2007年1月12日 (金)

PMサプリ59:2つの問題を同時に解決せよ

二律背反の中にビジネスチャンスがある。2つの問題を同時に解決せよ(ミズノ社長・水野明人)

【効用】
・PM体質改善
  顧客感度アップ、創造力アップ、問題解決能力向上
・PM力向上
  プロ意識の向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、弱気克服

【成分表示】

◆二律背反の中にビジネスチャンスがある
◆納期とスコープの二律背反
◆ゼロベースで問題解決をする~商品開発プロジェクトでの例
◆ゼロベースで問題解決をする~商品開発プロジェクトでの例

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2007年1月11日 (木)

【補助線】マネジメントできないプロジェクトマネジャーたち

ドラッカーが発明したというマネジメント。ドラッカーは

マネジメントをその役割によって定義しなければならない

とし、役割として

 ・組織に特有の使命、目的を果たすこと
 ・働く人を人間的存在として活かす
 ・社会的問題の解決に貢献すること

の3つをマネジメントの役割だと定義した。以来、マネジメントは、さまざまな学者、実務家によってさまざまな形で語られているが、大枠でドラッカーの定義の範囲での議論になっている。

中でも興味深いのは、戦略論のグル(大家)の一人である、ミンツバーグのエスノグラフィー(民族誌学)

456124218x09lzzzzzzzヘンリー・ミンツバーグ(奥村哲史、須貝栄訳)「マネジャーの仕事

である。この本を読んでみても、はやり、マネジメントとは、ドラッカーの定義した役割を果たすためのさまざまな活動だという印象が残る。

ミンツバーグのエスノグラフィーを参考にしつつ、ドラッカーの定義をもう少し、具体化してみると、マネジャーの仕事というのは

 (1)ビジョンを策定し、課題、目標を設定する
 (2)メンバー全員で目標達成のためのプラニングをする
 (3)プラン実行のための組織の運営方法を決める
 (4)メンバーとコミュニケーションをし、一人ひとりの能力を発揮させる
 (5)プロセスマネジメントを強化する
 (6)目標達成に立ちはだかる問題を解決する
 (7)メンバーを評価する

の7つの集約されるのではないかと思う。成果を生み出すためにこれらを効果的に行うのがマネジメントである。

プロジェクトマネジメントはマネジメントである。プロジェクトに対してこれらの7つを行うことが仕事である。プロジェクトマネジャーはプロジェクトを任され、これらの仕事をしなくてはならない。

マネジメントはプロセスではできない。コンピテンシーを以って行うべきものである。しかし、PMBOKの標準プロセスなるものが膨張してくるとともに、プロジェクトマネジャーの中にはプロセスを指向するものが増えている。これが幻想だといわざるを得ない。マネジメントができないプロジェクトマネジャーになる可能性が大きい。

「ひとつ上のプロマネ。」はプロジェクトマネジャーを目指すのではなく、マネジャーを目指さなくてはならない。プロセスではなく、コンピテンシーを指向しなくてはならない。そのような視点を持って自分の能力を開発していかなくてはならない。

2007年1月 9日 (火)

プロフェッショナリズムを学ぶ

4198622655_01__aa240_sclzzzzzzz_v4847349_1 B‐ing編集部編集「プロ論。3」、徳間書店(2006)

待望のプロ論。第3弾。

「プロ論。」が出たときに、これはプロフェッショナリズムを学ぶにはとてもよい本だと思って、好川塾でテキストに使った。

すると、徳間書店でこの本の編集をされた方からお礼のメールを戴いて、かえって恐縮したことがある。

まだ、2年ほど前のことなのだが、当時と較べると、第1弾はベストセラーになったし、すっかり、ステータスが確立した感のある本だ。取り上げているプロフェッショナルのグレードが上がっているように思う。

内容は相変わらず、濃い。第3弾が出たのを契機にお正月に、3冊まとめて読んでみた。表現は違うのだが、やはり、その道のプロというのは、同じような規範、行動原則があることを改めて認識した。

僕は、ときどき、気が向いたときに拾い読みしている。元気がでる。そんな読み方をしてはどうだろう。

Forest_1  「ビジネス書の杜」の書評はこちら

2007年1月 8日 (月)

【補助線】プロジェクトは山登りか?

マーケティングコンサルタントの阪本啓一さんが、メールマガジン電脳市場本舗~Marketing Surfin'で、「マネジメントの3D」ということを言われている。3Dとは

「意思決定(Decision Making)」

「デザイン(Design)」

「実行(Do)」

の3つのDであり、マネジメントにはこの3Dが重要だというのが阪本さんの考えだ。

そして、阪本さんは「エベレストに登る」のと、会社経営をすることはどちらが難しいかという問題提起をする。

<エベレストに登る>

・意思決定=エベレストに登ることを決めるTerm

・デザイン=ルートや使う道具を決める

・実行=実際に登る

ところが会社を経営する場合には、そこに山はないので、山を作ることから始めなくてはならない。すると、次のような感じになる。

<会社を経営することの比喩>

・意思決定=山をつくることを決める

・デザイン=どんな山をつくるかを決める

・実行=山をつくり、登る

このように会社経営は登るだけではなく、山をつくるところから始めなくてはならない。だから会社経営の方が難しいというのが阪本さんの考えだ。

このメルマガを読んでいるうちに、僕が今までうまく表現できていなかったことがはっきりした。

プロジェクトというのはどちらなのだろうか?

