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2006年1月23日 (月)

役人とプロジェクトマネジャー

412003238809lzzzzzzz 久保田勇夫「役人道入門―理想の官僚を目指して」、中央公論新社(2002) 

お奨め度:★★★★

4年近く前に出版された本であるが、偶然、書店で見つけた。たいへん、面白い本で、珍しく、初読からみっちり、読み込んだ。何が興味を引いたかというと、プロジェクトマネジャーというのは役人道を極めればよいのではないかという点。とても意外な発見だった。
著者の久保田氏は、プロフィールによると東大法学部から大蔵省入省、官僚キャリアの最後は国土庁事務次官で終わったとある。王道のキャリアを歩んだ人だ。その久保田氏の自伝的回顧的に役人のあり方、思考規範、行動規範を説いた本。

ここで興味深いのは、社会学者のマートンの指摘である。それは、

規則や命令をかたくなに重視すると、それさえ守りすればよいということで、内部では形式主義、事なかれ主義になる。外部に対しては面倒な手続きをおしつける繁文縟礼(はんぶんじょくれい)となる。 権限の原則、専門化は、各部門の利益ばかりを考えるセクショナリズムを生みやすく、責任の回避、秘密主義、権威主義といった欠点となる。 上下関係の階層秩序は、下層に無関心を生みやすい。
これらの逆機能が強まると、合理的なはずの官僚制が、非効率的なものとなる。

といった指摘である。マートンはこれを「官僚制の逆機能」と呼んだ。

逆機能が起こってしまうと、いわゆる「官僚主義」となり、揶揄の対象になるが、この本を読んでいると、逆機能をさせ起こらなければ、すばらしくよく考えられた組織であることがわかる。

特に感じるのは、プロジェクトマネジャーは本質的に役人道をきわめていなくてはならないのではないかということだ。事業マネジャーには役人道はマイナスになる部分も多いと思うが、プロジェクトマネジャーにとっては非常に参考になる。

プロジェクトマネジャーの方、ぜひ、ご一読を!

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目次

第1章 文章編
第2章 交渉編
第3章 組織編
第4章 人事編
第5章 健康編
第6章 世界の役人たち

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