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2015年12月 7日 (月)

【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(9)】コンセプチュアル思考とイノベーション(5)~抽象化して「再定義」する

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/conceptual_thinking/
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Tyuusyouka

◆イノベーションとは「再定義」である

イノベーションは既存の要素の新しい組み合せであるということは、言い換えると、再定義を行うということに他ならない。スティーブ・ジョブズがiPhoneを発表する際に「電話を再発明する」と宣言したのはあまりにも有名だが、まさにイノベーションといういうのはこういうことだ。

再定義したいものは製品だけではなく、仕事(事業)もそうだ。たとえば、

・顧客は誰か
・提供価値は何か
・どうやって収入を得るか

などはその典型であり、多くのイノベーションはこの点において再定義をして成功している。



◆再定義で本質を変える

では、再定義をするにはどうすればよいのだろうか?ここで出てくるのが抽象化である。

製品にしろ、仕事にしろ、再定義する場合、問題になるのは本質が何かという点である。本質を変えることがイノベーションになる。iPhoneの例などはその典型である。電話を遠隔地で会話をする機械から、コミュニケーションを中核とするハンディータイプのコンピューターに変えた。そこでは声だけではなく、さまざまなタイプのコミュニケーションが可能になった。

具体的に考えてみると、まず、既存の電話を抽象化した。そして、電話の機能をコミュニケーションだと考え、どのようなコミュニケーションが必要かと考える。そこで、非同期なコミュニケーション、マルチメディアのコミュニケーションなど、いくつかのポイントが出てきた。それを具体化するためのコンピューターがどうあるべきかを考え、具体的な製品として生まれたのが、iPhoneである。


◆問題を抽象化して、抽象的に考える

本質を大きく変えたわけだが、ここで注目したいことは、問題を抽象化して、抽象的な思考をしていることだ。抽象化の手法としてはおそらく単純化をしている。

そして、抽象的なレベルで議論すると、モノの議論ではなく、コトの議論になる。また、機能の議論ではなく、意味の議論になる。その中で本質を考える。

だから本質的な価値を変えるアイデアが出てくるのだ。


◆最後は具体化する

その上で、その本質を具体化し、モノや機能に落としていく。

もちろん、ここでも取捨選択があるわけだが、iPhoneが面白いのは、具体的な機能の一部を完全に外部化している点である。つまり、ベンダーがアプリとして提供できるようにしたわけだ。このような手法がとれるのはコンピューターという仕組みの特性であったが、今後、IoTによってその範囲が広がってくることが予想され、その意味でも興味深い。

このように、抽象的/具象的の軸を使って、再定義をすることができる。


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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。