★イノベーション戦略ノート Feed

2013年6月27日 (木)

【イノベーション戦略ノート:011】経営戦略とイノベーション

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◆経営者のイノベーション観Sosiki2
これまでに何度か述べてきたように、イノベーションは経営戦略で決めた成長をするための一つの手段である。

日本の企業経営者のイノベーション観は、現場から偶発的に起こるものであって、マネジメントや管理の対象ではないというものが多い。これは、イノベーションに対する見方というよりも、経営そのものが戦略を作ってトップダウンでやるものではないと思っている延長線上にあるイノベーション観だと言ってよい。事実、過去の例を見てもイノベーションは現場のミドルの活躍が欠かせない。これを野中郁次郎先生は「ミドルアップダウン」と呼んでいる。

戦略経営の中でも、ミドルの役割は重要である。ちょっと脱線するが、戦略についての話をしておく。


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2013年6月25日 (火)

【イノベーション戦略ノート:010】ビジネスモデルとイノベーション

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◆プロダクトアウトと技術イノベーションFujisan

今回から、イノベーションの対象について考えてみたい。

イノベーションというと多くの人が技術(テクノロジー)の革新を思い浮かべる。技術のイノベーションは、研究開発活動によって新しい技術を開発する。そして、その技術を使って実現できることを見つけ出し、それを商品化するという流れで行われる。

この背景には、自社でできる商品を開発して、市場に出していくという企業のあり方がある。いわゆるプロダクトアウトである。プロダクトアウトの勝敗はどれだけ機能、性能的に優れた商品を作れるかにかかっているが、それは企業の技術力に依存する。したがって、技術の研究開発によって企業の技術力を向上させていくことが市場での勝利に直結している。いわゆる技術開発競争である。


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2013年6月 9日 (日)

【イノベーション戦略ノート:009】イノベーションの限界と新しい動き

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◆イノベーションの限界

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一つは、神戸大学経営学部の三品和弘教授のイノベーションから「リ・インベンション」という文脈。もう一つはいま、世界で注目されるビジネス・シンカーの一人、ダヴ・シードマンがの「WHATからHOW」という文脈。最近、イノベーションの限界説を2つ見かけた。

いずれも限界として指摘しているのは、イノベーションの成果が非常に短期間で優位性をなくしているということ。もちろん、一つのイノベーションの成功に胡坐をかいているわけではない。競合が対抗商品を出すのを横目でみながら、自らもさらにイノベーションを続けていった結果である。

たとえば、ドコモの携帯を考えてみてほしい。ドコモの携帯のイノベーションはすごかった。通話の品質はどんどんよくなり、i-modeという画期的な通信サービスプラットホームも提供した。どころが、アップルからスマートフォンが発売されてからは、あっという間に劣勢になり、ユーザの流出が止まらない。

このことがイノベーションの効率の悪さを物語っている。

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2013年6月 7日 (金)

【イノベーション戦略ノート:008】イノベーションにチームが必要な2つの理由

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◆イノベーションに必要なもの

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イノベーションにはいろいろなものが必要だ。ひらめきも必要なら、前回述べた管理も必要だ。セレンディピティのような偶然性も必要かもしれないし、それこそ、運も必要だろう。

話は脱線するが、イノベーションのためには失敗も必要だ。失敗が必要だと言うことを気楽に考えすぎている人がいる。特に、いま、失敗することが許されない仕事をしている人はことさら、失敗の必要性を説くが、失敗することはそんなに生易しいことではない。失敗すれば落ち込むし、モチベーションを維持することはたいへんだ。第4回でレジリエンスの話をしたが、レジリエンスは不可欠だ。

失敗しようと思えば、リスクをとる必要がある。これもイノベーションには不可欠な要素である。

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2013年6月 5日 (水)

【イノベーション戦略ノート:007】イノベーションは管理できる

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◆イノベーションに取り組めない理由Kanri_2

このメルマガでは、前提としてイノベーションは組織が取り組むものだと考えている。しかし、現実にはそうではない。人材投資のところで触れたように、イノベーションのための人材を育てるという発想もなければ、イノベーションのマネジメントのための組織プロセスを構築するという発想もない。

