和して同ぜず
T.W. カン「日本企業改革開放論―中国人の上司とうまくやれますか」、東京経済新報社(2006)
お奨め度:★★★1/2
全体的なできはどうかなと思うが、第3章の同質型チームワークと多様型チームワークの指摘は非常に面白い。
著者は、アジアでビジネスを展開するに必要なのは、「和を以って尊しとなす」ではなく、「和して同ぜす」であるという。中国は個人主義だとよく言われるが、欧米と較べると和を重視する。これは韓国にも言えることだ。欧米が徹底的な個人主義であるのに対して、中国や韓国は中間にある。
これはチームワークに顕著に現れる。日本は同質型のチームワークを重んじ、中国や韓国は欧米と同じ多様型のチームワークを重んじる。
米国と中国を較べたときに、中国に親和性を感じるのはこのあたりだろう。
著者は日本型を今後、維持するのは難しいだろうと指摘している。その上で、欧米型を目指すか、アジア型を目指すかが問題だと指摘する。
この問題を、歴史的視点や、国際経営の視点から議論している。結論はアジアとうまくやるには、「和して同せず」のスタンスが必要だという。確かに、日本らしさを生かし、国際社会に適応していく方法かもしれない。
第1章 立ち遅れる日本企業(中国は、どのように変わってきたのか
BRICsで急成長する韓国 ほか)
第2章 アジアを単眼的に見ていないか(日本と朝鮮半島はアジアの異端児か
先人たちが大陸文化から省いたもの ほか)
第3章 同質型チームワークと多様型チームワーク(「和して同ぜず」のアジアでは異端的な日本的同質性
密結合の日本、疎結合の韓中 ほか)
第4章 「和して同ぜず」を実践する13のテクニック(超国家企業と真の現地化
トップのリーダーシップと戦略性 ほか)
第5章 勝ち組になるための組織、個人、そしてアジアの条件(組織
個人 ほか)
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