2015年1月 7日 (水)

【イノベーション戦略ノート:066】イノベーションのパターン

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Gakusyu

◆技術とビジネスの組み合せ

今年はイノベーションの重要性の認識が深まった1年だったように思う。その中で、もやもやしている議論に技術とイノベーションの関係がある。今年最後の戦略ノートはこ

の問題を整理して、来年へのステップにしたいと思う。

イノベーションには2つの構成要素がある。技術とビジネスである。あるいは技術とシステムだといってもよい。

技術にもビジネスにも新しいものと既存のものがある。したがって、イノベーションのパターンは

(1)既存のビジネス×新しい技術
(2)新しいビジネス×既存の技術
(3)新しいビジネス×新しい技術
(4)既存のビジネス×既存の技術

の4通りがあり得る。ではそれぞれについて見ていこう。



続きを読む »

2015年1月 6日 (火)

【ブックレビュー】がんばると迷惑な人

4106105993

太田 肇「がんばると迷惑な人」、新潮社(2014)

承認欲求で知られる太田肇先生の新しい指摘と提案。

仕事の質が変わって昔ながらの頑張りが通用しなくなったにも関わらず、頑張りから抜け出せない人に向けて、仕事の質を上げることが重要であることを説いた一冊。

今年は女性活用とか、ホワイトカラーエグゼンプションとかで、働き方が大きく変わりそうだ。変わる方向性として、この話はぜひ押さえておきたい。

続きを読む »

2014年12月19日 (金)

【イノベーション戦略ノート:065】ITイノベーションについて考える

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Gijyutu5_2

◆2つのITイノベーション

この戦略ノートも今回で65回になるが、ITイノベーションについての議論を避けてきた。別途、まとまった記事を起こしたいと思っていたからだが、難しくなってきたので戦略ノートで少しずつ議論していこうと思う。まず、今回は全体像を明確にしよう。

ITイノベーションという言葉はあまり意味が明確ではない。テクノロジーを使ったイノベーションであることは間違いないが、大きく分けると2つの考え方があるように思う。一つはイノベーションの文脈自体は経営(戦略)にあり、戦略をテクノロジーによって実現するという考え方である。つまり、戦略上必要なビジネスモデルのイノベーションなどを、テクノロジーを使って実現しようとする考え方だ。これをITイノベーションと呼ぶことにする。

もう一つは、テクノロジーのポテンシャルに注目して、イノベーションを起こし、新しいビジネスやビジネスモデルを創出していくという考え方である。この場合、経営戦略そのものがテクノロジーを活かしたものであることが求められることになる。言い換えると、テクノロジーが経営戦略をつくっているといってもよい。これをテクノロジー主導ITイノベーションと呼ぶことにする。

続きを読む »

2014年12月15日 (月)

【イノベーション戦略ノート:064】コンセプトをイノベーションする

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Souji

◆吸引力が落ちない掃除機

第23回にダイソンのことを書いたが、以前、ダイソンの創業者であるジェームズ・ダイソン氏の講演を聞いたときに印象に残った言葉ある。それは、

「Make it work properly(ものが正しく動くようにしろ)」

という言葉だ。第23回の記事を読んでもらうと、ダイソンがいかにこの考えを実践しているかがよく分かると思う。

【イノベーション戦略ノート:024】続・模倣によるイノベーション~ダイソン掃除機
https://mat.lekumo.biz/ppf/2014/02/024-968b.html

ダイソン氏が偉大なところは、「掃除機の吸引力は落ちるものだ」という常識を受け入れなかったところにある。もちろん、吸引力が落ちるというのは正しく動いていないからに他ならない。これがイノベーションにつながった。

続きを読む »

2014年12月 2日 (火)

【イノベーション戦略ノート:063】統合的思考でイノベーションを!

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Tougou_2

◆イノベーションか、オペレーション・エクセレンスか

あなたの会社は、もっとも大口の取引先A社からどんどん斬新な製品を次々と出していることが評価されている。ところが、そのA社の経営者が変わり、役員会で製品の価格が高いことに批判の矛先が向いてきた。もちろん、他社にはない製品を購入しているのだから合理的な判断というよりは、感覚的な要素が大きい。

あなたの会社の中でも、A社の意向に沿って新規性を追い求めるより、コストダウンに注力すべきだという意見と、自社が取引先から評価されているのは新規性にあるので今の方針を継続していくべきだという意見に二分されている。

どのように考えればいいのだろう。

こういうときに大抵は二者択一を考える。上のケースだと、A社がどのように動くかがまず問題になってくる。コストダウンしなくては取引量を減らされるかもしれないが、コストダウンに走って新規性を失うと会社そのものが選ばれなくなる可能性もある。もう一つの視点は、数年のスパンで見たときに、A社以外の取引先も含めてどちらが売上げや収益が大きくなるかという判断の問題になる。

