「獺祭」というイノベーション
桜井 博志「逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法」、ダイヤモンド社(2014)
お奨め度:★★★★
獺祭で知られる旭酒造の社長・桜井 博志氏の書いた潰れかけの酒造から、獺祭で純米本醸造の国内シェアの50%を占め、40億近い売り上げを作るまでの経営の物語。全体としてはサクセスストーリーなのだが、いろいろな失敗をし、学びながら、現在に至る的なストーリーはなかなか学ぶ点が多い。
桜井 博志「逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法」、ダイヤモンド社(2014)
お奨め度:★★★★
獺祭で知られる旭酒造の社長・桜井 博志氏の書いた潰れかけの酒造から、獺祭で純米本醸造の国内シェアの50%を占め、40億近い売り上げを作るまでの経営の物語。全体としてはサクセスストーリーなのだが、いろいろな失敗をし、学びながら、現在に至る的なストーリーはなかなか学ぶ点が多い。
ビジネス書の杜第82回書籍プレゼント
ケビン・ワーバック、ダン・ハンター(三ツ松 新監訳、渡部典子訳)「ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義」、阪急コミュニケーションズ (2013)
に104名の方のご応募いただきました。ありがとうございました。
当選者は以下の3名です。
ino さん
banabn さん
だいな さん
おめでとうございます。惜しくも選に漏れた方もぜひこちらからお求めください。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484131242/opc-22/ref=nosim
ゲアリー・ケラー、ジェイ・パパザン(門田 美鈴訳)「ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果」、SBクリエイティブ(2014)
お奨め度:★★★★★+α
バランスを取らずに、一点集中を行うことのご利益と、一点集中の方法について述べた一冊。
個人の仕事の方法にも、チーム(組織)としての仕事のやり方にも通用する方法であり、読んでいる限り、バックボーンとなるロジックがあり、「私はこういうやり方でうまく行っています」式の啓蒙書とは一味違う良書。
アダム グラント(楠木 建訳)「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」、三笠書房(2014)
お奨め度:★★★★★+α
対人行動の基本関係をギバー(人に惜しみなく与える人)、テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)、マッチャー(損得のバランスを考える人)の3つのタイプに分けて、事例と心理学実験などを通じて、仕事におけるタイプと成果の関係を分析した一冊。米国でウォートン校史上最年少の終身教授になった著者のデビュー作として米国を始め、全世界で話題になった書籍の翻訳。
監訳者の楠木先生が「情けは人のためならず」を実証実験し、理論化された本だと述べられているがまさにそんな感じの本である。「情けは人のためならず」に共感できる人にはお奨めしたい。
ジョン・クプレナス、マシュー・フレデリック(美谷広海訳)「エンジニアに学ぶ101のアイデア」、 フィルムアート社(2013)
お奨め度:★★★★★
いろいろな分野のエンジニアリングの101の方法論を通じて、エンジニアのものの見方と発想を学ぶ。モノ作りにもイノベーションにも効く常識、理論、実践は、エンジニアの人以外にもたくさんの思考のヒントを与えてくれる。エンジニアはもちろん、ビジネスマンにお奨めの一冊。
2014年第1弾、通算82回目のビジネス書の杜読者プレゼントです。
82回のプレゼントは、2013年のAwardに選んだ
「ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義」
です。
日本でもゲーミフィケーションの本は何冊かありますが、理論化をしようとしており、また、モチベーションやマーケティングといった経営学の他のトピックスとの話題にも言及しており、バイブルになりそうな本です。
今回、版元である(株)阪急コミュニケーションズ様のご厚意で読者プレゼント用に3冊提供して戴きました。
締め切りは1月27日の24:00です。奮ってご応募ください。
応募は以下のページからお願いします。
第82回書籍プレゼント「ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義」
今回で8回目となる「ビジネス書の杜」主宰者・好川哲人が選ぶ「このビジネス書がすごい!2013」(ビジネス書の杜Award2013)は
ケビン・ワーバック、ダン・ハンター(三ツ松 新監訳、渡部典子訳)「ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義」、阪急コミュニケーションズ (2013)
を選びました。今年も印象に残った本から5冊を選び、改めて読み直し、この本に決めました。
この何年か、米国ではゲーミフィケーションを導入した企業の業績アップが目立つそうです。一方で、有効性の明確な根拠はないという状況にあります。
