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2015年12月 2日 (水)

【イノベーション戦略ノート:085】イノベーションとは非合理的なもの

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◆イノベーションの抱えるコンフリクト

前回、イノベーションにおける組織の役割を概観したが、今回はもう少し深く考えてみたい。

イノベーションの難しさの本質は組織活動としての2つのコンフリクトにある。一つはよくいわれる不確実性があることだ。うまく行くとは限らない、思った通りに進むとは限らないことをやらなくてはならないというコンフリクトがある。もう一つは、不確実性があるにも関わらず、そこに人や金というリソースを投入しなくてはならない。つまり、二重のコンフリクトがあるわけだ。

日本企業ではまだまだ、イノベーションは個人が起こすものだと考えているところが多いと言われるが、その原因の一つがリソースを投入したくないところにあることは明らかだろう。言い換えるとイノベーションの本質としてこのようなうコンフリクトがあるといってもよい。

さらに悪いことには、既存の事業が強固であればあるほど、この傾向は強くなり、マネジャーにとってもイノベーターにとっても大きな問題になる。この問題に正面から取り組まない限り、イノベーションがどんどん起こる組織というのは考えにくい。



◆イノベーションとはコンフリクトがあるもの

では、どうすればよいのだろうか?答えは簡単である。イノベーションとはそういうものだと考えることだ。イノベーションに堅実さや緻密さを求めるのは間違いである。上の2つのコンフリクトがあるからイノベーションなのだと考える。そこから、基本的なスタンスや評価の方法を決めていくのがよい。

これは組織が何のためにイノベーションに取り組むかについて考えてみるとよく分かる。新しい製品やサービス、技術を生み出すことがイノベーションに取り組むことではない。結果としてそういった部分が強調されるわけだが、イノベーションに取り組む理由は常識を打ち破ることである。その結果、新しい製品やサービスが生まれるのだ。ここを勘違いしてはならない。


◆イノベーションとは常識へのチャレンジ

そのように考えると、常識に従って開発を進めていてはイノベーションには行きつかない。常識へのチャレンジが必要である。

ただし、マネジャーにはリソースの投資の役割がある。この投資を合理的に行おうとするとどうしてもコンフリクトをどのように克服していくかが問題になる。多くの組織が引っかかっているのはここである。ここを変えるには、仕事のやり方と、評価の方法を変えるしかないのだろう。


◆人、金、技術、顧客と言ったリソースの確保

特にイノベーションのための人、金、技術、顧客と言ったリソースの確保が重要である。

まず、人については、イノベーターは一人ではだめだという認識で人の確保をしていく必要がある。考えればすぐに分かるが、イノベーションはアイデアを出す人だけではなりたたない。アイデアを出発点にして、技術を開発し、製品を作り、売っていくことが必要で、そのための人を確保しなくてはならない。

次に金だが、イノベーションに金が必要なのは誰もが認識しているが、既存事業の陰で捻出するような額ではだめだ。常識的に考えて、イノベーションは既存事業より時間がかかり、不確実性も大きい。それをカバーするに十分は金を確保する必要がある。

三番目は技術だ。これについては最近、大きく認識が変わっている。以前は、技術は自前で確保するものだと考えていたが、ここにきて、オープンイノベーションが普及している。米国と較べるとまだまだだが、この方向性でよいと思われる。

最後の顧客は主に時間の問題である。顧客や市場にアクセスする際にインフラとしての顧客をどれだけ活用できるかが大きな影響を与えると考えられる。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。