2015年12月 7日 (月)

【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(9)】コンセプチュアル思考とイノベーション(5)~抽象化して「再定義」する

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Tyuusyouka

◆イノベーションとは「再定義」である

イノベーションは既存の要素の新しい組み合せであるということは、言い換えると、再定義を行うということに他ならない。スティーブ・ジョブズがiPhoneを発表する際に「電話を再発明する」と宣言したのはあまりにも有名だが、まさにイノベーションといういうのはこういうことだ。

再定義したいものは製品だけではなく、仕事(事業)もそうだ。たとえば、

・顧客は誰か
・提供価値は何か
・どうやって収入を得るか

などはその典型であり、多くのイノベーションはこの点において再定義をして成功している。



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2015年12月 4日 (金)

【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(8)】コンセプチュアル思考とイノベーション(4)~大局的にシステムを考える

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System2◆イノベーションとは新しいシステムを創ること

日本のイノベーションというとどうしても技術やオペレーションの細かな話になっていくイメージがあるが、米国の例を見るとシステムやコンセプトのレベルで革新性があるケースが多い。グーグルのイノベーションというとほとんどそうだし、iPhoneにしても何が新しかったかといえば本体とアプリを切り離して、アプリはオンラインで供給するシステムである。

イノベーションがすべてそうでなくてはならないとは思わないが、イノベーションにはそのような要素が必要なのだ。イノベーションとは既存の要素の新しい組み合せだと考えるとシステムを考えることの重要性はよく分かると思う。

そこで出てくるのが、大局的にシステムを考えることである。特に、大局的にコンセプトを考えることが重要である。



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2015年12月 3日 (木)

【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(7)】コンセプチュアル思考とイノベーション(3)~主観でアイデアを考え、間主観性を得る

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Syukan1◆意思決定をしない/できない

日本企業でイノベーションが生まれない理由というのはいくつもあるが、その中の一つに意思決定の問題あるように思う。今回はこの話をしよう。

日本人ビジネスマンは意思決定をしないとよく言われる。明確に意思決定をしないままで実行してしまう。あとは、調整をしながら進めていく。国立競技場の建て替えや、オリンピックエンブレム問題といった大きな課題でも同じやり方がされているのは驚きだ。

こういうやり方とアジャイルを重ね合わせる人もいるし、米国流のやり方とは違うがこのようなやり方が一概に悪いとは言えない部分もある。ただ、本当に意図的にそうしているのかというと怪しい部分もある。意思決定しないのではなく、できないと指摘する人もいるし、確かにそういう側面もある。



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2015年12月 2日 (水)

【イノベーション戦略ノート:085】イノベーションとは非合理的なもの

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◆イノベーションの抱えるコンフリクト

前回、イノベーションにおける組織の役割を概観したが、今回はもう少し深く考えてみたい。

イノベーションの難しさの本質は組織活動としての2つのコンフリクトにある。一つはよくいわれる不確実性があることだ。うまく行くとは限らない、思った通りに進むとは限らないことをやらなくてはならないというコンフリクトがある。もう一つは、不確実性があるにも関わらず、そこに人や金というリソースを投入しなくてはならない。つまり、二重のコンフリクトがあるわけだ。

日本企業ではまだまだ、イノベーションは個人が起こすものだと考えているところが多いと言われるが、その原因の一つがリソースを投入したくないところにあることは明らかだろう。言い換えるとイノベーションの本質としてこのようなうコンフリクトがあるといってもよい。

さらに悪いことには、既存の事業が強固であればあるほど、この傾向は強くなり、マネジャーにとってもイノベーターにとっても大きな問題になる。この問題に正面から取り組まない限り、イノベーションがどんどん起こる組織というのは考えにくい。



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2015年12月 1日 (火)

【イノベーション戦略ノート:084】組織はイノベーションに対して何をすべきか

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Sosiki

◆iPhoneは組織の成果!?

日本でもだいぶイノベーションは組織の問題だという認識がされるようになってきた。以前のように、放っておけば、やりたい人がやってくれるという認識から脱しつつあるのは進歩である。では、組織は何をすべきなのだろうか。今回はこの問題について考えてみたい。

日本ではまだ出版されていないが、今年、ジョブズの新しい伝記「Becoming Steve Jobs」が出版された。この本は、ジョブズの伝説的なイメージを変えるものとして話題になっている。その中の一つにiPhoneを作ったときの話が出てくる。iPhoneを市場に投入したとき、ジョブズは独立系の開発業者がiPhone向けのソフトウェアを作ることを禁止しようとした。これに対して、経営チームはジョブズに考えを改めるように説得した。

