プロジェクトスポンサーの秘密 Feed

2009年1月29日 (木)

クリエイティブクラスへのパスポート「プロデュース能力」

◆プロデュース活動のイメージ

みなさんはプロデュースというとどのような活動を思い浮かべるだろうか?

プロデューサと呼ばれる人たちがやっている仕事を考えてみると

・映画やアニメをつくる
・テレビの番組をつくる
・華やかなイベントを演出していく
・ゲームを創る指揮をとる
・タレントを売り出す
・・・

などがある。しかし、このイメージはもはや古いのではないかと思う。

米国カーネギーメロン大学のリチャード・フロリダが提唱した概念に「クリエイティブ・クラス」がある。フロリダは、ホワイトワーカーとか、ブルーワーカーとかいう職業分類に代えて、クリエイティブな業務に関わる層と、そうでない層という分類を定義した。

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2009年1月28日 (水)

プロマネ ミメロギアで遊ぶ

編集工学を提唱する松岡正剛氏が作った編集ゲームに「ミメロギア」というのがある。ミメロギアはミメロギアミメーシス(模倣)とアナロギア(類推)という二つのギリシア語をくっつけた松岡氏の造語。

まず、ペアの言葉でお題がでる。たとえば、「珈琲・紅茶」、「トヨタ・ニッサン」。

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2009年1月20日 (火)

【補助線】問題と問題点

◆問題とは何か

問題という言葉は何気なく使う言葉だが、正確な定義は結構難しい。出版業界は昨年くらいから問題解決本のブームになっていて、すごい点数の書籍が出版されている。それらの本で一様に書いているのは

問題とは目標(あるべき姿)と現状(ありのままの姿)のギャップであり、解決すべき事項である

という定義である。ここまではほとんど異論はないだろう。問題はこの解釈である。実はこのステートメントは突っ込みどころ満載だ。少なくとも

・誰の目標
・誰のみた現状
・誰が解決すべき

の3つは明確が明確になっていないとこのステートメントは意味をなさない。多くの人は「ギャップ」という言葉に目を奪われるので、ふんふんと思う。あるいは、そんなのはすべて組織だろうという人もいるかもしれない。問題解決というのは行動だ。動詞で語るべきことだが、組織って主語になるのかって突っ込みもある。

このあたりの議論になってくると、山のようにある本の中でも、書ききっている本は多くない。昨年出た問題解決の本の中で、もっともきちんとこれをかけていると思うのは、コンサルタントの小宮一慶さんの

ビジネスマンのための「解決力」養成講座
ビジネスマンのための「発見力」養成講座

である(発見力は一昨年の出版)。そもそも、出版ビジネスをやっている人以外が、問題発見をスキルだと言い切ることがよくわからない。その意味でこの本は問題を解決するというのはどういうことかをきちんと考えさせる良書である。

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2009年1月 6日 (火)

【補助線】指導、支援、奉仕

以前からずっと気になっていた。いよいよ、ロバート・グリーンフィールドの著作集が翻訳されたので、この記事を書いておく。

ロバート・グリーンリーフ(金井壽宏監訳、金井真弓訳)「サーバントリーダーシップ」、英治出版(2008)

時代は10年以上前に戻る。プライベートには金井先生のゼミにいっている時期だ。国の中小企業施策の変更というのがあって、「指導から支援に」という方向性が打ち出された。

日本語の指導という言葉はもっと広い意味を含んでいると思うが、少なくとも役人用語では、命令に近い語感がある。自分たちの提供するパブリックサービスを利用する前提が指導に従っていることだからだ(悪いといっているわけではない。自分たちの言うとおりにしていればうまくいくというのは一つの見識である)。

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2009年1月 5日 (月)

【補助線】サスティナブルなプロジェクトマネジメントを求めて

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

新年第1弾なので、多少、展望めいた話など、、、

◆「プロジェクトマネジメント=プロデュース+プロジェクト管理」

PM養成マガジン726号の「PMコンピテンシーを高める1冊の本」で使ったタイトルである。

最近、やっと追いかけていたものが見えてきたような気がする。PM養成マガジンの初期のころは、プロジェクトマネジメントのスコープを明確にするために、好んでプロジェクトマネジメントとプロジェクト管理はどう違うかということを議論していたし、そのような議論に興味を持つ人も多かったように思う。

今、振り返って考えてみると、概念の違いに興味があったというよりも、それなりの門構えの企業では「プロジェクト管理」には取り組んでおり、そこに似て非なる概念である「プロジェクトマネジメント」という概念が出てきたので、防衛本能もあって、反応したのではないかと思う部分も多い。

その後、プロジェクト管理という言葉は、プロジェクトマネジメントという言葉にあっという間に淘汰され、世の中がプロジェクトマネジメント一色になった。が、内容はプロジェクト管理のままであり、それがプロジェクトマネジメントの可能性を狭めるものになっているように思える。

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2008年12月 1日 (月)