日本でもゲーミフィケーションは注目されるようになり、徐々にではありますが、ハウツー本も増えてきました。
その中で注目されるのが、名門ペンシルベニア大学ウォートン・スクールで世界初の「ゲーミフィケーションコース」ができ、ある程度、体系化されたプログラムが開発されました。その担当教授が理論から実践まで書いた本が日本でも翻訳されました。
こういう形で提供されるとマネジメントやビジネスの中で、ゲーミフィケーションを思い付きではなく、有効に使うことができるのではないかと思わせる本です。きっとゲーミフィケーションのバイブルになるでしょう。
ビジネス書の杜の記事はこちらにあります。
MBAコースではゲーミフィケーションをどう教えるか
https://mat.lekumo.biz/books/2014/01/post-ad79.html
候補に残った他の4冊はこちらです。
ビジネス書の杜Award2013 特別賞
https://mat.lekumo.biz/books/2014/01/award2013-aa7a.html
過去のAwardはこちらです。
https://mat.lekumo.biz/books/2014/01/award-95f4.html
ビジネス書の杜のAward2013は明日(1月15日)発表する予定です。今年は候補を5冊に絞り、その中から1冊選びました。
今年はそれ以外に、特別賞というのを選びました。この本です。
ビジネス書の杜を始めて十数年になりますが、この間、常に強烈なインパクトを与えて貰ったのが、クレイトン・クリステンセン先生です。昨年でリタイヤされるということですので、感謝をこめて今年出版されたハーバードビジネスレビュー掲載論文の論文集を特別賞に選びました。
クレイトン・クリステンセン(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー編集部翻訳)「C. クリステンセン 経営論――ハーバード・ビジネス・レビュー・アンソロジー」、ダイヤモンド社(2013)
https://mat.lekumo.biz/books/2013/07/c-560e.html
なお、5冊の候補の中で選ばなかった4冊は以下のとおりです。いずれも素晴らしい本です!
茂木 誠「経済は世界史から学べ!」、ダイヤモンド社(2013)
お奨め度:★★★★
今起こっている経済的問題を、歴史をひも解き、類似の事例や根源になるものを紹介することにより、本質を理解するとともに、経済学についての教養も身につく一冊。
問題の本質を見極め、それについて易しく、薀蓄を交えて解説するという手法では池上彰さんが有名だが、比較してもこの本は結構いい線をいっているように思う。
藤本 隆宏「現場主義の競争戦略: 次代への日本産業論 (新潮新書)」、新潮社(2013)
お奨め度:★★★★
藤本先生が日本橋の経済倶楽部で行われた講演会の記録に基づき、加筆された本。日本の製造業に対する悲観論への反論と、持論である能力構築競争の今日的な理解が述べられている。
藤本先生の本の中では読みやすく、藤本先生の持論を知るにはお奨めの本だ。
井関 利明, 山田 眞次郎「思考 日本企業再生のためのビジネス認識論」、学研パブリッシング(2013)
お奨め度:★★★★★
大学改革の手本となった慶應大学SFCの創設メンバーの中心であった井関 利明慶應義塾大学名誉教授と、インクスの創設者であり、モノづくりの論客でもある山田 眞次郎さんが現在のビジネスの認識について過去からの流れを整理し、論じた対談集。パラダイムの変化をうまく議論していて、今、われわれが行っているビジネスを明確に認識できる一冊。
これは名対談集だ。水野学さんによる本全体のデザインもよい。
2010年から続けています、日経コンピュータへの寄稿は、昨年は以下の4本でした。なお、2013年で日経コンピュータへの寄稿は卒業させてもらうことになりました。
思えばこの仕事、いつもお世話になっている谷島宣之さんが編集長になられたのでお引き受けしたのですが、1回目が掲載される前に谷島さんは異動され、まあ、引き受けたからには3年くらいはと思って続けた長い4年間でした。
【1】水野和敏「非常識な本質――ヒト・モノ・カネ・時間がなくても最高の結果を創り出せる」、フォレスト出版(2013)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130307/461624/
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2013/01/innovation_management.html
【2】平鍋 健児、野中 郁次郎「アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント」、翔泳社(2013)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130708/489767/
https://mat.lekumo.biz/books/2013/01/agile.html
(ビジネスマンのためのアジャイル読本)
