【補助線】プロジェクトの成功を定義するための5つの質問
1.プロジェクトのミッションは何か
2.プロジェクトのステークホルダは誰か
3.ステークホルダにとっての価値は何か
4.プロジェクトにとっての成果は何か
5.プロジェクトの計画は何か
1.プロジェクトのミッションは何か
2.プロジェクトのステークホルダは誰か
3.ステークホルダにとっての価値は何か
4.プロジェクトにとっての成果は何か
5.プロジェクトの計画は何か
◆あるエクスサイズ
なかなか、貴重な体験をした。PMstyleのコミュニケーションマネジメントのセミナーを受講された方は記憶にあると思うが、X-podというレゴブロックを使って、プロジェクトマネジャーの指示で40部品くらいのロボットを組み立てるグループエクスサイズがある。
プロジェクトマネジャーが完成図や組み立て図を別の場所で見てきて、メンバーに指示を出して設計図通りのロボットを完成させるというエクスサイズで、コミュニケーションの難しさを体感すると同時に、コミュニケーションスキルを磨くことを目的に行うエクスサイズである。
エクスサイズでは、最初は何もせずに、とりあえず、取り組んでみる。すると、まず、完成できるチームはない。過去に実施した回数は三桁だが、1回目で完成したチームは一桁にとどまっている。1回目での成功理由は、「プロジェクトマネジャーが絵を描くのが早く、うまい」、「レゴフリークがたまたまチームにいた」の2つで100%である。
2回目は1回目の経験を振り返り、コミュニケーションのルールを決めたり、あるいは、チーム内のメンバーの連携の方法を決めたりして望む。すると、4グループあれば、だいたい、2~3グループは完成することができる。
先日事情があって、このエクスサイズをあるIT企業でルール変更して行った。プロジェクトマネジャーが完成図や組み立て図を見ている時間をコストに見立てて行い、途中でインストラクターが予算カットを指示するというルールを追加した。すると、おもしろいことに、2回目も1チームも完成できなかった。
4チームのうちの3チームはほぼ、完成しているのだが、微妙なところで間違っていた。振り返りで、間違った理由を聞くと、3チームとも「コストが気になって、きちんと最後の確認できなかった」ということだった。
◆王様の仕立て屋
今、イタリアにはまっている。はまっている理由は秘密だが、なかなか、おもしろい国である。いろいろと本を読みあさっている中で、こういう本に出会った。
大河原遁「王様の仕立て屋」、集英社
ミラノに工房を構える織部悠という神の域に達している仕立職人が主人公のコミックス。仕立て職人として次から次に、顧客の無理難題をかなえていく一方で、ジラゾーレ社というグローバル展開をするアパレルメーカのお助け職人としても活躍する。まあ、貴族階層が残るヨーロッパならではの物語ともいえるが、学べることは多い。
織部悠が優れた職人であることの基本にあるのは、卓越した業務スキルである。店に服を仕立てに客がくる。基本的には、客の要求を聞いてデザインを決め、採寸をし、仮縫いをする。そして、それをフィッティングして、顧客の要求も聞きつつ、収束させていく。エンジニアリングでいえばプロトタイピング型のプロセスである。
ここで言うスキルとは、採寸のスキル、布の裁断のスキル、縫製のスキルなどの他に、顧客の要求を聞き出すコミュニケーションスキルである。
プロジェクトのスケジュールが厳しくなっている原因の一つにプロセスへの過度の依存がある。
例えば、本来であれば順序を動かすことができるタスクの順序を固定的にしか考えられない。見積もりのときに、固定して考えると、あとはそれが崩れることはない。
もちろん、ISOのようなゲートマネジメントが必要ないといっているわけではない。むしろ、重要だからこのような指摘をしていると言った方がよい。今の状態は目に見えない無数のゲートがあって、それをくぐり抜けているようなものだ。
◆問題とは何か
問題という言葉は何気なく使う言葉だが、正確な定義は結構難しい。出版業界は昨年くらいから問題解決本のブームになっていて、すごい点数の書籍が出版されている。それらの本で一様に書いているのは
問題とは目標(あるべき姿)と現状(ありのままの姿)のギャップであり、解決すべき事項である
という定義である。ここまではほとんど異論はないだろう。問題はこの解釈である。実はこのステートメントは突っ込みどころ満載だ。少なくとも
・誰の目標
・誰のみた現状
・誰が解決すべき
の3つは明確が明確になっていないとこのステートメントは意味をなさない。多くの人は「ギャップ」という言葉に目を奪われるので、ふんふんと思う。あるいは、そんなのはすべて組織だろうという人もいるかもしれない。問題解決というのは行動だ。動詞で語るべきことだが、組織って主語になるのかって突っ込みもある。
このあたりの議論になってくると、山のようにある本の中でも、書ききっている本は多くない。昨年出た問題解決の本の中で、もっともきちんとこれをかけていると思うのは、コンサルタントの小宮一慶さんの
ビジネスマンのための「解決力」養成講座
ビジネスマンのための「発見力」養成講座
である(発見力は一昨年の出版)。そもそも、出版ビジネスをやっている人以外が、問題発見をスキルだと言い切ることがよくわからない。その意味でこの本は問題を解決するというのはどういうことかをきちんと考えさせる良書である。
三連休初日の1月10日は、神戸大学のMBAコースのプロジェクト研究の発表会というのにMBAフェロー(MBAコースのOB)ということで駆り出された。
MBAフェローとして参加していた人は15名。全部で12グループの発表を聞き、点数を付けるという志向のイベントだが、MBAコースに行っている人の労力に拍手という感じだった。僕たちがMBAコースに行っていた頃に比べると、だんだん、大変になってきているようだ。コースとしては充実しているということだ!