結果はご存じのとおり、さまざまな業者がアプリ開発に参入し、卓越したアプリが登場してきたことが、iPhoneの成功要因の一つになった。実は、ジョブズの態度は、Macintoshを市場に投入したときと同じものだった。30年経っても考えが変わっていないのは立派だが、競争初期のジョブズの判断が今のWindowsPCとのシェアの差になっているといっても過言ではないだろう。そう考えると、同じ過ちを繰り返すところだったが、逆にいえば、iPhoneはジョブズ一人(や開発エンジニア)の成果ではなく、組織としての成果だといえる。



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【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(6)】コンセプチュアル思考とイノベーション(2)~抽象的な思考が新しいアイデアを生む

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Idea1

◆あるデザイン思考のワークショップで

この数年、イノベーションのために注目されている問題解決の方法にデザイン思考がある。デザイナーの思考をビジネスの問題解決に応用しようという考え方だ。

プロトタイピングによってデザイン思考を実践するワークショップもいろいろなところで盛んに開催されている。あるとき、知人から面白いことを聞いた。デザイン思考がうまくできる人とできない人がいて、抽象化能力の違いではないかというのだ。

興味を持ったので、彼のやっているレゴをつかったデザイン思考のワークショップを見学させてもらった。確かにそうで、よいアイデアを出しているチームはイメージを議論しながら、具体的な形状なモノを作っている。イマイチさえないチームはイメージがない。



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2015年11月30日 (月)

【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(5)】コンセプチュアル思考とイノベーション(1)~直観から始まるイノベーション

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◆非常識な本質

コンセプチュアルスキルのセミナーでずっと使っている例がある。メルマガでも紹介したことがあるので、覚えていらっしゃる方もあると思うが、元日産のエンジニアで、今は台湾の自動車メーカー・ハイテックジャパンのCOOをやられている水野和敏さんのカーレースをめぐる話だ。

簡単に説明すれば、水野さんがレースの監督を命じられたときに、それまではレースは最高馬力、最高速度で勝負するものだと考えられていたが、水野さんはレーシングコースには最高馬力、最高速度で走れる直線は20%弱であることに気がついた。つまり、80%強を早く走ることがレースを勝ことい直結すると考えた。

コロンブスの卵のような話であるが、本質を見つけることがイノベーションに結びついている典型的な例である。水野さんはこれを非常識な本質と呼んでいる。では、なぜ、水野さんはこのことに気がついたのだろうか。

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2015年11月27日 (金)

【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(4)】本質とコンセプト

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Concept11◆コンセプトとは

前回本質について述べたが、今回は本質とコンセプトとの関係に触れておきたい。コンセプトの定義はいろいろあるが、突き詰めていえばコンセプトとは

自分が実現したいことの包括的イメージ

である。包括的イメージであり、個別具体的にやりたいことを並べたものではない点がポイントである。

そのため、コンセプトとはコンセプチュアル思考の中心概念のひとつであるが、では本質とどのような関係にあるのだろうか?

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2015年9月 8日 (火)

【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(3)】イノベーションと本質

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◆本質とは

前回はコンセプチュアル思考とは何かについて説明したので、今回は1回目に触れたイノベーションにコンセプチュアル思考(スキル)がなぜ必要かについて考えてみたい。

ひとことでいえば、イノベーションを起こすためには、ものごとの本質に働きかけなくてはならず、そのためのスキルがコンセプチュアルスキルだということだ。

具体的な説明に入る前に、まず、本質とは何かということを明確にしておきたい。本質という言葉を辞書で引くと

・本来の性質。根本の性質。有り方。
・あるものを成り立たせている「特有の性質」
・個別の性質を超える「通有の性質」

という説明が並んでいるが、もう少し普通の言葉でいえば、原因や現象の裏にひそむ、それらを引き起こしている真因、あるいは目的を達成するために不可欠なものが本質だと言える。

たとえば、あるビジネスの本質というとそのビジネスが収益を上げるために欠かせないもの、本質的な問題といえば目的を達成するために逃げることができない問題である。

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【イノベーション戦略ノート:083】Whyから始めるイノベーション

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Why1◆Whatから始めるプロジェクト

製品を開発するときには、Whatから始めることが多い。プロジェクトマネジメントの考え方でも、まずはWhat、そこにHow、How muchなどいろいろな条件を決めてプロジェクトを進めていくことになっている。また、背景情報としてWhyも考えておく。

しかしイノベーションではこの図式はとらない方がいい。特に、大きなイノベーションを起こしたい場合はそうだ。何から決めるかというとWhyである。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。