【戦略ノート227】プロジェクトの成果物と組織の成果
◆プロジェクトの成果について考える2つの事例
プロジェクトで成果を上げるとはどういうことだろうか?こんな基本的な話題を改めて考えて見た。
わかり易い話から入ろう。SIベンダーは得意先からある業務システムの受託開発プロジェクトを受注した。SIベンダーは得意先の要求通りのシステムを開発し、引き渡した。しかし、得意先は満足しなかった。システムの仕様は自分たちの指定した通りであることを認めつつも、できあがったシステムでは自分たちの狙っていた効果を出すことがないないと主張。全面的な改定を要求した。長年のつきあいは何のためだとまでいった。これに対して、SIベンダーは契約を楯にとって自分たちの仕事の正当性を主張。結局、得意先はSIベンダーとの取引を打ち切るという事態に発展した。
議論したいことは、どちらに非があるかではない。非があろうが無かろうか、SIベンダーが得意先を一つ失い、年間数億円の売上げを失ったことは紛れもない事実である。仮に顧客に非があるとしても、失ったものを取り返すことはほとんど不可能だろう。
もうひとつ、今度は多少複雑な話。あるメーカでは、新商品の開発プロジェクトを実施した。そして、開発部隊はコンセプト通りの商品を開発した。企画者はコンセプト通りだと評価し、品質レベルも上々だった。ただ、不幸なことにまったく売れなかった。売れない商品を作ると振り返りという名の犯人捜しが始まる。犯人捜しの中で、開発リーダーがこの仕様では売れないということを指摘していたことが判明した。当然、なぜ、その意見を企画担当に伝えないかという議論になった。聞いてみると一度伝えたが、歯牙にもかけられなかったというのが真相らしい。
ここでも議論したいことはどちらに非があるかではない。いまさらそんな議論をしても手遅れだ。
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