【3】デイブ・グレイ、トーマス・ヴァンダー・ウォル(野村 恭彦監訳、牧野 聡訳)「コネクト ―企業と顧客が相互接続された未来の働き方」、オライリージャパン(2013)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130905/502622/
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2013/07/post-423f.html
【4】水野和敏「非常識な本質――ヒト・モノ・カネ・時間がなくても最高の結果を創り出せる」、フォレスト出版(2013)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20131111/517182/
https://mat.lekumo.biz/books/2013/09/post-95da.html
(目的のための本質を考え、実行する)
ケビン・ワーバック、ダン・ハンター(三ツ松 新監訳、渡部典子訳)「ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義」、阪急コミュニケーションズ (2013)
お奨め度:★★★★★
ビジネススクールで初めてゲーミフィケーションの講義を取り入れたウォートンの教科書。MBAプログラムの体系と関連付けながらゲーミフィケーションの説明がされており、ゲーミフィケーションを取り入れた仕組みの構築に役立つ一冊。
今年も、Awardの季節になりました。今年で8年目、1月14日の週に発表する予定です。さて、今年はどうなることでしょう?
昨年までの7年間の歴史をご紹介しておきます。
【Award2012】
ケン・シーガル(林 信行監修・解説、高橋 則明訳)「Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学」、NHK出版(2012)
【Award2011】
ピーター・センゲ(枝廣 淳子、小田 理一郎、中小路 佳代子訳)「学習する組織――システム思考で未来を創造する」、英治出版(2011)
【Award2010】
ジェームズ・クーゼス、バリー・ポズナー(金井壽宏監訳、伊東奈美子訳)「リーダーシップ・チャレンジ」、海と月社(2010)
【Award2009】
リクルートHCソリューションユニット、太田芳徳「「決める」マネジメント――人を活かす職場をつくる」、英治出版(2009)
【Award2008】
佐々木 直彦「プロデュース能力 ビジョンを形にする問題解決の思考と行動」、日本能率協会マネジメントセンター(2008)
【Award2007】
アラン・コーエン、デビッド・ブラッドフォード(高嶋薫、高嶋成豪訳)「影響力の法則―現代組織を生き抜くバイブル」、税務経理協会(2007)
【Award2006】
スコット・バークン(村上 雅章訳)「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法」、オライリー・ジャパン(2006)
2013年の紙の本と、Kindle版を合せた売上げランキングです。
1位は、ダニエル・ピンクの新しい本「人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する」でした。セールスというテーマは実用書は山ほどありますが、こういう概念的な本はあまりなかったように思います。
しかし、ダニエル・ピンクによると、今の時代は誰もがセールスをしているといい、それは売らないセールスだと言います。この指摘も極めて本質的な指摘で、この本の提案も、きっとフリーエージェントやハイ・コンセプトのように何年か後に日本でも定着してくる考え方ではないかと思います。コンセプトの時代のセールスについて述べた本だと言ってもよいと思います。
第2位は、元日産の水野さんの「非常識な本質」でした。プリメーラやGTRなどで知られる名カーエンジニアの水野さんのインパクトのある体験談です。
この本は、日本の製品はなぜガラパゴスになるのか、なぜイノベーションが進まないかを考える上で、非常に役に立つ本です。
本質は非常識なものである。
タイトルがすべてを語っています。
第3位は2012年に出版された本で、「採用基準」でした。この本はマッキンゼーで採用マネジャーをされていた伊賀さんがマッキンゼーの採用する人材像という視点から、リーダーシップについて述べた本です。
日本企業の考えるリーダーシップと欧米企業のリーダーシップの違いを理解するにはもってこいの本です。
ベスト3は以上でした。
ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー(池村千秋訳)「なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践」、英治出版(2013)
お奨め度:★★★★★
ハーバード大学で、成人学習、職業発達論を研究するロバート・キーガン教授の『Immunity to Change』の翻訳書。2009年の刊行以来、免疫システムという変わった概念による変革アプローチの本として評価されている。
変化が必要だと思っても、85%の人が行動すら起こさないとされるが、この本のアプローチによると多くの人や組織は変革できると主張している注目の一冊。変革の必要性を感じている人はぜひ、読んでみよう!
