2013年4月 5日 (金)

【プロジェクト活用講座】第2回 戦略実行にはどのようなプロジェクトが必要か

Project4 ◆戦略を3種類のプロジェクトで実行し、中期計画を達成する

プロジェクトを実施する最大の理由は戦略実行です。そして、戦略実行が必要な理由は事業計画(年度)や中期計画の達成というのが一般的です。

実はなんでもない話のようですが、中期計画や戦略が背景にあるというのは大きな意味があります。成長することを諦めた企業を別にすると、中期計画には成長目標が盛り込まれています。3年先の人員規模、売上、収益、ブランドなどの目標です。そして、当たり前の話ですが成長するということは、新しい能力を身につけるということです。

このためには業務的には、自分たちが持っていない技術を使った製品をつくるとか、新しいビジネスモデルを作るとか、新しい市場を開拓するとか、さまざまな業務が必要になります。つまり、前回説明したように、新規性のある仕事をしなくてはならないということなのです。それ故に、戦略実行においては、成長分の仕事はプロジェクトとして実行していくことが求められるのです。

では、実際に戦略実行においてはどんなプロジェクトが必要になるのでしょうか。簡単に整理してみます。

戦略実行のために必要なプロジェクトは、大きくは、業務革新プロジェクトと機能別革新プロジェクトに分けることができます。さらに細分化してみると、以下のようなプロジェクトとして戦略を実行します。

続きを読む »

【補助線】日本にチームは必要ないのか?

Term3_2今、ある農業法人におけるプロジェクトマネジメントの話をしている。まだ、お話できる段階ではないが、ちょっと面白いかもしれない。その中で出てきた話。

日本の農家は、戦後、小さな水田を持ち、用水を都合しあいながら、米を作ってきたそうだ。上流にある水田のオーナーは下流の水田に水が途切れないように用水に気を配るし 、下流側も心配する。しかし、決して、一つの水田にして、米をシェアしようという発想にはならないらしい。これって、農耕民族日本人のDNAなのだろうか?

この話を聞いて思い出したのが、チームマネジメントのグル「カッチェンバーグ」のいうチームとワーキンググループの話。

続きを読む »

2013年4月 2日 (火)

【イノベーション・リーダーシップ】第7話 トライブを率いる

Tribe ◆トライブとは

イノベーティブリーダーが活動しようとしたときに、真っ先に問題になるのが、リソースである。一人でできることは限られている。新しいことを興すときには常について回る話だが、社内のリソースは承認された活動とならないと割り当ててもらうことができない。社外のリソースを使うにも資金がない。

組織に所属して働く人がいろいろと考え、一人でできる範囲でアクションを起こすことができても、大抵はここで挫折をする。イノベーティブリーダーの活動もまた同じだ。

イノベーティブリーダーの活動の最初の難所を乗り越える方法として、「トライブ」という概念が注目される。トライブは部族という意味で、「トライブ」という本を書いた、セス・ゴーディンは

互いにつながり、リーダーとつながり、アイデアとつながった人々の集団

だと定義している。そして、2つのトライブの例を挙げている。

続きを読む »

センスのよいプロジェクトマネジャーの10の特徴~第4回(第3の特徴)「目的を明確に決め、目的にあったプロジェクトのコンセプトを考える」

Sense_2 ◆センスのない目的

前回は第2の特徴として、ステークホルダの期待を受けて、「自分の行動を他人の視点から振り返り、修正する」ことについて述べた。今回は、もう一度、ステークホルダの期待に応えるというテーマを、目的とコンセプトという観点から考えてみたい。

プロジェクトの目的を明確にして、プロジェクトを進めることについては、この5年くらいでずいぶん普及してきたように思う。しかし、プロジェクトの中で目的設定にこそ、プロジェクトマネジャーのセンスが現れる。

センスがないと思う目的の例を2つ挙げてみたい。一つは、ITなどの受注型のプロジェクトでよく見受ける目的で、「収益を上げる」という目的だ。二つ目は、開発型のプロジェクトでよく見かける「○○を開発する」という目的だ。

まず、前者から。どこがセンスがないと思うかと言えば、収益を上げることは前提であって目的ではないことだ。ここを取り違えている。

二つ目は、「○○を開発する」のも、プロジェクトの前提であって、目的ではない。センスのよいプロジェクトマネジャーは、開発の先に何があるのかを考える。

いずれの例も、ステークホルダが当たり前だと思っていることを達成できればよいと考え、その先まで達していないのだ。これは、ステークホルダの期待に応えることはできない。


続きを読む »