【補助線】プロジェクトマネジメント栄えて、プロジェクト滅ぶ

◆マネジメントが組織を滅ぼす

「政治家栄えて国滅ぶ」とか、「官僚栄えて国滅ぶ」といったとかいうフレーズがあるように、統治者が栄えて、統治対象を滅ぼしてしまうというのは世の常である。

マネジメントでもこういう現象はよく見かける。マネジメントが組織を滅ぼすという構図だ。多くの原因があるが、代表的なものを3つあげるとすれば

(1)自分以外を変えることによって会社を変えようとする傾向がある
(2)マネジメントは自分より能力があるものを登用しない傾向がある
(3)管理を目的とし、過剰な管理をする傾向がある

である。実はこの3つは、ピーター・ドラッカー博士の膨大なるマネジメントに対する遺言の中に、しっかりと警鐘されていることでもある。

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2008年11月25日 (火)

【補助線】問題なのは「やり方」ではなく、「あり方」だ

中世ドイツのキリスト教神学者マイスター・エックハルトが残した言葉に

人々がじっくり考えるべきことは、「何をすべきか」ということよりむしろ「どうあるべきか」ということだ。

という言葉がある。もっと古い時代には、老子は、

あるのは、やり方ではなく、あり方だ。

といっている。

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2008年11月10日 (月)

【補助線】組織とは何か

◆個人と組織

社会保険庁の記録改ざんで、「個人」と「組織」の線引きが問題になっている。社会保険庁に限らず、官民を問わず、この問題は微妙である。改めて組織とは何かと考えさせられる。

「組織で行う」というのは、組織の上位管理者が構成員(以下、社員と書く)に対して、業務命令を行い、社員が実行することを意味している。このロジックで考えると、命令がないのに、社員が「組織のために良かれ」としてやったことは、個人が勝手にやったことになる。

この問題が複雑なのは、その行為を管理者が知っているかどうかで話が変わってくることだ。知っていれば、正規の手続きを踏んでも組織として行ったことになり、知らなければ個人の行為だということになることが多いが、責任体制もそのようななっているかというと極めて怪しい。

◆権限委譲というグレーゾーン

この問題そのものは内部統制の強化で徐々に解決してきたが、依然として残っている問題は、この問題が原因になって起こっている権限委譲の問題である。権限委譲というのを明確な形で行っていないため、ここがグレーゾーンになって、結局、誰の責任か分からなくなっているケースをよく聞く。

プロジェクトマネジメントでもこの問題が出ている。プロジェクトマネジャーの権限を確認すると、「プロジェクトの運営に関するすべて」という答えが返ってくることが少なくない。「関するすべて」という言い方は日本では、「ケースバイケース」と読む。要するに、プロジェクト上位管理者の意向に反しない限り、認めるということで、これは権限委譲とは言わない。意思決定の代行をさせているだけである。言い換えるとサボっているだけである。ゆえに、丸投げといわれる。

◆現場のルールを決める際に、組織全体のルールを決める

統治者は自分自身の統治ルールを決めない。いざというときのために、統治に関するフリーハンドを残しておきたいからだ。これと同じで、組織が現場のルールを決めるときにはルールを課せられた現場に対応する自分たちのルールを決めない。自分たちの問題が発生したら、現場のルールを変えて対応しようとする。

現場のルールを決める前に、ルールの全体のデザインをすべきである。そして、抜け道を作らないことだ。ちなみに、プロジェクトマネジメントのルールを作るときには

・プロジェクトマネジメントポリシー
・プロジェクト区分
・プロジェクトマネジャーの権限
・エグゼクティブの権限
・ビジネスコミッティ、技術コミッティの権限
・プロジェクトマネジメント関係組織間の業務分担と連携

は最低限決めておく必要がある。

2008年11月 4日 (火)

【補助線】ガラパゴス化するプロジェクトマネジメント

夢をかなえる象」の勢いがとまらない。テレビドラマ化されただけではなく、ドラマ化されるとまた、売れるという好循環モードに突入の様子。象という動物は頭のよい動物なのだろう。

さて、象でも違った話。サーカスの象の調教方法をご存知だろうか?小象の時分から、杭につないでおく。小象なので、杭を抜いて脱出しようとしても力不足でできない。象は成長し、成人象になる。当然、杭など訳もなく引き抜くことができる。ところが、杭から逃れることはできないという思い込みがあって逃げることはなく、おとなしい象になるという話。

これは、本で読んだ情報なので、真偽は分からない。

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2008年9月 1日 (月)

【補助線】出でよ!プロジェティスタ!

PMBOKの功罪はいろいろだと思うが、最大の「罪」はプロジェクトマネジメントを現場の管理技術に限定してしまい、プロジェクトの経営への貢献をないがしろしてしまっていることではないだろうか?もっとも、厳密にはPMBOKに罪はない。むしろ、罪があるのはPMBOKを管理手法だと理解して、そのようにしか使わなかった人たちにあるというべきだろう。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。