★イノベーション戦略ノート Feed

2015年6月12日 (金)

【イノベーション戦略ノート:071】コンセプチュアルスキルがイノベーションを起こす

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Conceptual◆イノベーションとは変化の本質に対する活動

コンセプチュアルスキルへの取り組みを始めて3年くらいになる。

コンセプチュアルスキルへの取り組みをしている理由の半分は、50年前から言われている通り、上級マネジャーの必須のスキルであり、現代的には複雑な仕事をしている業務担当者の人にとっても不可欠なスキルだと思うからだ。

しかし、今、マネジャーや業務担当者に必要なスキルである以上に、イノベーターにとって必要なスキルではないかと感じ始めている。今回はこの話題について議論してみたい。

この議論、どこから入ろうかと若干、迷っているのだが、基本的な前提は

イノベーションには変化の本質を捉え、本質に対して新しい考えを構築していくことが不可欠である。

ということだ。

続きを読む »

2015年6月11日 (木)

【イノベーション戦略ノート:070】古い知識を概念化して、イノベーションを起こす

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Gainen1

◆持っている知識を使うとは

今回のテーマは、知識とイノベーションの関係について考えてみたい。イノベーションは既存の技術の組み合わせで生み出すとかいうが、これは言い換えるとすでに持っている知識を活用して新しいものを生み出すということである。

イノベーションでは古い知識は役に立たないと考える人が多い。これが一つのイノベーションの壁になっている。つまり、イノベーションには新しいアイデアが必要である。これは本当なのだろうか。

知識とは何かと考えてみたときに、経験の通じて得られた気づきを一般化したものである。それを形式化すれば形式知、形式化していなければ暗黙知である。つまり、基本的には知識というのは経験を超えることはない。だから、新しい問題に対しては使うことができないということになるわけだ。



続きを読む »

2015年3月11日 (水)

【イノベーション戦略ノート:069】イノベーションと好奇心

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Koukisin

◆イノベーションの推進力は野心と好奇心

イノベーションという言葉には価値創造という言葉をつけて考えるので分かったようでわからない言葉になっているが、もう少し簡単にいえば

ものごとを変える方法を「新しく」考えること

である。

このように考えたときにイノベーションにとってもっとも重要なことを一つ上げるとすれば、「好奇心」だと思う。日本のエンジニアが非常に優秀なのは好奇心が強い人が多いからである。ついでにいえば、これまでに付き合ったことのある米国のエンジニアでは好奇心より野心が強い人が多いように思う。

昨年、ノーベル賞を取った中村修二先生に対して日本人がもろ手を挙げて評価しないのは彼からは好奇心より、野心を感じるからだろう。彼の著作を読んでいると好奇心がないとは思わないが、同時にノーベル賞を受賞した2名の先生と比べると、研究の推進力の割合として野心の方が大きいと思う。

ただ、今回10年ぶりくらいにマスコミに大量露出したのを見て感じたのは、だいぶ、好奇心の割合がだいぶ増えてきたなということだった。

誤解のないように言っておくが、野心といっているのはイコール私利私欲ではないし、誰かに勝つことでもない。

たとえば、世界の人を貧困から解放したいというのも野心だし、戦争のない世界を作りたいというのも野心である。これらがイノベーションの推進力になっているケースは多い。

続きを読む »

2015年1月22日 (木)

【イノベーション戦略ノート:068】なぜ、卓越したアイデアは実行できないのか

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Idea◆卓越したアイデアは実行できない

イノベーションアイデアを評価するのは難しいといわれるが、それ自体はそんなに難しいものではない。新規性と独創性があれば優れたアイデアだと言ってよい。にも関わらず、評価が難しいのは、そのようなアイデアはなかなかイノベーションとして実行できないからだ。

むしろ、新規性の高いアイデアであればあるほど、イノベーションは実行しにくいといっても過言ではない。このため、実行しやすいアイデアがいいアイデアだと評価される風潮すらある。

よいアイデアに基づくイノベーションが難しいのはいくつかの理由がある。



続きを読む »

2015年1月19日 (月)

【イノベーション戦略ノート:067】失敗を許容することは正しいのか

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Sippai1_2

◆収益確保のためには失敗は許容できない

イノベーションを推進する、イノベーティブな組織を作るといったときに、必ず出てくるのが、

・リスクを取れるようにすること
・失敗を許容すること

である。今回の戦略ノートはこの問題について考えてみる。

ちょっと大上段な話になるが、この問題の本質は何のために経営戦略を作るのかという話にさかのぼる。ざっくりといえば、堅実な経営計画がありそれを実行するための戦略なのか、それとも経営ビジョンに基づく成長目標がありそれを実現することまで含めた戦略なのかによって変わってくる。

前者の場合、大前提として計画通りの収益確保があるので、そこにおいて失敗してもいいというのは考えにくい方針だし、リスクを取ることも望ましいとはいえない。実際に現場のマネジャーの意見を聞いても失敗を許容することは自部門の方針になじまないという人が多い。

日本の場合、ミドルアップダウンで戦略策定をしているケースが多いので、後者はあまり多くないが、後者の場合、成長のための模索があり、ある程度失敗は仕方ない部分があると考えられなくはないし、リスクを取ることは不可欠だともいえる。

続きを読む »

2015年1月 7日 (水)