イノベーションは「志ある社員」が会社のために頑張ってくれた結果であると考えている経営陣が圧倒的に多い。従って、今年度はイノベーションに取り組もうと言えば経営陣の役割は終わりで、後はマネジャーに任せる。マネジャーもその辺の体温はよく分かっているので、スルーパスして、結果として忙しいので新しいことを考えている余裕はなかったということになる。

一方で、成長戦略をとっている企業では、イノベーションは不可欠である。何度も繰り返しているように、売り上げを上げるには3つの方法しかない。

(1)既存の商品を改良したり、営業を強化する
(2)新しい商品を作る
(3)M&A

現金なもので少し景気が上向いてくると、(1)で成長を目論む企業が増えるが、市場そのものの成長が止まっている成熟した市場では(1)は(2)よりはるかに難しい。なので、結局、イノベーションの取り組むしかない。改めて自分たちの活動を振り返ってみてほしいのだが、実は忙しいというのは(1)で忙しい。市場が成熟していると成果が出にくくなるので、余計に忙しくなる。

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2013年6月 4日 (火)

【イノベーション戦略ノート:006】イノベーションを分類する(2)

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Bunrui_3 ◆はじめに

前回イノベーションの区分の軸として、以下の5つを示し、(1)~(3)について説明した。今回は、(4)~(5)について説明する。
(1)イノベーションの目的
(2)イノベーションのリソース範囲
(3)イノベーションの推進力
(4)イノベーションのスパン
(5)イノベーションのタイプ

◆イノベーションのスパン

イノベーションというと、短期集中型の活動のイメージが強いが、実際には長期間かけて行うイノベーションもある。長期のイノベーションでよく引き合いに出される事例にコカコーラのイノベーションがある。

コカコーラは長期間、高い成長率を維持していたが、1990年代の終盤から成長に陰りが見え、収益が落ち込んできた。もっとも深刻な問題は、世界的なコーラの需要の落ち込みだった。飲料業界全体で、水分をとれればいいというものから、商品の新規性に重点が置かれ、また、ニーズが多様化してきた。

このような中でコカコーラは、コーラを中心にした飲料メーカから、総合飲料メーカになることを目指した。そして、1999年から2004年にかけて技術とビジネスモデルの両方でイノベーションの展開を始めると同時に、イノベーションセンターを作り、イノベーション文化の普及と、イノベーションプロセスの開発にも取り組んた。

そして、経営の分散化を行い、「シンク・ローカル、アクト・ローカル」を徹底した。その結果として今のコカコーラがある。日本では、コーラはもちろんだが、水、お茶など、ほとんどのジャンルでベスト3に入る商品を展開している。まさに、総合飲料メーカに生まれ変わったわけだ。

このようにイノベーションには長期にわたって成長することを目的とするイノベーションもある。

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【イノベーション戦略ノート:005】イノベーションを分類する(1)

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Bunrui_2 イノベーションという言葉に関しては、イメージが独り歩きしているような感じになってきた。いろいろなところにイノベーションという言葉がみられるようになってきた。戦略ノートで議論を進めていくにあたって、少し概念の整理をしておきたい。

整理に当たっては

(1)イノベーションの目的
(2)イノベーションのリソース範囲
(3)イノベーションの推進力
(4)イノベーションのスパン
(5)イノベーションのタイプ

の5つの軸について考える。

◆イノベーションのスパン

イノベーションというと、短期集中型の活動のイメージが強いが、実際には長期間かけて行うイノベーションもある。長期のイノベーションでよく引き合いに出される事例にコカコーラのイノベーションがある。

コ カコーラは長期間、高い成長率を維持していたが、1990年代の終盤から成長に陰りが見え、収益が落ち込んできた。もっとも深刻な問題は、世界的なコーラ の需要の落ち込みだった。飲料業界全体で、水分をとれればいいというものから、商品の新規性に重点が置かれ、また、ニーズが多様化してきた。

こ のような中でコカコーラは、コーラを中心にした飲料メーカから、総合飲料メーカになることを目指した。そして、1999年から2004年にかけて技術とビ ジネスモデルの両方でイノベーションの展開を始めると同時に、イノベーションセンターを作り、イノベーション文化の普及と、イノベーションプロセスの開発 にも取り組んた。