2013年はKindle本の月の平均売上数が初めて3桁になりました。2012年と比較するとKindleの普及を実感する結果になりました。以下に結果を発表します。
なお、ビジネス書の杜、および、PMstyleプロデュースに書評がある本は書評URL、ないものはアマゾンのKindleストアの当該URLをリンクしてあります。
まず3位から。3位は三谷 宏治さんの書かれた
「経営戦略全史 50 Giants of Strategy」
でした。この本、ハンドブック的に使えますので、Kindleには適していると思います。
第2位は川原 慎也さんの
「これだけ! PDCA」
です。簡単なようで実はかなり難しいPDCAについてポイントを押さえて書かれた本で、一昨年の発行ですが、まだまだ、よく売れているようです。
そして第1位は、昨年の「ビックデータ」イヤーを象徴するような本でした。ビックデータについて一冊本を進めるならこの本という役立つ本ですが、この本がKindleで売れた理由は、値段も多少は安いですが、おそらく紙の本が品切れになっていることが多かったからではないかと思います。
「ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える」
ということで、Kindle版の売上げベスト10は以下の通りでした。
レイ・フィスマン、ティム・サリバン(土方 奈美訳)「意外と会社は合理的 組織にはびこる理不尽のメカニズム」、日本経済新聞出版社(2013)
お奨め度:★★★★★
マクドナルド、HP、マッキンゼー、P&G、ザッポスなどの企業、ボルチモア市警、サモア政府などのパブリックセクター、アルカイダなどを例にとり、採用、報酬、組織文化、イノベーション、マネジメントにおける不合理の本質を、組織経済学の観点から解き明かした一冊。一つのテーマについて、民間企業とパブリックセクター、宗教団体というふうに2つ以上の性格の異なる組織を比較し、同じことが言えるという仕立てになっており、興味深く読める。そして、911で組織が評価されたアルカイダは本当に理想の組織なのかという検証をしている、
楡 周平「象の墓場」、光文社(2013)
お奨め度:★★★★★+α
世界的なエクセレントカンパニーであるコダックをモデルにしたと思われるグローバル企業ソアラ社の日本法人を舞台にした小説。資本主義、企業文化、価値感、イノベーション、技術、組織と人などについて非常に深く考えさせられる一冊。
小説と調査に基づく学術書を比較すべきではないことは重々承知しているが、クレイトン・クリステンセン先生の「イノベーションのジレンマ」以上のインパクトがあった。
特に、小説(ストーリー)という形でしか書けないと思われる全体の構造が見事に書かれており、現場で起こる現象がなぜ起こっているかを、断片的なステレオタイプの指摘ではなく、コンセプチュアルに把握できる。イノベーションや変革に携わっている方すべてに強くお奨めしたい。
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