サーバントリーダーシップに注目!
高橋佳哉、村上力「サーバント リーダーシップ論」、宝島社(2004)
お奨め度:★★★
日本で初めてサーバントリーダーシップ論を本格的に論じた本。
リーダーシップはただでも、「おばけ概念」であり、いろいろな解釈が成立し、正体不明である。ましてや、そこにサーバントという概念が入ると、複雑を極める。この本の内容は好川の考えるサーバントリーダーシップとは異なる部分があるが、この本としては、きちんと論として整合が取れた書き方がされている。
サーバントリーダーシップの書籍としては、この他では、
ジェームズ・ハンター(石田量訳)「サーバント・リーダーシップ」、PHP研究所(2004)
こちらは小説仕立て。仕事と私生活で挫折した一人の男が、修道院で伝説的なリーダーに出会うところから話は始まる。この男が、リーダーに感化され、部下に生きがいを持たせ、やる気を引き出すリーダーになっていく話。
どうも、宗教的イメージが付きまとってしまう。サーバントリーダーシップが日本でイマイチ理解されないのはこの点にあるのだろう。
同じく小説形式で、
ケン・ブランチャード、フィル・ホッジス、ビル・ハイベルス(小林薫訳)「新・リーダーシップ教本―信頼と真心のマネジメント」、生産性出版(2000)
という本もある。こちらは、上の本よりも、もっと宗教色がある。ただし、もし、その部分をうまく処理氏ながら読めるのであれば、この本が圧倒的にお奨め!1分間マネージャーのケン・ブランチャードの作だというのも、楽しめる。
もうひとつだけ紹介しておこう。
アレグザンダー・ベラルディ(広岡結子訳)「「いい人」だけがビジネスで成功する―得るためにはまず与える サーバント・リーダーシップという考え方」、はまの出版(2002)
という本がある。この本はさまざまなサーバントリーダーについて書かれている本である。必ずしも理論的な背景は明確ではないが、タイトルにあるとおり、得るために、まず与えるという行動の実践者の成功について紹介している。面白い本である。
ただし、若干、道徳くさい。
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目次
第1章 いまの日本に必要なリーダーシップ
●リーダーシップの目的
●歴史に名が残るリーダー
●日本に必要なリーダー …etc.
第2章 サーバント・リーダーシップとは
●サーバント・リーダーシップとは
●サーバント・リーダーシップの特徴
●リーダーを創り続ける
第3章 サーバント・リーダーの目指すもの
●「組織の社会的な意義・目的」(ミッション)の役割
●「行動規範・守るべき価値」(バリュー)の役割
●「将来展望」(ビジョン)の役割 …etc.
第4章 サーバント・リーダーの資質と技術
●優秀なリーダーになれる条件
●リーダーシップの技術
●「聞く技術」 …etc.
第5章 やる気をおこす
●モチベーション理論
●チームワーク…ノリを創る
●緊急時・非常時のやる気の高め方 …etc.
第6章 部下を見抜く
●個人の成果の数式
●行動する力
●感じる力 …etc.
第7章 新しい組織創造における
サーバント・リーダーシップ
●目的を間違えた新組織では成果はあがらない
●M&Aにおけるリーダーシップの主要なテーマと8つの要件
第8章 東洋思想とリーダーシップ
●理・勢・道
●知・仁・勇
●徳 …etc.
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