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2013年4月 2日 (火)

センスのよいプロジェクトマネジャーの10の特徴~第4回(第3の特徴)「目的を明確に決め、目的にあったプロジェクトのコンセプトを考える」

Sense_2 ◆センスのない目的

前回は第2の特徴として、ステークホルダの期待を受けて、「自分の行動を他人の視点から振り返り、修正する」ことについて述べた。今回は、もう一度、ステークホルダの期待に応えるというテーマを、目的とコンセプトという観点から考えてみたい。

プロジェクトの目的を明確にして、プロジェクトを進めることについては、この5年くらいでずいぶん普及してきたように思う。しかし、プロジェクトの中で目的設定にこそ、プロジェクトマネジャーのセンスが現れる。

センスがないと思う目的の例を2つ挙げてみたい。一つは、ITなどの受注型のプロジェクトでよく見受ける目的で、「収益を上げる」という目的だ。二つ目は、開発型のプロジェクトでよく見かける「○○を開発する」という目的だ。

まず、前者から。どこがセンスがないと思うかと言えば、収益を上げることは前提であって目的ではないことだ。ここを取り違えている。

二つ目は、「○○を開発する」のも、プロジェクトの前提であって、目的ではない。センスのよいプロジェクトマネジャーは、開発の先に何があるのかを考える。

いずれの例も、ステークホルダが当たり前だと思っていることを達成できればよいと考え、その先まで達していないのだ。これは、ステークホルダの期待に応えることはできない。


◆センスのよい目的とは

センスのよいプロジェクトマネジャーはこんな目的設定をしない。

前者であれば、たとえば5%の利 益を見込んで受注したプロジェクトで10%の利益を上げるといった結果を思い浮かべ、たとえば「見積もり以上の収益を上げ、財務的な貢献をする」という目 的を掲げる。そして10%の収益を上げるという目標設定を行う。あるいは、「10%のコスト削減を可能にする開発手法を考案する」という目的を掲げるプロ ジェクトマネジャーもいるだろう。

収益を上げるというのは期待されているわけではなく、実現して当然だと思われている。その上で、組織の期待は何かと考え、それを付加価値をもたらすプロジェクトの目的に設定する。あるいは、自分たち(の会社)のやりたいことは何かを考え、それを付加価値とする。

後者であれば、○○システムの開発を通じて達成したいことを目的とする。たとえば、顧客の信頼を勝ち取るとか、技術を開発するとか、自社の開発力を世の中に訴求するといったことだ。

◆センスのよいプロジェクトマネジャーには目的意識がある

セ ンスのあるプロジェクトマネジャーとそうでないプロジェクトマネジャーは何が違うので、こういう違いが出てくるのか?一言でいえば、目的意識である。目的 意識のあるプロジェクトマネジャーは、何をやるにも目的を考える。逆にいえば、目的が思いつかないことはする必要がないと考える。

成果以外の目的を決め、その目的実現に向けてプロジェクトを進めていくということなのだが、ここで一つ重要な問題がある。それは、何のためにその目的を設定するのかということで、コンセプトと呼ばれる。

たとえば、よく見かける目的に「技術獲得」がある。プロジェクトを通じて○○技術を得るというものだ。あるいは、「リピートオーダー」を目的にしたプロジェクトも多い。

一 見もっともらしいのだが、何のためにその技術を獲得するのか、何のためにリピートオーダーを獲得するのかというところを詰めて考えると、コンセプトが怪し いケースがある。技術を持つ明確な目的は何にも関わらず、技術を持っていることはいいことだと考える。コア技術が何かを定義していない組織で、やみくもに 技術を手にいれても使われる可能性は小さい。

そのときの状況に関係なく仕事を受けることはいいことだという前提で考えるのだが、リピートオーダーであれば他の顧客もいる中で、その顧客のオーダーを得ることが戦略に貢献することになるのか。貢献していなければ、無駄にリソースを使うだけになりかねない。

◆センスのよいプロジェクトマネジャーは期待をコンセプトにする

このように成果以外の目的を掲げる場合にはコンセプトが必要なのだ。コンセプトとは、その目的を設定することによって

・誰に
・何を
・どのように

提供できるのかである。技術を獲得するという目的を設定したとして、それが誰に、何を、どのように提供することにつながっていくのか。たとえば、

・誰に:類似の商品を開発していうA部門に
・何を:○○技術を
・どのように:今回の担当者BがA部門のプロジェクトに参加することによって

提供することができる。

こ こまではできるプロジェクトマネジャーならできる。センスのよいプロジェクトマネジャーはさらに上を行く。ポイントはコンセプトの考え方にある。今回の技 術の獲得によって技術を超えて得られるものは何かと考える。たとえば、技術の活用方法に対する知見だったとしよう。すると、

・誰に:A部門に
・何を:○○技術の活用方法
・どのように:プロジェクトマネジャーCがA部門のコンサルティングをする

というコンセプトを作るわけだ。

こ こで、第1の特徴を思い出してほしい。第1の特徴はステークホルダーの期待に応えることだった。A部門に提供するとして、A部門の期待は何か。技術を手に 入れることより、その技術を何に活用すれば自分たちのベネフィットになるかであることは明らかだ。これがセンスのいいプロジェクトマネジャーである。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。