いくつか、気になった発表もあったので、また、別の機会に触れるかもしれない。
さて、18時すぎまで、このイベントがあって、そのあと、京都に戻り、その足で京都ゑびす神社の「十日ゑびす大祭」に。毎年行っているが、今年は不景気のせいか、境内だけではなく、参道まで参拝客の列ができていて驚いた。
以前からずっと気になっていた。いよいよ、ロバート・グリーンフィールドの著作集が翻訳されたので、この記事を書いておく。
ロバート・グリーンリーフ(金井壽宏監訳、金井真弓訳)「サーバントリーダーシップ」、英治出版(2008)
時代は10年以上前に戻る。プライベートには金井先生のゼミにいっている時期だ。国の中小企業施策の変更というのがあって、「指導から支援に」という方向性が打ち出された。
日本語の指導という言葉はもっと広い意味を含んでいると思うが、少なくとも役人用語では、命令に近い語感がある。自分たちの提供するパブリックサービスを利用する前提が指導に従っていることだからだ(悪いといっているわけではない。自分たちの言うとおりにしていればうまくいくというのは一つの見識である)。
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
新年第1弾なので、多少、展望めいた話など、、、
◆「プロジェクトマネジメント=プロデュース+プロジェクト管理」
PM養成マガジン726号の「PMコンピテンシーを高める1冊の本」で使ったタイトルである。
最近、やっと追いかけていたものが見えてきたような気がする。PM養成マガジンの初期のころは、プロジェクトマネジメントのスコープを明確にするために、好んでプロジェクトマネジメントとプロジェクト管理はどう違うかということを議論していたし、そのような議論に興味を持つ人も多かったように思う。
今、振り返って考えてみると、概念の違いに興味があったというよりも、それなりの門構えの企業では「プロジェクト管理」には取り組んでおり、そこに似て非なる概念である「プロジェクトマネジメント」という概念が出てきたので、防衛本能もあって、反応したのではないかと思う部分も多い。
その後、プロジェクト管理という言葉は、プロジェクトマネジメントという言葉にあっという間に淘汰され、世の中がプロジェクトマネジメント一色になった。が、内容はプロジェクト管理のままであり、それがプロジェクトマネジメントの可能性を狭めるものになっているように思える。
◆納得できる目標は「やる気の自己調整」
先日、クライアント企業で入社2年目だという社員のヒヤリングをしていて、ニヤっとしてしまった。「目標に愛着を持てる方法を教えてほしい」と言われたときだ。僕の持論とぴったり合ったからだ。
目標に対しては、納得という言葉が使われることが多い。組織であれば、目標は与えられることが多い。目標管理といっても、自由に設定できるレンジは限られている。したがって、納得できることが重要である。
ここで納得という言葉に含まれるものは、組織の事情(戦略上の必要性)、自分の現状のスキル、スキル向上目標、評価、報酬、環境、キャリアなど、組織と自分のもろもろの関係性を含んでおり、これらを中心にして「やる気を自己調整」したものが、納得できる目標である。
たとえば、プロジェクトの納期設定をするときに、無理だと思っている納期を押し付けられると強制されたと感じる。その期限でプロジェクトを行うことの組織にとっての必要性、顧客の要望、やり遂げたときの評価、もらっている給料、組織として提供できるプロジェクト環境、支援などを提案され、頼られると、見通しを計算し、しんどさと得られるものを天秤にかける。そこでやってみようと思うと、納得できる目標になる。
プロジェクトマネジャーが集まった研修やワークショップで、プロジェクトマネジメントの問題分析をやると、ずらっと「他責」の言葉が並ぶ。
「顧客が決めてくれない」
「上司がリソースを提供してくれない」
「メンバーが仕事の仕方を知らない」
「外注先がちゃんと品質を出してくれない」
「法律がこうなっているのだから仕方ない」
etc
俗名を「くれない症候群」とも言う。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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