モチベーションマネジメントの決定版
デビッド・シロタ(スカイライトコンサルティング訳)「熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素」、英治出版(2006)
お奨め度:★★★★
モチベーションの源泉を体系的に分析した本。非常に面白いし、参考になる。何よりもすばらしいのは、膨大な調査を元に書かれていること。本書は、世界各国、総計250万人もにおよぶビジネスパーソンへの取材に基づいて書かれている。
取材の対象には、IT企業のエンジニア、大手製造業の社員、大好きだった職を失ったビジネスマン、パートタイム労働者、経営管理に日々頭を悩ます管理職、ボタン工場の職人など、本当にさまざまな職業の人、さまざまな立場の人が含まれている。
このためか、えっと思うような指摘も多い。マネジャーの方の頭をやわらかくするにももってこいの一冊だと思う。
この本の結論はタイトルにあるように、企業の競争力の源泉になるモチベーションの要素が、公平感・達成感・連帯感の3つであるという、聞けば当たり前の結論である。しかし、その結論(理論)に含まれる要素は非常に説得力があり、モチベーションマネジメントの決定版と言ってよい1冊だ。
==========
人気ランキング投票! → クリック!
目次
日本語版 訳者まえがき
はじめに
第1章 社員の情熱が企業を動かす
・情熱にあふれた社員とは?
・なぜ情熱が高業績をもたらすのか?
・人材パフォーマンス・モデル
第2章 情熱はどこから生まれるのか?
・若者は、やる気がないのか?
・「仕事の充実化」という幻想
・社員の欲求は一つではない
・モチベーションの三要素
・1公平感
・2達成感
・3連帯感
・誰もが望む三つのゴール
・社員の気持ちはいつも同じ
第3章 公平感を示す1 雇用保障
・社員は消耗品か?
・原則1 リストラに至るまでに、代替策をつくす
・原則2 リストラが不可避のときは、まず希望退職者を募集する
・原則3 寛大で、道徳にかなうやり方でリストラを行う
・原則4 リストラに至るプロセスのすべての情報を開示する
・原則5 残った社員への悪影響を最小限にとどめる
第4章 公平感を示す2 報酬
・給与とは何か?
・与えた分しか返ってこない
・成果主義賃金の罠
・1出来高給制度
・2メリット・ペイ制度
・グループ変動給を導入する
・1社員持株制度
・2プロフィット・シェアリング
・3ゲインシェアリング
第5章 公平感を示す3 敬意
・社員に対する接し方
・1屈辱的な接し方
・2無関心な接し方
・3敬意ある接し方
・「人間らしい」職場環境をつくる
・不要なステータス・シンボルを廃止する
・真に必要なステータスとは?
・自由を尊重する
・情報はできるかぎり公開する
・日々、礼儀をつくす
第6章 達成感を与える1 ビジョン
・四つのエクセレンスを実現する
・利害を超えるビジョンを示す
・すべてのステークホルダーに配慮する
・ビジョンをどう実現するか?
・1経営陣が自ら情熱をもつ
・2明快かつ具体的に表現する
・3実務に落とし込む
第7章 達成感を与える2 権限委譲
・不滅の悪、官僚主義を超えて
・社員が自ら経営に参画する
・フラットな組織を目指す
・自主管理チームを活用する
第8章 達成感を与える3 やりがい
・仕事のやりがいは人それぞれ
・嫌いな仕事にとどまらせない
・プライドの三つの源
第9章 達成感を与える4 フィードバック
・建設的なフィードバックとは?
・指導をためらってはいけない
・九つのガイドライン
・社員をどう称賛するか
・上級職へ昇進させる
・パフォーマンスの劣った社員への対処
・会社のビジョンと価値基準を伝える
第10章 連帯感を強める チームワーク
・休憩やおしゃべりは無駄なのか?
・仕事中の交流がチームワークを促進する
・部署間で対立する原因を探る
・利害対立を防ぐ
・誤解を洗いだす
・ワークショップで解決する
・企業文化として定着させる
第11章 パートナーシップを確立する
・これまでの経営スタイル
・1商取引主義
・2父親的温情主義
・3敵対主義
・パートナーシップの優位性
・すべてのステークホルダーに広げる
第12章 成功への9ステップ
・トップから始めよ
・成功への実践プロセス
付録A 準備アンケート
付録B 人口統計学的グループ別、職業別、地域別の仕事満足度
コメント