センスのよいプロジェクトマネジャーの10の特徴~第3回(第2の特徴)自分の行動を他人の視点から振り返り、修正する

Sense ◆期待に応えるには自分が与える影響を知ることが必要

前回期待を把握して、期待に応えるという話をしたが、期待に応えるためには、自分が相手に対してどういう影響を与えているかを適切に知ることが必要である。期待は把握できても、自分の与える影響を知らないと、良かれと思った行動が思わぬ事態を招くことがある。

そのような事態を防ぐためには、自分の行動を相手の立場から眺めてみて、問題があれば修正することだ。特に重要なことは相手の持っている「感情」と「前提」を相手の立場になって探してみることだ。


続きを読む »

2013年3月26日 (火)

≪サプリ355≫適応のためには柔軟な発想が必要

企業が高い適応力を発揮するには、柔軟な発想が求められる
(ゲイリー・ハメル、ロンドンビジネススクール客員教授)

Supple【成分】
◆適応力とは
◆計画をみれば、プロジェクトマネジメントへの適応が分かる
◆メンバーの作業を止めるのか
◆適応できている企業
◆適応できていない企業
◆適応する方法

続きを読む »

2013年3月25日 (月)

【イノベーションを生み出すマネジメント】第14話 イノベーションの進捗管理

Innovative ◆なぜ、闇業務にするのか

前回、2013年のGEの「グローバル・イノベーション・バロメーター」の結果を紹介した。これから分かるように、日本の企業は(欧米ほどでないにしろ)、80%の企業がイノベーションの重要性を認識しつつも、それに見合うだけのリソース投入をしていない。また、環境や仕組みづくりも欧米に大きく劣っている。監修された米倉先生の言葉を借りれば、「イノベーションが闇研究から偶然生まれる」と考えている。

なぜなのだろうか?と考えてみると、いくつかの理由が考えられる。

真っ先に思い浮かぶのが、企業として公式の仕事にしてしまうと結果を求められ、仕事の性格上、失敗することが多くなる。これを嫌がっている節がある。それならば、ある程度の目途がつくまで闇で行うことに目をつぶるというパターンだ。これは理由は日本企業では昔からあったパターンだ。

これはこれで、それでも業務のパフォーマンスが低いという別の問題がある。ある企業の役員とこの話になったときに、サービス残業しているから問題ないと平然と言いきられて唖然としたが、まあ、実態なのだろう。これを合理的に行おうというのが、第11話で紹介した3Mやグーグルが採用しているルールだ。


続きを読む »

≪サプリ354≫コミュニケーションの目標は行動

すべてのコミュニケーションの目標は行動にある(ジョン・マクスウェル、メンター)

Supple【成分】
◆なぜ、コミュニケーションの問題に気づかないのか
◆コミュニケーションこそ、最大のリスク
◆コミュニケーションに対する認識
◆コミュニケーションに目的意識を持つ

続きを読む »

2013年3月22日 (金)

センスのよいプロジェクトマネジャーの10の特徴~第2回(第1の特徴)ステークホルダの期待を把握するのがうまい

Sense ◆要求と期待

どんな分野にしろ、要求はプロジェクトマネジャーを悩ます元凶である。ITであれば顧客の要求、商品開発であれば市場やユーザの要求に応えることがプロジェクト成功に秘訣と考えてしまう。

センスのいいプロジェクトマネジャーはそうは考えない。顧客の要求ではなく、顧客の期待に応えようとする。

要求と期待は同じではないかと思うかもしれないが、そうではない。顧客の要求は、こういう機能を作ってほしいとか、こういう性能にしてほしいとか、こういう使い勝手にしてほしいといったことである。

しかし、顧客にとってもっとも重要なことは機能や性能ではなく、その先にある。そう、その機能や性能によって起こることだ。たとえば、CRMのシステムであれば、CRMのシステムを使うことによってリピート率が○○%上がるといったことだ。たとえば、エアコンであればワット数ではない。早く斑なく部屋を冷やしたり、温めたりすることだ。これが顧客がその製品や商品に期待するものだ。

厄介なのは、要求は同じでも期待は顧客によって違うし、ユーザによっても違うことだ。その中で、その顧客の期待を把握し、応える必要がある。特に、顧客の誰、どのようなユーザに応えればよいかを把握し、その人たちに応える。ここがセンスのよいプロジェクトマネジャーの真骨頂である。

続きを読む »

2013年3月19日 (火)

【お知らせ】スマートフォンに対応しました

Smartphone1_2 プロジェクトの補助線ブログのプロバイダーの変更に伴い、スマートフォンに対応できるようになりました。

通勤のお供になど補助線ブログをご愛読いただければ幸いです。

PMstyle 2024年11月~2025年3月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。