【コンセプチュアルスキル入門】第11回 洞察へアプローチ~常に前提を意識する
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(2)立ち位置を変えて目的を考える
(3)常に前提を意識する
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◆課題
吉本興業で一部の芸人の反社会勢力との関係が報道され、社会問題になって1ヵ月以上になります。有力タレントの発言、社長の記者会見、会長のインタビューなどいろいろな出来事があり、組織の問題にも矛先が向けられ、収束するにはまだまだ時間が必要な感じです。
吉本興業の反社会勢力との関係性が生まれた問題の本質はなんなのでしょうか?
◆問題認識
ニュースや記事で指摘されている問題点を網羅すると以下のようなものがあるようです。
・反社勢力に出向いていくのが悪い
・所属企業のヒヤリングで嘘をついたのが悪い
・直営業をするのが悪い
・コンプライアンスが徹底されていない
・吉本が反社企業の見極めができていない
・経営陣が今後問題になる芸人が出てこないという確信がない
・反社勢力との付き合いを芸人だけの責任にしている
・吉本がコンプライアンス上受けれない仕事を直営業でやっている
・芸人の報酬が低すぎる
・芸人と事務所の配分が不適切
・契約関係が不明確
・吉本と反社の関係が問題だ
・業界の在り方の問題
・会長のワンマン企業である
・社長が頼りない
・経営陣には一部の芸人しか見えていない
・経営陣と現場のコミュニケーションが悪い
・登録している芸人の人数が多すぎる
・マネジャーの数が少なすぎる
・NGCから芸人になっていくというビジネスモデルの問題
・芸人は成功できるかどうか分からなく、安心できない
・東京と関西の文化が違う
一つ一つの問題指摘の根拠としている具体的な事象は省略しますが、確かにそのような問題はあるという項目だけを残していますので、これらの問題は何らかの根拠を指摘されていると考えてください。
◆本質の関する考察
さて、反社勢力と吉本の関係が生まれたことの本質はなんでしょうか?一つの考え方は本質を考えるために、これらの問題事象に関連事象を加えて因果関係を明確にし、その構造を見て判断することですが、膨大な量になるのでここでは構造のエッセンスのみをご紹介します。実際に実務の中で「直観と論理」で問題の本質を見極めているのはこういうやり方を取っている人が多いと思います。
まず、吉本と反社の関係が産まれたという問題に対して、関連する事象は
・反社勢力に出向いていくのが悪い
・吉本が反社企業の見極めができていない
の2つだと考えることができます。まず、前者の原因は比較的、簡単で
・・直営業をするのが悪い
・コンプライアンスが徹底されていない
という2つだと思われます。一方で、後者の原因は、かなり複雑です。組織的な問題が絡んでくるからで、これが今回、このような大騒ぎになった一因でもあります。この中で、注目したいのは
・吉本がコンプライアンス上受けれない仕事を直営業でやっている
という問題指摘です。これは、この問題の発端になった芸人の一人が、吉本が了解した上で業務を受託して、吉本の芸人を使ってやっていたことを根拠にしているわけですが、そのビジネスに関しては取引先が反社勢力かどうかのチェックはしていないものと思われます。契約関係の問題はありますが、このような形になった時点で受託した芸人(会社)がコンプライアンスに対して責任を持つ必要がありますが、そこができていなかったのが直接的な原因ということになります。
一方で、なぜ、芸人が直営業するのかについては日常的な報酬が少ないといった問題が出てきますが、ここで注目したいのはこの問題とコンプライアンスが徹底できないという問題の関連です。芸能業務はほぼなく、バイトで食いつないでいる人に対して、吉本芸人としてのコンプライアンス意識を持たせることはほぼ不可能でしょう(たとえば、コンビニでバイトしている人であればコンビニのコンプライアンスは認識していると思われます)。
そう考えると、直営業、低報酬、コンプライアンスの不徹底といった問題は、NSCを作って6000人の芸人を抱えて、その中からのし上がってくる人を使っていくというビジネスモデルに問題があるように思われます。6000人が多いという主張は、必ずといっていいくらい議論の中で出てきますが、一方で、面白い芸人を生み出すための方法として不可欠だという主張をする人もいます。これもある程度、納得できるところです。
◆分岐点は面白い芸人をどう育てるか
このように考えてみると、何が問題の本質かは芸人をどう育てるかというところの考え方に依存してきます。ここは主観の問題だと思われます。プロの中でも意見が分かれているようです。
つまり、今の育成スキームが不適切だと考える人にとっては問題の本質は、このビジネスモデルでしょう。一方で、育成スキームは適切だと考える人にとってはおそらく直営業も含めてのスキームでしょうから、やはり、個人のコンプライアンス意識の問題ですが、上に述べたようにそれもほぼ仕方ないと思われます。すると、問題はその背景にある契約ということになるだと思います。
吉本が対策として、全芸人と共同確認書を交わし、要望に応じて明確な契約をするという方向に舵をきったことは適切だと考えられます。
ということで、あなたが本質だと考えている問題をコメントに書きこんでください!
