【イノベーション戦略ノート:094】見えないものを見えるようにするイノベーティブ・リーダーシップ
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ちょっと必要があって日産の水野和敏氏(現在は華創日本株式会社代表取締役、最高執行責任者COO)の著書
水野和敏「非常識な本質――ヒト・モノ・カネ・時間がなくても最高の結果を創り出
せる」、フォレスト出版(2013)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894515806/opc-22/ref=nosim
をかなり丁寧に読み直した。ちょっと気づいたことがあったので、今回はその話題。
◆日産・水野さんの経験
本質と言うのは一般的には見えない。だから、本質を探すのは難しい。
ここまではいいと思うのだが、問題はなぜ、見えないかだ。水野さんの本で、本質の説明に使われている例がいくつかあるのだが、その一つにカーレースの話がある。カーレースに勝つための本質は、マシンの最高速度ではないというのが水野さんの説。
本質は、平均速度を如何に上げるかであり、そのためには最高速度を上げる方法とは異なるアプローチが必要だという。たとえば、富士スピードウェイでいえば、最高出力で走れるところは全体の18%に過ぎないそうだ。つまり、82%はカーブで、ここを速く走れるマシンの方が勝つ可能性が高いと考えた。
このほかにも、コックピットの作業時間を短縮すれば、大幅に有利になるなど、いくつも勝つためのレースの本質を具体化した方法を考案し、それを実際に投入して、国内耐久選手権3連覇、1992年にはデイトナ24時間レースを含め、全戦全勝という見事な成績を残した。
この際、水野さんが採用した方法はいずれも常識を外れるものだった。だから非常識な本質だと言っているし、非常識だからこそ、本質が見えない。たとえば、最高出力にこだわらないという方法は、関係者はもちろん、レーサーも嫌がる方法だったらしい。だとすれば、誰も見えない方法だということになる。
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