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「コンセプチュアル」という概念が徐々に重視されるようになってきました。概念そのものは、ピーター・ドラッカーが提唱したマネジメントという概念より早く、70年前にロバート・カッツにより提唱されたものです。
興味深いのは、マネジメントの前後でコンセプチュアルスキルの位置づけが大きく変わっています。マネジメント以前は、テクニカルスキル、ヒューマンスキルに加えて上位者に必要な概念的にものごとを考える3つ目のスキルでした。
ある意味でマネジメントスキルも含んでコンセプチュアルスキルだったのですが、マネジメントスキル以降は3つのスキルはマネジメントスキルが入り、コンセプチュアルスキルはマネジメントスキルの補完的なスキルとして位置付けられるようになりました。
さらに、それだけではなく、テクニカルスキルやヒューマンスキルをよりレベルの高いものにするために不可欠なスキルとして位置付けられるようになってきたのです。つまり、コンセプチュアルスキルは監督職以上だけではなく、すべての社員に必要なスキルになってきたのです。
この背景にあるのがドラッカーが提唱したナレッジワーカー(知識労働者)です。ナレッジワーカーとはナレッジ(知識)とワーカー(労働者)を合わせた造語で、専門的な知識や高度な知恵を活かして新しい価値を創り出す労働者のことです。
50年前、ドラッカーはこれからはすべての労働者はナレッジワーカーになっていくだろうと予見しました。
最近よく言われるVUCAの時代(「volatility」(変動が激しく不安定)、「uncertainty」(不確実性が高く)、「complexity」(複雑で)、「ambiguity」(曖昧な))という認識があります。
VUCAの時代にはトップだけが考え、ミドルがそれをブレークダウンし、メンバーが実施するという階層的な組織は役に立ちません。
VUCAの時代には、まず、トップが考えることは必要ですが、そのあと、ミドルを介して、メンバーに降ろし、メンバーが具体的な方法を考える。その中でメンバーがより良いと考える具体的なやり方をミドルを介してトップに上げる。トップはそれを受けて戦略を修正し、再び、下に降ろしていく。この繰り返しで、組織として最もよい戦略を策定し、戦略実行していくのです。
言い換えると、トップが考えた抽象的なアイデアがすべてではなく、メンバーの考える具体との間で行き来しながら、決めていくことが求められます。このためには、組織のすべての人が自分の専門知識を持ち、価値を生み出していくことができるナレッジワーカーであると同時に、同時に組織がそのように動くためにコンセプチュアルでなくてはなりません。
組織がコンセプチュアルになって初めて、トップから現場まで全員が考えて動く仕組みできるのです。そのような組織を作り上げたいものです。
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