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◆なぜ、フレームワークの使い方がうまい人と下手な人がいるのか
フレームワークを使ったことがないくらいフレームワークという考え方は普及してきました。フレームワークを取り入れることはそんなに難しいことではありません。そしてフレームワークを使って考えることにより、答えを出すことができます。
例えば、もっともポピュラーなフレームワークである3C分析では、マーケティングでの目的と、顧客・自社・競合の分析方法顧客・自社・競合を分析するわけですが、戦略を考える際にこの3つの視点を持つというのは答えを得るために非常に役立ちます。
一方で、同じフレームワークを使っても、結果が異なることは珍しくありません。3C分析などのその典型です。使う人によって分析の結果が異なることはよくあることです。
これは多くのフレームワークは正解がない問題を解くために役だっているわけですから、ある意味で当たり前だといえますが、問題は、フレームワークを使うことがうまい人やチームと、下手な人の間にどのような違いがあるかです。
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◆コンセプチュアルスキルが向上しない
コンセプチュアルスキルが注目されるようになって、さまざまな取り組みをする企業が出てきていますがが、なかなか、思ったように変わらないという悩みを耳にすることが少なくありません。
今回のコラムはこの問題を考えてみたいと思います。
コンセプチュアルスキルがなかなか向上しないという理由は2つに分けて考えることができます。一つは、本質をうまく見つけられないことで、もう一つは問題の本質は適切に見極めることができるのですが、それが行動につながらないというケースです。
◆カフェの趣旨
コンセプチュアルスキルは、本質を見極めて経営やマネジメント、イノベーションなどの活動に活かしていくスキルで、言うまでもなく、本質を見極めることにスキルの高低が現れるスキルです。本質を見極めるスキルが高い人は、コンセプチュアルな行動ができますし、低い人はできません。
ここで本質といっているのは、この記事にあるような概念です。
【コンセプチュアルスキル入門】第3回 本質とは何か
https://mat.lekumo.biz/ppf/2018/09/post-3826.html
組織の中でよく「ピントがずれている」とか言われる人がいますが、これには2種類あります。
一つは考えが本質を外している人です。もちろん、本質は一つではないですし、主観的なものでもありますので正解があるわけではありませんが、まあ、本質を外しがちの人はなんとなく分かるものです。
ただし、ピントがずれているという場合はもう一つあります。それは周囲が(意図的にせよ、意図的ではないにせよ)本質を外しているのに、その人は本質を的確に捉えているケースです。日本では、こちらの方が多いのではないかと思います。
日本の組織は本質を考えるときに、組織やチームで考えます。欧米でもだんだんそのようになってきていますが、ここは日本が欧米より進んでいるところだと思います。しかし、ここで忖度などの人間の関係性が入ってくると、あまり筋のよくない本質を全員で共有してしまうことがあります。
社会であれば、ネットやマスコミがぶれた本質を広めるという役割を果たすこともあります。
そのような中で、本質を捉えている人はピントがずれていると周囲から認識されることがあります。これは組織にとっても社会にとっても損失です。
このカフェは、後者のようなケースにおいて、深く考えることによって、自分たちの常識を変えていく習慣を身につける場になることを期待しています。
◆カフェの運営
このカフェでは、後者を念頭において、具体的な社会問題や、ビジネスの問題を取り上げて、本質を考えるプロセスを議論したいと考えています。
カフェの提供する意見を読んで、批判的に(クリティカルに)考えて頂き、「本質を考える態度の本質」を考えて頂ければと考えています。
具体的な進め方ですが、まず、本質を考えてほしい問題の提起をします。そして、次の回に著者の考えを述べるという繰り返して進めて行こうと考えています。その間、みなさんの方でもぜひ、課題について考えてみて頂ければと思います。
ウェブやフェースブックを何らかの形で絡めて、意見を交換しながらできればよいなと思っていますが、具体的な方法はやりながら考えていきたいと思います。とりあえずは、このブログ記事のコメント書き込んで頂ければと考えています。
というわけで、第1回は今、話題の吉本問題です。
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今年になって、VUCA時代であることをたびたび言っていますが、まだ、ぴんとこないという反応が多いようです。
VUCAは
「Volatility」(変動性:変化が激しく不安定)
「Uncertainty」(不確実性:問題や出来事の予測がつかない)
「Complexity」(複雑性:多数の原因や因子が絡み合っていること)
「Ambiguity」(曖昧性:出出来事の因果関係が不明瞭で前例もない)
の頭文字をとった言葉(概念)ですが、抽象的で具体的なイメージがわかないという反応と、本当にそうなのかという意見があるようです。
