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2015年11月27日 (金)

【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(4)】本質とコンセプト

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/conceptual_thinking/
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Concept11◆コンセプトとは

前回本質について述べたが、今回は本質とコンセプトとの関係に触れておきたい。コンセプトの定義はいろいろあるが、突き詰めていえばコンセプトとは

自分が実現したいことの包括的イメージ

である。包括的イメージであり、個別具体的にやりたいことを並べたものではない点がポイントである。

そのため、コンセプトとはコンセプチュアル思考の中心概念のひとつであるが、では本質とどのような関係にあるのだろうか?


◆原因を絞り込み、本質的な問題を見つける

本質を見つける方法の一つにWhyを繰り返すという方法がある。たとえば、製品開発プロジェクトの進捗が遅れているとする。そこで、原因のWhyを繰り返して

進捗が遅れている
 ← 一部の作業が未着手である
  ← 担当者が過去に納入した製品のトラブル処理に追われている

という原因に行きついたとすると、本質的な問題はこの原因を抽象化した

開発とトラブルシューティングを同じ人が行っている

ことだといえる。ここで注目してほしいのは、Whyを繰り返すことによって、原因をだんだん絞り込んでいることだ。トヨタ式のいわゆる「真因」を探すという考え方である。


◆課題を大きくする

では、こういう場合はどうだろうか?

スマホのコストを30%削減したい
 ← スマホにテレビをつけたい
  ← 競合へ対抗しなくてはならない

この場合、課題に着目すると問題がだんだん大きくなっていることがお分かり戴けるだろうか?課題はWhyで掘り下げると抽象度が上がって、より大きな課題になる。

もし、競合に対応するというのが本質的な課題であれば、その手段はコスト削減以外にもある。たとえば、防水機能を付けるなどだ。


◆ロジカルシンキングとコンセプチュアル思考

前者はロジカルシンキングをしているのに対して、後者はコンセプチュアル思考をしていることに注意してほしい。前者の例ではWhyで原因に対するロジックを作っているが、ここでは制約(前提)を足し算している。これはロジカルシンキングの基本できな考え方である。

これに対して後者の例はWhyでロジックを作っているのは同じだが、制約を引き算している。これはコンセプチュアルシンキングの抽象/具象の軸を使った思考である。


◆ソリューションとイノベーション

ロジカルシンキングはソリューション提供の際のポイントになる。スジがよい(本質を外さない)原因を絞れれば絞れるほど、適切なソリューションを提供できるからだ。

これに対して、イノベーションにおいてはコンセプチュアル思考で、課題を膨らませるところがポイントになる。本質を外さないように課題を膨らませることができれば、課題に対する包括的解決策を考えることができる。

そして、その解決策に対応する具体的な方法の範囲も広がる。そこでは、従来のやり方はもちろんだが、新しいやり方が生まれてくる可能性がある。要するに問題のとらえ方によって、イノベーションが生まれてくるのだ。


◆コンセプトとは

この包括的な解決策こそ、コンセプトに他ならない。ここでポイントになるのは本質を外さないことである。たとえば、上の例で、

スマホのコストを30%削減したい
 ← スマホにテレビをつけたい
  ← 付加価値を上げたい

と考えたとする。確かにこういう考え方はあるのだが、この場合、本質とは言えない。あくまでもテレビをつける目的は競合への対抗上だからだ。付加価値を上げて競合に対抗するというロジックは本質がぶれてしまう。

このように本質を踏まえて問題を膨らませ、その問題に対する包括的な解決策がコンセプトになる。


◆コンセプト立案について学ぶ講座

PMstyleではコンセプチュアル思考でコンセプト立案のトレーニングをする講座を行っています。ぜひ、ご参加ください!

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆コンセプチュアル思考によるコンセプト立案力講座      ◆(7PDU's)
  日時:2015年 12月 21日(月)10:00-18:00(9:40受付開始)   
  場所:銀座ビジネスセンター(東京都中央区) 
  講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
  詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/concept.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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  【カリキュラム】                     
  1.コンセプトとは何か~コンセプチュアルスキルの観点から
  2.本質とコンセプト
  3.よいコンセプトの作り方
  4.コンセプトをビジネスモデルとして具体化する
  5.コンセプト立案ワークショップ(内容はお問い合わせください)
  6.ストーリーでコンセプトを伝える
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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。