« 【戦略ノート313】プロジェクトとプロダクト | メイン | 【戦略ノート314】コンセプチュアル・プロジェクトマネジメント »

2015年1月22日 (木)

【イノベーション戦略ノート:068】なぜ、卓越したアイデアは実行できないのか

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Idea◆卓越したアイデアは実行できない

イノベーションアイデアを評価するのは難しいといわれるが、それ自体はそんなに難しいものではない。新規性と独創性があれば優れたアイデアだと言ってよい。にも関わらず、評価が難しいのは、そのようなアイデアはなかなかイノベーションとして実行できないからだ。

むしろ、新規性の高いアイデアであればあるほど、イノベーションは実行しにくいといっても過言ではない。このため、実行しやすいアイデアがいいアイデアだと評価される風潮すらある。

よいアイデアに基づくイノベーションが難しいのはいくつかの理由がある。



◆新規性の高いアイデアが実行しにくい理由(1)~部門間の調整が必要

一つ目はアイデアを生み出す段階とアイデアを実行する段階では生じる利害関係が異なる。アイデアの生成から評価までは、自分たちの部門内で完結してできることが多い。しかし、実行するとなると自分たちの部門だけでは済まない。

製品イノベーションであれば少なくとも生産部門の力を借りなくてはならない。ビジネスモデルイノベーションであれば、経理や流通などの部門が絡んでくる可能性が高い。

つまり、アイデアの実行は他の部門と利害関係の調整がないと実行できないことが多いし、この調整がそうスムーズにはいかない。


◆新規性の高いアイデアが実行しにく理由(2)~不確実性が高い

二つ目はアイデアが創造的であればあるほど、不確実性が高くなる。そこで上に述べたように他の部門との関係が生じるが、当然、他部門はよほどのメリットがないと不確実性を嫌がる。そして、そのアイデアをつぶしにかかったり、塩漬けにしようという行動に出ることが少なくない。

また、不確実であること自体が、そのアイデアを実行しない理由としてまかり通る組織はいまだに多いし、前回述べたように不確実性がルーチン業務に影響を与えることは嫌われることが多い。


◆新規性の高いアイデアが実行しにく理由(3)~個人の資質の問題

三つめの問題は個人の資質の問題である。イノベーティブな発想をする人は、得てして、実行に興味がないし、実行に興味を持つ人はあまりイノベーティブなことをやりたがらない。もちろん、双方が揃って初めてイノベーターと呼べる人材になるのだが、なかなかそういう人はいない。

つまり、アイデアが実行できない理由の一つには、アイデアを出した人が実行力にかけるというケースが多い。斬新だと思う企画が実現されない原因としてはこの原因は思ったよりはるかに多い。

このようなハードルを乗り越えてアイデアを実行し、イノベーションを起こす方法はあるのだろうか?


◆プログラムによるイノベーションへの取り組みが必要

その一つの方法は、イノベーションアイデアの生成とプロジェクトによるアイデアの実行を併せたプログラムとしてイノベーションを行うことだ。つまり、プログラムという形でルーチンワークとは一線を画し、影響が出ないような仕組みを作り、不確実性に対処していく。

一方で、プログラムに他の組織を巻き込むことより、イノベーションで生まれたアイデアをルーチンワークに展開していくことができる。そしてイノベーションの成果がルーチンワーク化したところで、プログラムは終わる。

イノベーションがうまく行かないときにも、プログラムの範囲内でリセットしてやり直すことができる

アイデアの実行にはこのような考え方が有効である。

コメント

コメントを投稿

PMstyle 2024年11月~2025年3月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。