メルマガ創刊から2~5年目にやっていた時期を第1期として、今回は第2期とします。
第1期は多くの企業がプロジェクトマネジメントを導入し、プロジェクトマネジャーの数を増やそうとしていた時期でしたので、プロジェクトマネジメントスキルをテーマに、1テーマ1回で、半日のセミナーとして実施していました。
第2期ではプロジェクトマネジャーは「量から質を求める」時代になっているという認識のもと、プロジェクトマネジャーの品質アップを目指して、プロジェクトマネジャーにとってより「本質的」なスキルを取り上げて、土曜日の1日セミナーでじっくりと取り組んで戴くことにしました。
第2期第1回のテーマは
「マネジメントセンス」
を取り上げます。
バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
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◆リーダーというのはイノベーティブなものではないのか
これまで、最初にリスティングした項目を適当にまとめながら、6回にわたって、イノベーティブリーダーの思考法を書いてきた。これからも思いついたら書いてみたいと思っているが、一旦、この辺で手じまいしたいと思う。最後にこれを書いて置きた
い。
このメルマガの公式グループとして、facebookに「イノベーティブ・リーダーへの旅」というグループを作っている。
このグループを作ったときに鋭い指摘があった。それは
リーダーというのはイノベーティブなものではないのか
という指摘だ。
◆はじめに
この連載は、ほぼ1年、21回連載してきた「イノベーションを生み出すマネジメント」の後継の連載です。イノベーションを生み出すマネジメントは、入門的な位置づけで現場のマネジャーに役立つことを意識して書いてきましたが、今度は少し、組織を意識した議論をしたいと思っています。
「イノベーションを生み出すマネジメント」
「イノベーション・イニシアチブ」には、これ以外に連載が2本あります。
「イノベーション戦略ノート」:イノベーションの四方山話
「イノベーション・リーダーシップ」:イノベーティブリーダーの仕事術
併せてお読みいただくと効果的です。
◆深刻な雰囲気の中でイノベーションは生まれない
ラテラル・シンキングで有名なポール・スローンの言葉にこんな言葉がある。
深刻な雰囲気の中でイノベーションは生まれない
日本企業でイノベーションが生まれない理由を一言で説明すればこの言葉に集約されるのではないか。イノベーションを目指す企業にとってよいお手本であるグーグルがメディアで紹介されるのを見るたびにこの言葉を思い出す。
制度やイノベーションマネジメントにも15%ルールを初め、学ぶことはたくさんあるが、注目すべきは
社内移動用の電動キックボードやセグウェイ、料理人が各国の料理を提供する無料食堂、フィットネスジムやサウナを完備したキャンパス、定期的に開催されるローラーホッケーのイベントなど充実した福利厚生サービス、猫以外のペットを持ち込み可能なオフィスやおもちゃなど遊び道具を持ち込める仕事部屋、ラバライトやゴムボールがあちらこちらに置かれた独特な企業文化(WikipediaのGoogleより)
といった社風だ。
◆組織の掟
イノベーターの思考法として、重要だと言われながら、なかなか実行できないのが、「試行」や「失敗」に関する思考である。失敗への思考のむずかしさは、そもそも、失敗とは何かというところか始まる。
イノベーションは誰が行うのかという議論があるように、失敗というのは誰にとっての失敗かという話がある。組織というのは本質的に手柄は上司、失敗は部下という世界である。イノベーションはこの典型で、うまく行けば上司の手柄で、失敗すれば部下の失態になる(責任と書こうとしたのが、ちょっと違う)。
だからイノベーションは実態がどうれあれ、上司が知らないところで部下がやるという構図が美しいのだ。そして、うまく行きそうになれば上司が口を出してくる。悪いといっているわけではなく、スカンクワークでイノベーションを起こそうとしてもどこからかは組織が絡まないと日の目は見ない。その意味で組織とはそういうものなのだ。
現実には多くの場合、組織が絡んで、商品としての「コンセプト」ができることが多い。その意味で、上司の手柄というのもまんざら嘘ではない。順序の問題にすぎないともいえる。
◆「抽象的」な考えは机上の空論?!
7月24日に「リスクをとるリスクマネジメント」という公開講座を行った。創造的リスクマネジメントをしようというセミナーなのだが、受講者の方からアンケートで、「リスクが抽象的」、「具体的」とはどういうことかという指摘を受けたので、メルマガを使って補講してみる。公開講座に参加されていない方を念頭において書くので、受講者の方には被る内容があるのはご容赦戴きたい。
今年になって、コンセプチュアルスキルの強化を打ち出している。その活動の中での感触としては8割くらいの人(特に理系の人)はものごとを「抽象的」に考えても机上の空論にすぎない、「具体的」に考えるべきだと考えているようだ。ここについてはまだ、かみ合っていない感じなのでこれから時間をかけて抽象的なことも考えた方がいいよと伝えていこうと思っている。
この話を頭の中にどこかに残しておいてほしい。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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