毒をもって毒を制す
ジェームズ・フープス(有賀裕子訳)「経営理論 偽りの系譜―マネジメント思想の巨人たちの功罪」、東洋経済新報社(2006)
お奨め度:★★★
マネジメント論というのは必要悪だと思っている人は多いと思う。しかし、なぜ、必要悪かと問われると答えに窮するのではないだろうか?
僕はこのスタンスはよいと思う。最終的にどういう答えが得られるかではなく、ポジティブな側面だけでなく、ネガティブな側面を見ていかないと、マネジメント論というのはうまく活用できないのではないかと思っているからだ。
企業経営の中で組織にそれだけの余裕があるかどうかは別にして、必要悪という視点から、マネジメントの仕組みを徹底的に議論することによって、初めて何が必要かがわかるように思う。
その意味で、このようなマネジメント書はあってもいいと思う。
ただし、完成度という点ではどうかという気もする。特に、何を基準に、テイラー、ギルブレス夫妻、ガント、メフォレト、イヨー、バーナード、デミング、ドラッカーの9人を選んだのかは疑問である。が、書籍のモチーフに適した9人だとも思える。
まあ、一度、読んでみてください。という一冊ですね。ちょっと高いけど。
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目次
1 科学的管理法(草創期のアメリカでの人材マネジメント
「悪魔」―フレデリック・W.テイラー
「技術者」―ギルブレス夫妻とガント)
2 人間関係論(「楽天家」―メアリー・パーカー・フォレット
「心理療法家」―エルトン・メイヨー
ザ・リーダー―チェスター・バーナード)
3 社会哲学(「統計学者」―W.エドワーズ・デミング
「道徳家」―ピーター・ドラッカー)
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