人材育成担当の必読本
中原淳 (編集)、荒木淳子、北村士朗、長岡健、橋本諭「企業内人材育成入門」、ダイヤモンド社(2006)
お奨め度:★★★★1/2
企業内人材育成に際して必要な心理、教育理論を体系化した本。理論だから実践的ではないということではない。
人材育成については、おそらく、担当者はそれなりの持論を持っている。しかし、人材育成は非常に多面的な仕事であるので、その持論ですべてがうまく行くことが珍しい。うまく行かないときに、別の視点からやり方を見直してみることが大切である。
そのような目的で現場の実践家が使える本だと考えてよい。目次を見て戴くと良く分かるが、学習メカニズム、動機付け、インストラクションデザイン、学習環境デザイン、キャリア開発、と内容は心理学、教育学にわたっており、非常に幅広い。それぞれについて、執筆者が簡潔にまとめていて、読みやすい。
また、この種の編著にありがちな、得意分野を並べているといった風の本ではなく、関連性も比較的明確で、バランスが取れているように思う。その意味でも、企業の人材育成者に一度は読んでほしい一冊である。
目次
序章 「企業は人なり」とは言うけれど
第1章 学習のメカニズム―人はどこまで学べるのか
第2章 学習モデル―学び方で効果は変わるか
第3章 動機づけの理論―やる気を出させる方法
第4章 インストラクショナルデザイン―役に立つ研修をいかにつくるか
第5章 学習環境のデザイン―仕事の現場でいかに学ばせるか
第6章 教育・研修の評価―何をどう評価するか
第7章 キャリア開発の考え方―自分の将来をイメージさせる
第8章 企業教育の政治力学―人材教育は本当に必要か
終章 人材育成の明日
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