イノベーションを取るか、オペレーション・エクセレンス(オペレーションの洗練)を取るかという問題に直面しているわけだが、このような状況は意外と多い。

続きを読む »

2014年11月24日 (月)

【イノベーション戦略ノート:062】経営から始まるイノベーション、現場から始まるイノベーション

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Comm

◆イノベーションはどこから始まるか

世間ではイノベーションの必要性が言われており、企業の経営者はイノベーションをしろという。一方で、これまでのイノベーションは現場から始まることが多かった。新しい技術があれば、自社でも研究開発を行い、その活用方法を模索すべく新しい事業や製品を開発する。

このようなやり方はイノベーションの個人依存を生み出した。日本の経営者の間では、イノベーションは個人によって成されると考える人が多い。つまり、経営者がイノベーションを号令をかけているのは、組織的に対応してほしいということではなく、イノベーターが表れてほしいという願望を言っているケースが多い。

願望である限り、当面の業績がイノベーションの犠牲になることはあってはならないし、不幸にもイノベーターが出てこなくて、なかなかイノベーションが生まれなくてもやむなしとする。おそらく、これが今、多くの企業で起こっていることである。

安倍政権の第3の矢が期待されているにも関わらずなかなか放たれないのと同じように、企業におけるイノベーションもなかなか起こらない。

続きを読む »

2014年11月17日 (月)

【イノベーション戦略ノート:061】製品ライフサイクルとイノベーション戦略

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Life_2

◆iPhone6はなぜ、新鮮さがないといわれるのか

新しいiPhoneが登場したときに、変わったのは大きさだけで新鮮味がないとか、目新しいのはApple Payと呼ばれる決済方式だけだとか、イノベーション好きのアップルファンからは批判的な声が多かった。

しかし、イノベーションが行われていないかというとそういうことでもない。

今回の戦略ノートはこの話題を取り上げてみたい。



続きを読む »

2014年11月11日 (火)

【戦略ノート311】組織的プロジェクトマネジメントの守破離

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9747307/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Kata◆プロジェクトマネジメントの守破離

PM養成マガジンの創刊以来のコンセプトの一つは、プロジェクトマネジメントにはスタイルがあり、プロジェクトマネジャーとして成長していくことは、守破離のプロセスを実践していくことだというもの。このコンセプトの解説として、たとえば、2008年にこんな記事を書いている。

【補助線】プロジェクトマネジメントにおける型と守破離(しゅはり)
https://mat.lekumo.biz/ppf/2008/07/post-8c42.html

この議論では、PMBOK(R)の知識エリアにあるような各マネジメントスキルの守破離を中心に考えているが、今回の戦略ノートは、プロジェクトマネジメントそのものの守破離について議論してみたいと思う。



続きを読む »

2014年11月 6日 (木)

【イノベーション戦略ノート:060】イノベーションの起こる交差点をつくる

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Ba

◆あるブレークスルーの事例

水平思考やシックスハットで知られるエドワード・デ・ノボ博士がイノベーションは既存の知識の組み合せである主張のために紹介している事例がある。事例は、人の腎臓の特性に関わるもので、以下のようなものだ。

生理学者は長年腎細管の長いループが何のためにあるのか突き止められないでおり、おそらく特別な機能はないのだろうと考えていた。ところがあるとき一人のエンジニアにループを見せると「対向流増幅誌システム」の一部だろうと即座に指摘された。「対向流増幅システム」は溶液の濃縮のための一般的なエンジニアリングシステムだ。これによって、腎細管の謎が解けた。

続きを読む »

2014年11月 5日 (水)

【ブックレビュー】世界標準のNEMAWASHI(ネマワシ)の技術

4484142309新 将命「伝説の外資トップが公開する 世界標準のNEMAWASHI(ネマワシ)の技術」、CCCメディアハウス(2014)

単行本><Kindle

日本人は根回しがうまいと多くの人が思っている。実際に根回しなしには動かないので、根回しの巧拙が仕事の成果を決めるといっても過言ではない組織は多くある。根回しができる人は仕事もできるというのも現実である。

一方で、日本人はロビー活動が下手だ。東京オリンピック招致でこそ溜飲を下げたが、スポーツにしてもルール変更に常に泣かされているし、政治や経済活動でも、いいようにルールを決められ、ロビー活動は下手だという印象がついて回る。

このギャップは何だろうとずっと思っていたが、伝説の外資系経営者といわれる新さんのこの本を読んで、よく理由が分かった。やはり、ここでも日本でだけ通用するガラパゴス・ルールがあるらしい。この本は、グローバルに通用する根回し(日本的な根回しと区別する意味でNEMAWASHIと表記されている)とはどんなものかを解説している。

続きを読む »

PMstyle 2024年11月~2025年3月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。