ほどんどの場合、実物を見せない限り、人というのは自分が何をしてほしいのか、分からないものだ
(スティーブ・ジョブズ)
【成分】
◆フォーカス・グループでは製品をデザインするのは難しい
◆なぜ、アップルではCEOが製品発表をするのか
◆キーワードになる提案
◆WHYを把握する
【効用】
・PM体質改善
リーダーシップ発揮、顧客感度アップ、問題解決能力向上
・PM力向上
ピープルマネジメント力向上、チームをまとめる力の向上、リスク対応力向上
・トラブル緩和
モチベーション向上、チームの士気向上
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【解説】
ITプロジェクトでは、顧客の要求を引き出すことに躍起になっています。従来、この活動は、顧客(ユーザ)が何をしたいか、何をしてほしいかが分かっており、それをいかに正確に聞き出すかをポイントに行われてきました。確かに、システムをベンダーに発注する際には、RFPなどの普及でWHATは明確になってきました。未だに、RFPがA4の書類数枚というケースはありますが、WHATとしてはそれなりに明示されています。
ところが、WHATを正確に聞き出しても、それが変わるケースが少なくありません。
WHATがあるにも関わらず、顧客は何をしてほしいのかが明確になるとは限りません。なぜでしょうか?
生産財の調達の場合、WHATには必ず、背景になっているWHYがあります。なんのためにそのシステムが欲しいのか?WHYが変わるようだと論外ですが、WHYがぶれないままで、WHATが変わるというのはある意味で不思議ではありません。ましてや、情報システムのことが分からない人であれば、ジョブズがいうように、実物が見えないと何が欲しいのかわかりません。
つまり、WHATを押さえるだけでは不十分なのです。そんな問題意識で書いたさぷりです。
◆思い切った目標設定をする
目標管理の中では、目標は緩やかな成長を目指すものがよいとされる。前年度より少し頑張ればできる目標を掲げ、それを達成してみんなで喜ぶことにより、次の年度の成長の動機になる。たとえば、市場成長率が5%なので、自分たちは6%の売り上げ増を目指そうといった目標設定をする。
このような目標設定は確実に成長を目指すにはよい方法だが、頑張ればできるという思いを植え付け、改善の方向に意識が向かい、画期的な商品だとか、プロセスなどは生まれにくくなる。
イノベーションを起こすには、今までの延長線上でちょっと頑張ればできるといった目標設定は有効ではなく、今までの方法ではどう考えてもできない思い切った目標を設定をすることが肝要である。
◆コンフリクトが発生する理由
プロジェクトチームで解消しなくてはならないコンフリクトが発生する理由には以下のようなものがある。
・必要なリソースが不足している
・ステークホルダがチームの事情を無視してスケジュールを押し付けてくる
・プロジェクトマネジャーやチームメンバーの個々のワークスタイルの違い
コンフリクトの発生する原因を具体的に見ていくと次のようなものがある。
・チームメンバーがお互いに常に苛立っている
・チームメンバーのコミュニケーションスキルが乏しい
・チームメンバーがパフォーマンスに影響を与える緊急の問題を抱えている
・チームメンバーが身につけてきたディシプリンとチームのディシプリンが違う
・チームメンバーが与えられた仕事やプロジェクトに興味を持てない
・ロールやレスポンシビリティが不明確である
・信頼できなかったり、尊敬できないステークホルダに依存しなくてはならない
・チームメンバーが他のメンバーの専門性を尊重しない
・目指す目的や目標が一致していない
◆戦略とは
多くのプロジェクトリーダーは戦略は、あまり身近なものではないと感じている。それは正しい側面と、誤解している側面の両面がある。
この議論をするにあたっては、まず、戦略と戦略思考の違いを明確にしておかなくてはならない。
戦略とは、もともと、軍事用語であり、(戦争に勝つために)戦場に到達するまでの段階で用いる計画である。これに対して、戦場に部隊を送り込んだ後の段階は戦術と呼ぶ。戦術とは、戦場で部隊をどう運用するかである。
このレベルの戦略を考えると、プロジェクトは戦術であり、プロジェクトを立ち上げるまでの経営レベルの計画が戦略ということになる。ゆえに、プロジェクトは戦略上の必要性に基づいて目的が決定され、その目的を実現する活動として実施されることになる。
では、プロジェクトを立ち上げたのちはどうだろう。プロジェクトリーダーに求められるのは、基本的にはプロジェクトにおいて、人・モノ・カネのリソースをどのように活用するかに関わるものであり、プロジェクトマネジメント計画という戦術を作り、実行していくことが求められる。
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第1回報告「ゲームストーミングによるプロジェクト活性手法」
第2回報告「システム思考は私たちに何をもたらすか?」
第3回報告「イノベーションの方法としてのデザイン思考」
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PM養成マガジン10周年記念セミナー第4回は、
プロジェクトの経験から学ぶ力をつける
~グループプロセスに焦点をあてたリフレクション~
というテーマでワークショップを行いました。
カタリストBAから見える二子玉川近くの玉川河川敷では、バーベキュー客であふれており、見るからに夏休みという感じでした。
夏休みだからというわけでもないのでしょうが、申し込みも過去3回と比べると少なく、かつ、連続申込の方も10名が欠席され、参加者19名という、少しさみしいワークショップになりました。
そんな中で、工夫されたプログラムと、講師の嶋田至さん、広瀬義浩さんのファシリテーションで盛り上が りました。
(ファシリテータの嶋田さん(左)と広瀬さん)
◆牙を抜かれたプロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントが本格的に認知されるようになって10年余りになる。日本では、この間、ITベンダーを中心に、受注プロジェクトという定常業務への適用を中心に発展してきたため、ある意味で牙を抜かれたような状態になっている。
プロジェクトマネジメントは本来、プロジェクトを実施する目的を実現するために行うものである。目的の実現には度合いがある。たとえば、ブランドの認知を目的だとすると、商品に関心を持つ市場でのブランドの認知なのか、商品に関心を持たない人もいる市場での認知なのかによって、話がずいぶん変わってくる。このコントロールは、目的に対する目標の設定で行う。この例であれば、認知率のようなものでコントロールできる。
そして、この度合の設定はプロジェクトに任されている(上位組織は承認をする)。このためか、プロジェクトマネジメントが「進化」するにしたがって、リスクマネジメントの威を借りて、目標設定が低くなっている。
プロジェクトマネジメントは本来、目標を少しでも高く設定するために行うものだ。できることをできるようにやればよいのであれば、プロジェクトマネジメントは要らない。よく引き合いに出されるのは、ピラミッドの建立のプロジェクトである。巨大な構造物であるが、民というリソースがふんだんにあり、できるときにできればよいのであれば、技術さえあればできる。逆にいえば、これが、技術が重視される理由でもある。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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