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2013年12月

2013年12月25日 (水)

【コンセプチュアル仕事術】第9話~実行力の源泉はコンセプチュアルスキルにあり

Jikko◆2つのプロジェクトマネジメント標準

プロジェクトマネジメントの標準というと米国のプロジェクトマネジメント協会(PMI)が作ったPMBOK(R)を思い浮かべる人が多いと思う。PMBOK(R)は1987年に原型ができ、1996年に標準として世に出された。その後、改版を重ね、現在は2012年に発表された第5版が最新版となっている。

PMBOK(R)の初版はその名前の通り、知識体系が中心で、ひとつのマネジメントがプロセスとして確立されているのはリスクマネジメントだけだった。その後、プロセス志向が強くなり、第3版からは形の上ではすべてのマネジメントがプロセスとして連結された(ただし、インプットやアウトプットが抽象度が高く、プロセスだとは言い難い面もある)。

プロセス的になってきた背景は2つあり、一つは知識体系をの使い方が固定化してきて、標準プロセスとして提供しても問題なくなってきたことがある。もう一つはPMBOK(R)の普及とともに底辺が広がり、認定資格と知識体系という組み合わせだけでは活用できなくなってきたことだ。

これに対して、日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が作ったP2Mという標準がある。こちらは基本的にプロセスはない。コンピテンシーという言い方をしているが、概念的な標準があり、それを利用者が解釈して実行するようになっている。


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【新連載・ビジネスリーダーのためのプログラム入門】第1回 プログラムとは何か

Program2◆プロジェクトマネジメントの印象

プロジェクトはいまやどんな企業でもやっていますが、プロジェクトマネジメントの手法をきちんとやっている企業はIT企業やメーカの開発部門を除くとそんなに多くはないのが現状です。

これはプロジェクトマネジメントの手法がどんどん詳細化していき、原理原則がよく分からなくなってきたため、ちょっとしたプロジェクトには使いにくくなってきたという事情があります。

同じように、いろいろな革新の試みをプログラムとして取り組んでいる企業も増えてきました。著者がお付き合いしている企業でも、なんと呼ぶかは別にしてほとんどの企業でプログラム的活動が行われています。そのスパンは1~2年(中計レベル)のものから、4~5年かけてやるようなもの(ビジョン系)までさまざまです。

これらの活動をみていると、いろいろと知恵を絞って全体を管理しながら進めているのですが、「プログラムマネジメントを使えばもっとうまくできるのに」と思うことも少なくありません。

ただ、そういう提案をすると冒頭に述べたプロジェクトマネジメントの話になって、そんなマネジメントは自分たちのやっているプログラムには重いという話になります。


◆この連載の目的

でも、実際に見ていると、プログラムマネジメントと同じようなことをやっている部分も多く、その意味で決して重くはありません。残念なことに多くの企業で足らない部分は、統合し、全体最適をする、プログラムとしてもっとも肝になるところです。

これからイノベーションや未来創造と企業や事業の未来を創っていくような活動が増えてくるとプログラムに対するニーズはどんどん増えてくると思われます。

そこで、この連載ではプログラムをどのように進めていけばよいかについて、原理原則を解説してみたいと思います。ベースになっているのは、日本プロジェクトマネジメント協会が提唱しているP2Mというプログラムマネジメントのフレームワークと、そのフレームワークを実行するのに著者が使っているツールですが、説明はフレームワークやツールの説明ではなく、本質だけを抽出して自社でプログラムを実行されているやり方に折り込めるような形でお伝えしたいと考えています。

ということで、お読みいただければ幸いです。



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【新連載・リーダーのためのビジネスナレッジ】第1講 シナリオプラニング(2/2)

Sinario(シナリオプラニング1/2はこちら)

◆シナリオとビジョン

前回、シナリオプラニングの歴史や必要性を説明し、シナリオプラニングの大まかな流れとして以下のようなものになるという説明をしました。

(1)描きたいシナリオの範囲を決めて、リサーチを行う
(2)分析をする
(3)情報を統合する
(4)ストーリーでプランを描く
(5)複数の選択肢を提示する

今回はこの手順をもう少し細かく見ていくことにします。まず、シナリオプラニングのゴールイメージですが、文字通りシナリオです。シナリオという言葉の意味ですが、ドラマのシナリオという言葉のイメージがあって、一つの筋書きをイメージする人が多いですが、シナリオプラニングのシナリオは複数の筋書きを意味します(この筋書きもシナリオと呼ぶことが多いので少しややこしいのですが)。

前回述べましたように、シナリオプラニングは従来、未来適応戦略を策定のための分析手法として位置付けられていました。つまり、未来適応のシナリオプラニングでは複数の選択肢を提示するところがゴールで、シナリオを使って妥当性のあるシナリオを選んで戦略を策定します。

これに対して、未来創造のシナリオプラニングではビジョン策定までを行うことがあります。つまり、もっとも望ましいシナリオを選んで将来ビジョンの描くわけです。

ビジョンの描き方については後で触れることにして、まず両方のシナリオプラニングに共通するシナリオを作るところまでの進め方を説明しましょう。

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【イノベーション戦略ノート:021】イノベーターのレジリエンス

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
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◆はじめに

Tobu_2

20回で一度ストップしたイノベーション戦略ノートを再開する。12月5日に「イノベーション力を身につける」というセミナーをやって、棚卸したネタが山ほどあるので、これから少しこのシリーズを書いて行こうと思っている。