VUCAの事例というと、例えばシャープの鴻海による買収といった事例がよく語られますが、確かに衝撃的な出来事ではありますが、それがVUCAとどういう関係があるのかよく分からないという人が多いようです。
シャープの例でいえば、2004年には液晶で世界の亀山工場ということで一大拠点を創り、隆盛を誇り、2006年には第二工場を稼働させます。しかし、あっという間にテレビ事業が低調になり、2012年には工場の生き残りとしてiPhoneの液晶の生産を始めますが、結局、その関係でiPhoneの主要サプライヤーだった鴻海に買収されることになったわけです。
このような状況を引き起こした理由としては、近年のテレビ市場は極めて熾烈な競争が展開されており、日本企業は組織が硬直化し、変化の速度に対応できずにシェアを落としているためだという説が有力です。
シャープの事例が分かりにくいのは、複雑性にあるのではないかと思います。実際に、当時の解説記事などを見ていると、何か一つ、あるいは二つの原因で語ろうとしているものがほとんどです。しかし、単純に考えても、競合の増加、技術の進歩、開発の高速化などが、テレビ以外の家電事業でも起こっていて、それぞれの要素が影響し合って起こっている問題であることは明らかです。
その影響が、どのように起こるか予測がつかず、かつ、影響が起こっているかどうかあいまいなままで進んでいくわけで、まさに、VUCAです。
VUCAの事例にはこのような企業レベルの話が出てきて、多くのビジネスマンにとって、VUCAという問題は経営戦略などの問題で、自分たちに直接関係のある話ではないと考えているようです。
そんなことはありません。経営レベルでそのような状況になっているということは、現場も対応しなくては起業として生き延びれないということですし、それ以上にこの問題に対応するのは経営ではなく、現場の課題だからです。
VUCAを一言でいえば、
「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」
だといえます。このように言われると、自分たちの仕事はそういう状況でしている、そういう仕事をしているという人は多いと思います。
実際に、現場でVUCAに対応しようとする手法として、アジャイル開発や、OODA(ウーダ)などがあり、徐々に活用されるようになってきています。
しかし、アジャイル開発の例が示しているように、これrの手法を取り入れても、マインドが変わらなくてはうまくいきません。つまり、VUCAな時代である、VUCAワールドで活動しているということを前提にするようなリーダーシップが求められているといえます。これは従前のリーダーシップとはイメージの違うものでと想像されます。
それは具体的にはどのようなリーダーシップでしょうか。そして、そのリーダーシップを実現するためにコンセプチュアルスキルはどのような役割を果たすのでしょうか
?
第6回のコンセプチュアルスキル講座説明会(&第2回コンセプチュアル・マネジメント講座説明会)はこの問題について議論したいと思います。
これからのリーダーシップに関心がある方のご参加をお待ちしています。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆第6回 コンセプチュアルスキル講座説明会(無料)
~コンセプチュアルリーダーを目指す◆(3PDU's)
日時・場所:【東京】2019年 09月 13日(金) 13:30-16:30(13:10受付開始)
銀座ブロッサム中央会館(アクセス)東京都中央区
【大阪】2019年 09月 20日(金) 13:30-16:30(13:10受付開始)
大阪市中央公会堂(アクセス) 大阪市北区
講師:好川哲人(プロジェクトマネジメントオフィス)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/20190913.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
1.リーダー行動とコンセプチュアルスキル(インプット、60分)
2.コンセプチュアルリーダーになるには(ワークショップ、90分)
3.コンセプチュアルスキル講座とコンセプチュアル・マネジメント講座のご紹介
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◆戦略とは
よい戦略を策定し、実行することは、経営戦略や事業戦略を創るスタッフだけの問題ではなく、
・部門の戦略を創る部長や課長
・オペレーションの戦略を創るオペレーションマネジャー
・プロジェクトの戦略を創るプロジェクトリーダー
・チームの戦略を創るチームリーダー
など、あらゆる立場のリーダーにとってもっとも重要な役割です。
Wikipediaによると戦略とは
「一般的に特定の目的を達成するために長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術、科学である」
と説明されています。簡単にいえば、企業、事業、部門、プロジェクトチームなどが「進むべき方向性」が戦略です。
では、よい戦略とはどういうものでしょうか。「進むべき方向」という言葉に注目して考えてみましょう。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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