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2009年1月 5日 (月)

【補助線】サスティナブルなプロジェクトマネジメントを求めて

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

新年第1弾なので、多少、展望めいた話など、、、

◆「プロジェクトマネジメント=プロデュース+プロジェクト管理」

PM養成マガジン726号の「PMコンピテンシーを高める1冊の本」で使ったタイトルである。

最近、やっと追いかけていたものが見えてきたような気がする。PM養成マガジンの初期のころは、プロジェクトマネジメントのスコープを明確にするために、好んでプロジェクトマネジメントとプロジェクト管理はどう違うかということを議論していたし、そのような議論に興味を持つ人も多かったように思う。

今、振り返って考えてみると、概念の違いに興味があったというよりも、それなりの門構えの企業では「プロジェクト管理」には取り組んでおり、そこに似て非なる概念である「プロジェクトマネジメント」という概念が出てきたので、防衛本能もあって、反応したのではないかと思う部分も多い。

その後、プロジェクト管理という言葉は、プロジェクトマネジメントという言葉にあっという間に淘汰され、世の中がプロジェクトマネジメント一色になった。が、内容はプロジェクト管理のままであり、それがプロジェクトマネジメントの可能性を狭めるものになっているように思える。

◆人間系が解決策?

この限界を感じ出した人たちは、ここに人間系を持ち込んできた。マネジメントなのでドラッカーの言葉を借りれば「人に関わること」なので人間系を持ち込むことは極めて正しい。僕たちはずっと最初から人間系は視野に入れた活動をしているが、実はこういう人間系の持ち込み方をされることには違和感があるものもある。

たとえば、こういう話だ。どう見ても実現できそうにないスコープとコストのバランスでプロジェクト要求がある。すると、あとは人間系ということになるのだが、パターンとしては

・メンバーに無理をさせる
・ステークホルダを妥協させる

というパターンが実に多い。これ自体が間違っているとは思わないのだが、重要なことは、喜んで受け入れることであり、サスティナブルな解決策を提案することだ。

管理を強化したり、目先のインセンティブを与えてメンバーを動かす、ステークホルダとディベートして完璧なロジックで妥協を迫るといったやり方は間違いである。プロジェクトというと「普通ではできないことをやる」、「ある期間だけ死に物狂いで頑張る」、「目的達成のためには手段を選ばない」といったことが前面に出てしまうのだが、

 プロジェクト活動も組織活動の一つの形態

であることを忘れてはならない。当然、持続的発展、つまり、サスティナビリティが最大の問題になる。

たとえば、プロジェクトXのような成功プロジェクトでも、そのあとに持続的に成功する商品が出てこないことには、組織としてはたいした成果にはならない。プロジェクトマネジメントはそこを踏まえて、今のプロジェクトでやっているやり方が、継続的にできる、あるいはもっと発展的にできることを考えなくてはならない。これがサスティナブルという意味である。

◆サスティナビリティ

サスティナブルというと地域開発と環境のバランスだと思ってしまう。実際に、僕がこの概念に興味を持ちだしたのは、大学院に行っていたころに環境会計の講義を聞いたことがきっかけだ。当時は、僕自身はITマネジメントなどが興味の中心だったが、ITマネジメントにもサスティナブルという概念を持ち込むとずいぶん展開が変わると思い、いろいろな分野に広がっていく概念なのだろうと理解した記憶がある。

最近では、建築分野でサスティナブル建築という考え方が出てきているが、昨今の派遣の問題をみていると、社会問題だけではなく、組織にもサスティナブルという概念が求められているような気がして仕方ない。プロジェクトマネジメントもその最たるものだ。

サスティナブルというのは、基本的には消耗と創造のバランスである。スキルの消耗、人の消耗、外部資源の消耗などなど。今のプロジェクトマネジメントは消耗のマネジメントである。これに対して、創造を入れないことには、組織として持続的に続けていけるようなマネジメントではない。一つのプロジェクトが終わって、次のプロジェクトに移る。この繰り返しを続けているうちに、疲弊して、実績はあってもスキルやキャリアと呼べるものはできていない。これでは長続きしない。

◆消耗のプロジェクトマネジメントから創造のプロジェクトマネジメントへ

このような流れを人間系だと言ってマネジメントに持ち込むのは論外である。人間系はサスティナブルでなくてはならない。

サルティナブルでるためには何が必要か。上にも述べたように、創造である。つまり、今までは消耗を前提として、プロジェクトは管理すればよいと考えてきたが、これに創造を加える必要がある。そのためには、プロデュースが必要である。

このような思いで、

プロジェクトマネジメント=プロジェクト管理+プロデュース

という方程式を作ってみた。多くのプロジェクトマネジャーはこの数年でプロジェクト管理スキルを身につけてきた。今度はプロデューススキルを身につける時期だ!

◆お知らせ

そんな思いもあって、好川哲人主宰のビジネス書の杜では、2008年のAwardに

「プロデュース能力」

という本を選びました。ぜひ、読んでみてください。

ビジネス書の杜Award2008「このビジネス書がすごい!2008」
https://mat.lekumo.biz/books/2009/01/award2008-358d.html

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。