正しいメンタリングの仕方を身につける
渡辺三枝子、平田史昭「メンタリング入門」、日本経済新聞社(2006)
お奨め度:★★★★
最近、メンタリングが注目されるようになってきている。コーチングブームからの派生だと思うが、あまりにも局所的な部分に焦点が当たりすぎているように思う。
ご存知の方も多いが、メンタリングという言葉は叙述詩「オデッセウス」の登場人物「メントール」という人物が語源だといわれている。オデッセウスが放浪の旅に出るときに,息子の養育を老賢人メントールに依託した。オデッセウスの期待に答え、メントールは見事に息子を育て上げたという話がある。
一人の子供、それも、王様の後継者を育てるという仕事を考えてみてほしい。さまざまな観点から、さまざまな対応をしなくてはならない。それがメンタリングである。あるときには、子供を信用して、全面的に見方をしてやる必要があるだろう。あるときには厳しく指導してやる必要があるだろう。あるときには友達になってあげる必要があるだろう。などなど。
その一因は、メンタリングという言葉や概念は普及してきたが、その方法については自己解釈、経験論が多く、メンターとしてきちんと勉強していない人が多いためだと思われる。
その意味でメンターになる人は、必ず、メンタリングの勉強をしてほしい。そんな人にぜひお奨めしたいのが、この本である。専門的な用語の使用を避け、わかりやすく、かつ、結構、網羅的に書かれている。事例もふんだんに掲載されている。
この本を読んで、興味をもったら、ぜひ、一度、本格的に勉強をしてみてほしい。それには、こちらがお奨め。
キャシー・クラム(渡辺直登、伊藤知子訳)「メンタリング―会社の中の発達支援関係」、白桃書房(2003)
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