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◆日本におけるロジカルシンキングの原点
コンセプチュアルスキルの基本といえばロジックです。ところが、このロジックというのが非常にやっかいなシロモノなのです。今回から何回か、ロジックについて考えてみたいと思います。
日本でもいまではロジカルシンキングは新入社員教育にも含まれるようになっています。もっといえば、会社に入る前に身につけておくべきものだと思われています。ところが、この裾野の広がりが、あまり、よい結果をもたらしていないように思うわけです。
この辺から話を進めていきたいのですが、その前に少し、ここにいたった経緯的なものを見ておきたいと思います。日本のビジネスパースンをロジカルシンキングに注目させたのは2冊の本です。
ひとつは文字通り、ロジカルシンキングの本です。
照屋 華子、岡田 恵子「ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best
solution) 」、東洋経済新報社(2001)
当時、マッキンゼーに所属していた2人の才女が書いた本で、マッキンゼーのやり方を整理して書いた本だと言われています。そのあと出版された本はこの本に影響を受けていますし、研修もしかりで、いまロジカルシンキングというとこの本の内容に近いものをイメージする人が最も多いと思います。
もう一つは、時期的には照屋・岡田本より先に出版された本ですが、「ピラミッド原則」についてかかれた本です。
バーバラ・ミント(山崎 康司、グロービスマネジメントインスティテュート訳)
「考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」、ダイヤモンド社
(1999)
です。こちらは論理構造に問題があるとよい文章を書けないということから、自らが考案した「ピラミッド原則」と呼ばれる考え方を提示し、物事を上手に論理立てて述べるテクニックを説明したものです。こちらは照屋・岡田さんのロジカルシンキングほど広まっていませんが、コンサルタントなど、問題解決をする仕事には必須のスキルだと言われています。
一人ひとりの可能性を信じ、それぞれの考え方や意見をリスペクトする気持ちがなければ「言える化」という土壌を育むことはできない (遠藤功、早稲田大学ビジネススクール教授)
◆イノベーションにとってもっとも重要な質問は?
一昔前ならイノベーションは、
「この技術で何ができるか」
「この技術がもたらすインパクトは何か」
といった質問から始まっていた。技術が主役だったわけだが、今はイノベーションの主役は技術ではない。では、技術に変わる主役は何か。顧客であり、ユーザーである。その意味で、イノベーションにとってもっとも重要な質問は「誰」という質問だ。
ここで言っているユーザーとは、顧客だけはなく
顧客、見込み客、ブランドのファン、パートナー、従業員、インフルエンサー
など自分たちとの交流を持つ人すべてを指している。これはアーロン・シャピロによる定義である。
アーロン・シャピロ(萩原 雅之監訳、梶原 健司、伊藤 富雄訳)「USERS 顧客主義の終焉と企業の命運を左右する7つの戦略」、翔泳社(2013)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798130923/opc-22/ref=nosim
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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