この比喩でいえば、プロジェクトは山登りであると思っている人が多い。そして、エベレストに登れるか、その辺の山に登れるかがプロジェクトマネジャーの能力であると思っている人も多い。

たしかに、どんな山を作るかは決まっている。山頂が見えていることも多い(最近は、見えないことも多いが)。

しかし、プロジェクトは山登りだと言い切ってしまうと、

 誰が山をつくるのか

という問題が残ってしまう。プロジェクトは経営(戦略)の実行部分である。これは、阪本さんの比喩を使うと、

Management  プロジェクト=山をつくりながら、登る

ということを意味している。

もちろん、つくるという程度はいろいろあると思う。もろい地盤があり、それを固めながら登っていけばよいプロジェクトもあるかもしれないし、ひょっとすると、一から土を盛りながら登っていかなくてはならないプロジェクトもあるかもしれない。

このときに、山を作るのは「経営の責任だ、山ができてから登れといってほしい」と行ってみても何も変わらない。

「普通の優秀なプロマネ」がエベレストに登れる人だとすると、「ひとつ上のプロマネ。」は、経営がデザインした山を創りながら登れる人である。

2007年1月 7日 (日)

【補助線】脱・タコツボプロジェクトマネジメント

『ひとつ上のプロマネ。』という言葉から、「プログラムマネジメント」、「マルチプロジェクトマネジメント」を連想される人は多いと思う。

Siya ある意味でこれは正しいと思う。ある意味というのは、これらは

 視野を広く持った上で、全体のバランスを考える

ことに本質があるからだ。

プロジェクトマネジャーは、得てして自分のプロジェクトの利益だけを考えて動く傾向がある。タコツボプロジェクトである。権限委譲の意味を勘違いし、権限委譲されているので、自分たちだけで「できる」と勘違いしているケースだ。

組織の中でプロジェクトをやっている限り、これは論理的に成立しない。無理は、組織の中での無理を生み、必ず自分のプロジェクトに跳ね返ってくる。ここをいかにうまくコントロールできるかが問題だ。

このすべてがプロマネの守備範囲だとは思わないし、それがPMコンピテンシーだとも思わない。むしろ、これは組織の問題であり、プロジェクトスポンサーの問題である。しかし、どこまで見えているか、そして、それに対してどのようなイニシャティブを取れるかは大きなポイントである。

タコツボから出て、海で泳ぐことができる。

これが、ひとつ上かどうかのひとつの分かれ目であることは間違いない。とりあえず、こんな本は如何でしょうか?

447979177901_1 アービンジャー・インスティチュート(金森 重樹監訳、富永星訳「自分の小さな「箱」から脱出する方法

「ひとつ上のプロマネ。」のブックリスト

Pmstyle_color1_2 PMstyle.bizに PMstyle.biz Booksを開店しました。サイト内で、書籍やソフトウエアの買い物をお楽しみいただけます。

日本語のサイトでこれだけきちんとプロマネ系の本を整理したサイトはないと思います。

「ひとつ上のプロマネ。」を目指す人は要チェックです!

PMstyle Books

2007年1月 6日 (土)

【補助線】栴檀は双葉より芳し

SIのプロマネをやっている山村さんから質問(意見)を戴いた。企業名を出さないことを条件に了解がえら得たので、公開質疑としたい。

【山村さんの質問】

「ひとつ上のプロマネ。」というのは、経験をつんだベテランのプロマネということでしょうか?ひとつ上のプロマネ。を目指すには、まず、多くのプロジェクトを経験するということになりますが、現実には同じようなプロジェクトしか担当しないので、難しいと思います。何か、アドバイスをいただければありがたいです。

Iimono僕は違うと思う。

 栴檀は双葉より芳し

という言葉がある。エンジニアの場合、この例えは難しい場合がある。それは、ファーストキャリアで、会社で仕事をすることの作法とか、お客さんとはどういうものなのかとか、常識がわかっていない人が、いきなり、うまくできるものではない(組織もそれはよく分かっているので、その時点での能力が発揮できるところにはめ込むので、それをあまり感じることはないだろう)。

ところが、プロマネはファーストキャリアであることはまずない。つまり、仕事をすることがどういうことか、お客様とはどういうものかを「その人」なりに分かっている。その上で、プロジェクトマネジャーという「ロール」をこなす。すると、やはり、「栴檀は双葉より芳し」となるのだ。たる人は、最初から「何かいいもの」を持っているのだ。

Kami これを「人間力」だとか、「PMコンピテンシー」だとかで言いたがるが、僕はそれでは物足らない。ひょっとすると、スピリチャルなものかもしれない。それをみなさんと一緒に探したいと思っている。

僕もよく分からないので、今のところ、「何かいいもの」とだけ言っておく。

確かに、「何かいいもの」は経験で身につくこともあるだろう。そういう人もたくさんいる。でも、経験だけでは身につかないようにも思う。

同じようなプロジェクトをやっていても、やり方が劇的に変わる。そんなゴールを目指しましょう!