そして、経営の分散化を行い、「シンク・ローカル、アクト・ローカル」を徹底した。その結果として今のコカコーラがあ る。日本では、コーラはもちろんだが、水、お茶など、ほとんどのジャンルでベスト3に入る商品を展開している。まさに、総合飲料メーカに生まれ変わったわ けだ。

このようにイノベーションには長期にわたって成長することを目的とするイノベーションもある。

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2013年5月17日 (金)

【イノベーション戦略ノート:004】イノベーションを担う人材のスキルとマインド

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◆なぜ、人材育成をしないのか

第2話、第3話Innovator1と企業文化の議論をしてきたが、今回は人材について考えてみたい。イノベーションの重要性を認識しつつも、他人事であるという話を繰り返ししたが、この傾向がもっとも顕著に表れるのが人材育成である。日本の企業はもともとマネジメント人材への投資をしない傾向があることを差し引いて考えても、イノベーションの分野での人材育成にはあまりにも無関心である。

原因は大きくわけると2つあり、一つは人材育成などしなくても(優秀な)誰かが業務の「片手間」にやってくれるだろうという期待である。また、イノベーションとは本質的に優秀な人材がいつのまにか実現してくれるもので、人材を育成して実現するようなものではないと思っている人も少なくない。

もう一つが、人材育成しようにも何をすればよいか分からないという一面がある。人材育成する場合、技術のようにスキルが明確なものは費用だけの問題である。また、マネジメントにおいてもプロジェクトマネジメントや品質マネジメント、セキュリティマネジメントなどはこの範疇に入る。目的が明確だからだ。

逆に、マネジャー育成のように目的があまり明確にできず、必要なものは人によって異なる分野もある。たた、組織上の役割は明確であるので、組織として最低必要限のスキルとマインドを教えるがあとは本人に任せる。

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2013年5月 1日 (水)

【イノベーション戦略ノート:003】ポジティブ・ネガティブ・自己満足

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◆提案についてどう思う?

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あなたが、自動販売機メーカの幹部で、社員から以下のような自動販売機の提案をうけたらどうしますか?

(1)金や銀が購入できる自動販売機
(2)自転車レンタルの自動販売機
(3)生の魚介類の自動販売機

この質問はリサ・ボルデさんの「会社をつぶせ」という本にあったものを編集したものである。これらの自動販売機はすべて実在し、ある程度成功をしているものだそうだ。金の自動販売機は米国で、自転車レンタルはオランダ、生の魚介類は中国の地下鉄にあるどうだ。

実は本では、これ以外に牛乳の自動販売機というのがあってインドで多く設置されているらしい。牛乳の自動販売機といえば日本の温泉に多数あるので抜いたのだが、ひょっとするとインドで展開されているのは生乳かもしれない。

リサ・ボデル(穂坂 かほり訳)「会社をつぶせ―ゾンビ組織を考える組織に変えるイノベーション革命」、マグロウヒル・エディケーション(2013)

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【イノベーション戦略ノート:002】賢いリスクをとる

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◆スマートリスクマネジメント

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戦略ノート第2回。実質的な初回なので、何について書こうかと思って少し迷ったが、スマートリスクという話題を選んだ。

スマートという言葉がはやり言葉になっているが、リスクにもスマートという言葉が使われるようになってきた。「スマートリスク」である。スマートリスクって初めて聞くという人も多いと思うが、スマート=賢いで、「賢いリスク」という意味。リスクが賢いわけではなく、リスクをとることが賢い、つまり、妥当であるという意味だ。

システム開発のように失敗をすることが許されないオペレーション型のプロジェクトの場合、リスクはできるだけ回避したい(とりたくない)。だから、技術にしろ、工法にしろ、プロセスにしろ、できるだけ新しいことをしたくない。これがリスクマネジメントの本分であり、この体質がしみ込んでいるのがイノベーションができない一つの理由だ。

イノベーションのリスクは取ってナンボだ。リスクをとらないということは、イノベーションをしない(新しいことをしない)ということに等しい。取ったリスクをなんとか潜り抜けながらプロジェクトを進めていくことがリスクマネジメントの本分である。

PM養成マガジンの戦略ノートにスマートリスクのマネジメントについて書いたことがあるので、こちらも参考にしてほしい。

【戦略ノート278】スマート・リスクマネジメント
https://mat.lekumo.biz/ppf/2012/02/note278.html

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。