、マネジメントとしてたタッチしないというのが一般的であるが、それでは問題は解決しないのではないかと思う。仕事の問題は、仕事の中でしか解決しない。それを解決するためには、同じ目線で行動レベルで入り込んで解決していくしかないだろう。
そんなことを思わせる伊良部の奮戦記である。
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