【戦略ノート217】プロジェクトの<重さ>
◆組織の<重さ>
3年くらい前に、「組織の<重さ>」という本が出版された。
沼上 幹、加藤 俊彦、田中 一弘、島本 実、軽部 大「組織の“重さ”─日本的企業組織の再点検」、日本経済新聞出版社(2007)
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組織には<重さ>があり、それが、新たな方策を立てて一体となって行動しようとすると、多大な労力があかったり、結局何も変わらなかったりするような組織の状況を生み出すという指摘だ。
同書によると、組織の重さを構成する要素には、
(1)過剰な「和」志向
(2)内向きの合意形成
(3)本来負うべき責任を他人や組織自体に転嫁する「フリーライド(ただ乗り)」
(4)経営リテラシーの不足
の4つがあるという。そして、重さの問題は、存在自体ではなく、経営上の成果に悪影響を与えることにある。直接的な影響は調整活動の増大であるとし、同書では「調整比率」という業務全体における「根回し」にかかる時間の比率をメトリクスとして見ている。2006年の結果であるが、軽い組織10%の調整比率は29.4%、重い組織10%の調整比率は42.3%であったそうだ。
ただし、組織の重さが短期的に収益性の低下をもたらすとは限らないが、中長期では大きな影響を与えるとしている。
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