第1弾として書きたいのは、第4回で、概念の紹介をしたレジリエンスという話である。一旦止まってしまったので、復活のテーマとしてもいいかなと思った次第だ。

【イノベーション戦略ノート:004】イノベーションを担う人材のスキルとマインド


◆イノベーションの現実

イノベーションに関する「組織の現実」を聞いていると、何かを提案して却下されたら、その件はそれで終わりというような感じの意見が目立つ。よく言えば潔いが、果たしてそんなものなのかとも思う。

イノベーションの本質をついた格言の一つは、「成功するまでやれば失敗はない」というものではないかと思う。こういうと、

組織はそんなに甘いものではない。一度失敗すれば次はない

という反論が飛んできそうだ。これも現実といえば聞こえがいいが、上位管理者と話をしてみるとそんなことはないという人が多い。失敗の仕方というか、失敗の後の態度によるというごく当たり前の考えの人が多い。すると、イノベーションの実行者は、ただ、単に一度打たれてへこたれているだけのようにも思える。



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2013年12月18日 (水)

≪サプリ390≫女性のような発想をする

男性が女性のような発想をしたら世界が好ましい方向に変わる
(ジョン・ガーズマ、社会理論家)

Supple【成分】
◆女神的リーダーシップ
◆プロジェクトマネジメントにより何が変わったか
◆計画の方法は変わっていない
◆残業とアイドルタイム
◆女性的な発想で計画を作る

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≪サプリ389≫目的やビジョンでやる気を引き出す

部門の壁を越えたプロジェクトチームでは、権力による管理は不可能である
(アラン・マーレイ、前ウォールストリートジャーナル副編集長)

Supple【成分】
◆権力で管理されるプロジェクト
◆権力では管理できなくなったプロジェクト
◆権力の代わりになるもの
◆担当者に戻りたがるプロジェクトマネジャー
◆飽きないためには壮大なビジョンを描く

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2013年12月 9日 (月)

【コンセプチュアル仕事術】第8話~コンセプチュアルな計画とは何か

Keikaku5◆マネジメントとリーダーシップ

今回は計画の話をしたいと思います。どのような仕事においても計画は重要な仕事です。しかし、自分の仕事は不確実性が高く、計画はできないので、走りながら考えるという人もいます。まず、この問題から考えてみたいと思います。

計画の話に入る前にマネジメントとリーダーシップの話をしておきたいと思います。よくマネジメントは既存の枠組み(ルール、仕組みなど)の中で何とか目標を達成することで、リーダーシップは枠組みを変えることだと言われることがあります。

違う言い方をすれば、複雑性の高い仕事をするにはマネジメントが必要で、不確実性の高い仕事をするにはリーダーシップが必要だということになります。

この考え方はハーバードビジネススクールのジョン・コッター先生の定義で、他にも定義はいろいろありますので、自分の考えと違うと思う人は読み流してください。



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【新連載・リーダーのためのビジネスナレッジ】第1講 シナリオプラニング(1/2)

◆はじめに

プロジェクトの補助線メールマガジンの連載第2弾として、「リーダーのためのビジネスナレッジ」という連載を開始することにしました。

リーダーがビジネスを進めていくために必要なビジネスナレッジを手短に提供していこうという趣旨の連載です。

◆シナリオプラニングの歴史

ここ数年、フューチャーセッション、未来創造など、未来を見すえた活動をすることに関心があつまり、その中核として注目されているのが「シナリオプラニング」です。

シナリオプラニングは意外と古い歴史を持つ手法で、世界第二次大戦の軍事計画研究に遡ると言われています。
Sinario
初期のシナリオプランニングは、予測を立てて、それを管理するというプランニング手法にでしたが、そののち進化し、ビジネス分野でも事業戦略構築やマネジメント手法として活用されるようになりました。このあたりの流れはプロジェクトマネジメントと似ているといえます。

シナリオプラニングがビジネス分野で注目されることになったのは、1970年代にロイヤル・ダッチ・シェル社(以下、シェル)が活用し、大きな成果を上げたことです。

シェルでは、未来がどうなるのか、それがなぜ起こるのかを組織内で考えていった結果、複数の未来のストーリーをシナリオとしてまとめました。そのシナリオの一つが日本にも大きな影響を与えた「石油危機シナリオ」です。そして、事前に組織内の体制を整えていたことで効果的に対応していきました。



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2013年12月 8日 (日)

【コンセプチュアル仕事術】第7話~ロジックを磨く

Migaku_2◆ロジカルシンキングとクリティカルシンキング

クリティカルシンキングという思考法があります。さまざまな定義がある言葉ですが、著者はロバート・エニスの

何を信じ、何を行うかの決定に焦点を当てた、合理的で内省的な思考

という定義がしっくりくるのでこの定義を使っています。クリティカルシンキングとロジカルシンキングはどう違うのか分からないという人がおり、実際にクリティカル・シンキングの書籍やセミナーをみても、ロジカルシンキングとどう違うのかと思う人も多いと思われます。

なぜそのようになるかといいますと、ロジカルというのは前回述べたように必ずしも合理的なものではなく(ましてや論理的だから正しいとは限らない)、合理性が問題なり、それを考えるのがクリティカルシンキングだからです。つまり、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは表裏一体なのです。

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2013年12月 3日 (火)

≪サプリ388≫よいチームには厳しさが必要だ

よいチームには「凡庸な人」が居心地の悪さを感じるくらいの厳しさが必要だ                       (瀧本哲史、京都大学客員准教授)

Supple【成分】
◆ありがちなチームとよいチーム
◆日本的な仕事の方法はありがちなチーム?
◆チームを作る目的は「チームでしかできないことやること」
◆システムを作る
◆必要なスキルを学習していく厳しさ
 ◆もう一つの本質

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。