【イノベーション戦略ノート:066】イノベーションのパターン

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Gakusyu

◆技術とビジネスの組み合せ

今年はイノベーションの重要性の認識が深まった1年だったように思う。その中で、もやもやしている議論に技術とイノベーションの関係がある。今年最後の戦略ノートはこ

の問題を整理して、来年へのステップにしたいと思う。

イノベーションには2つの構成要素がある。技術とビジネスである。あるいは技術とシステムだといってもよい。

技術にもビジネスにも新しいものと既存のものがある。したがって、イノベーションのパターンは

(1)既存のビジネス×新しい技術
(2)新しいビジネス×既存の技術
(3)新しいビジネス×新しい技術
(4)既存のビジネス×既存の技術

の4通りがあり得る。ではそれぞれについて見ていこう。



続きを読む »

2014年12月19日 (金)

【イノベーション戦略ノート:065】ITイノベーションについて考える

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Gijyutu5_2

◆2つのITイノベーション

この戦略ノートも今回で65回になるが、ITイノベーションについての議論を避けてきた。別途、まとまった記事を起こしたいと思っていたからだが、難しくなってきたので戦略ノートで少しずつ議論していこうと思う。まず、今回は全体像を明確にしよう。

ITイノベーションという言葉はあまり意味が明確ではない。テクノロジーを使ったイノベーションであることは間違いないが、大きく分けると2つの考え方があるように思う。一つはイノベーションの文脈自体は経営(戦略)にあり、戦略をテクノロジーによって実現するという考え方である。つまり、戦略上必要なビジネスモデルのイノベーションなどを、テクノロジーを使って実現しようとする考え方だ。これをITイノベーションと呼ぶことにする。

もう一つは、テクノロジーのポテンシャルに注目して、イノベーションを起こし、新しいビジネスやビジネスモデルを創出していくという考え方である。この場合、経営戦略そのものがテクノロジーを活かしたものであることが求められることになる。言い換えると、テクノロジーが経営戦略をつくっているといってもよい。これをテクノロジー主導ITイノベーションと呼ぶことにする。

続きを読む »

2014年12月15日 (月)

【イノベーション戦略ノート:064】コンセプトをイノベーションする

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Souji

◆吸引力が落ちない掃除機

第23回にダイソンのことを書いたが、以前、ダイソンの創業者であるジェームズ・ダイソン氏の講演を聞いたときに印象に残った言葉ある。それは、

「Make it work properly(ものが正しく動くようにしろ)」

という言葉だ。第23回の記事を読んでもらうと、ダイソンがいかにこの考えを実践しているかがよく分かると思う。

【イノベーション戦略ノート:024】続・模倣によるイノベーション~ダイソン掃除機
https://mat.lekumo.biz/ppf/2014/02/024-968b.html

ダイソン氏が偉大なところは、「掃除機の吸引力は落ちるものだ」という常識を受け入れなかったところにある。もちろん、吸引力が落ちるというのは正しく動いていないからに他ならない。これがイノベーションにつながった。

続きを読む »

2014年12月 2日 (火)

【イノベーション戦略ノート:063】統合的思考でイノベーションを!

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Tougou_2

◆イノベーションか、オペレーション・エクセレンスか

あなたの会社は、もっとも大口の取引先A社からどんどん斬新な製品を次々と出していることが評価されている。ところが、そのA社の経営者が変わり、役員会で製品の価格が高いことに批判の矛先が向いてきた。もちろん、他社にはない製品を購入しているのだから合理的な判断というよりは、感覚的な要素が大きい。

あなたの会社の中でも、A社の意向に沿って新規性を追い求めるより、コストダウンに注力すべきだという意見と、自社が取引先から評価されているのは新規性にあるので今の方針を継続していくべきだという意見に二分されている。

どのように考えればいいのだろう。

こういうときに大抵は二者択一を考える。上のケースだと、A社がどのように動くかがまず問題になってくる。コストダウンしなくては取引量を減らされるかもしれないが、コストダウンに走って新規性を失うと会社そのものが選ばれなくなる可能性もある。もう一つの視点は、数年のスパンで見たときに、A社以外の取引先も含めてどちらが売上げや収益が大きくなるかという判断の問題になる。

イノベーションを取るか、オペレーション・エクセレンス(オペレーションの洗練)を取るかという問題に直面しているわけだが、このような状況は意外と多い。

続きを読む »

2014年11月24日 (月)

【イノベーション戦略ノート:062】経営から始まるイノベーション、現場から始まるイノベーション

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Comm

◆イノベーションはどこから始まるか

世間ではイノベーションの必要性が言われており、企業の経営者はイノベーションをしろという。一方で、これまでのイノベーションは現場から始まることが多かった。新しい技術があれば、自社でも研究開発を行い、その活用方法を模索すべく新しい事業や製品を開発する。

このようなやり方はイノベーションの個人依存を生み出した。日本の経営者の間では、イノベーションは個人によって成されると考える人が多い。つまり、経営者がイノベーションを号令をかけているのは、組織的に対応してほしいということではなく、イノベーターが表れてほしいという願望を言っているケースが多い。

願望である限り、当面の業績がイノベーションの犠牲になることはあってはならないし、不幸にもイノベーターが出てこなくて、なかなかイノベーションが生まれなくてもやむなしとする。おそらく、これが今、多くの企業で起こっていることである。

安倍政権の第3の矢が期待されているにも関わらずなかなか放たれないのと同じように、企業におけるイノベーションもなかなか起こらない。

続きを読む »

PMstyle 2025年1月~3月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。