2007年1月 5日 (金)

人脈はプロジェクトマネジャーの財産だ

4757304226_01__aa240_sclzzzzzzz_v3436483_1 藤巻幸夫「人脈の教科書~図解フジマキ流シビれる人生をつくる

藤巻流「人脈マネジメント論」。

いかに人脈を作っていくかを体系的にまとめている。人脈作りの本はノウハウが多いが、さすが藤巻氏と思うのは、ビジョナリーな内容になっている点だ。

自分にどのような人脈が必要かを考え、そこに戦略的にアプローチしていく。その中で、コミュニケーションノウハウとか、気遣い、心遣いなどをちりばめていく。この本の内容を一言で書くとそんなところだと思うが、まあ、よくこんな本をまとめたなと感心。

プロジェクトマネジャーにとって人脈は本当に財産である。商品開発のようなオープン系のプロジェクトはもちろんであるが、SIのようなクローズ系のプロジェクトでも、技術的な支援を受けるとか、リソースを探すといった場面で、社内外の人脈は大切だ。

今年の目標の一つに人脈形成を上げている人は、必読書!

Forest_1  「ビジネス書の杜」の書評はこちら

PMサプ58:「引き算」の発想

「引き算」の発想をする(松井証券社長 松井道夫)

【効用】
・PM体質改善
  アカウンタビリティ向上、問題解決能力向上、リスク管理力アップ、
  バランス感覚の洗練
・PM力向上
  リスク対応力向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上

【成分表示】

◆利益を配分する仲間は少ない方がよい
◆プロジェクトマネジメントと称して、足し算をしていないか?
◆足し算=部分最適、引き算=全体最適
◆引き算にはリーダーシップが必要

サプリを服用したい方はこちら

2007年1月 4日 (木)

一皮むけた経験を教えて!

Hitokawa_1 よろしければ、あなたの

「プロジェクトマネジャーとして一皮むけたプロジェクト(経験)」

を教えてください。

可能なら、コメント欄を使ってください。自分のブログをお持ちの方は、トラックバックでも結構です。

といってもなかなか、ピンと来ないと思いますので、金井先生の「仕事で一皮むける」でケースとして取り上げられているものをリストしておきます。

・管理職になり、団交委員として組合とのネゴシエーションをする

・初の管理職で現場に異動、集団の力と技能の本当の意味を知る

・新規事業の立上げと撤収による人材温存策に腐心する

・「敵塩」ともなるプラント特命で、仮説・検証の重要性を学ぶ

・自分の価値観を押し付けないことと「公私の峻別」を体得する

・事業を起こす「しんどさ」と事業を成功に導く要素を知る

・必要なら客を巻き込む大胆さと正直さの必要性に気づく

・仕事に惚れ込み、悲壮がることなく楽しんでやる大切さを知る

・考えたらただちに行動を起こす「7割正しければ、GO」の必要性を学ぶ

・「心のつながり」と「ひとつの規範にこだわらないこと」の二大教訓

・営業成績最下位の地方支社に赴任、成績をAランクに引き上げる

・青天の霹靂人事で人材開発部長になり、人材開発に新風を吹き込む

・経営の方向付けを通し、部門の物差しを脱して大きな座標軸が獲得できた

・工場のS&Bで、専門を超えて何かを創り上げるダイナミズムを味わう

・リーダーとしてグローバルサプライネットワークを構築する

・営業転出で、旗本直参から尾張百万石の陪臣になったような悲哀を味わう

・課長にを部下に持ち、「個々人に合ったマネジメント」を学ぶ

・プロジェクトリーダーから代表取締役まで、自分の価値を高め続ける

・「あなたに頼んでいるのだ」のひと言が、自分のあり方を変えた

・上司の姿から、仕事への厳しさや妥協しない姿勢を身につける

・経済団体の会長スタッフ業務のなかで、瞬間を掴まえる「呼吸」を会得

・外部研修で、「複眼」でものを見るすごさを知る

といったようなものが並んでいます。業務上の秘密があると思いますので、このレベルで結構です。

ちなみに、好川がひとつあげるとすれば、

「技術士の資格をとり、技術者として自信が出てきた頃に、まったく知らない技術分野の技術開発プロジェクトのプロマネを任され、3年間にわたり、産学の30名くらいの専門家と折り合いをつけながら、非常に楽しくプロジェクト活動を行うことができ、大きな成果を得た」

です。技術者として仕事をし始めて8年目くらいのときのことだったのですが、このときにマネジメントは面白いと思いました。

では、みなさんの経験談をお待ちしています!

PMstyle 2025年9月~12月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。