◆「アクションを重視するプロジェクトマネジメント」
PMstyleでは、PMBOKに代表される現場業務のオペレーションマネジメントをPM1.0とし、経営戦略に基づき、組織の戦略オペレーションのマネジメントをPM2.0と定義している。
PMstyleの第8期のプログラムで、カテゴリーに「PM3.0」というカテゴリーを加えた。意味するところは、「アクションを重視するプロジェクトマネジメント」である。
PMstyleでは、昨年度まで、「計画を重視しない」という言葉を使っていた。カテゴリー化するにあたって、この言葉は誤解を招くなと思い、IPAがアジャイルの契約形態をまとめる際に使っている「非ウォーターフォール型」使おうかとも思ったが、ウォーターフォールという言葉は、日本語ではソフトウエアプロセスを連想させるので、「アクションを重視する」にしたという経緯がある。
プロジェクトが戦略実行の手段であるという認識は、かなり定着してきたように思うが、ここで戦略と言っているものは何かというのはなんだろうか?
◆あるプロジェクトの要件定義
あるプロジェクトでの話。要件定義の取りまとめに、ユーザがあまり協力的ではない。あなたがプロジェクトマネジャーなら、どういう対応をするだろうか?
このケースで問われるのは、顧客が何を考えてそのような行動をとっているかを洞察する力である。では、どうすれば洞察できるのか?
ユーザと話し合いをしてみる。ユーザはユーザ部門と取り纏めているマネジャーだ。
ベンダ:もう少し対応時間をとってほしいのですが
ユーザ:今は、四半期のラストスパートで忙しいので、難しいですね
ベンダ:それが終われば対応できますか
ユーザ:ほかにも急ぎの仕事はあるので、確約は難しいです
ベンダ:協力してもらうために、我々が何かお力になれることはありますか
ユーザ:どういう協力が必要なんですか
ベンダ:時間をとって、必要なことについて一緒に検討して貰えるとありがたいのですが
ユーザ:であれば、担当者の業務を見て貰えば分かるのではないかと思いますが。
といった感じで話がかみ合わない。どうすればよいのだろうか?
◆メルマガ上で持論作りを体験する(自論を語り、洗練する)
前回は、コツを誰の経験から掴んだのかというところまで来ました。今回は、持論を語ることについてです。
まず、今回の体験で書いたコツをすでに人に話をされている場合には、
・誰に
・どのような場面で
・どのように語ったか
を思い出してみてください。今回初めてリストを作った人は、作ったリストを
・誰に
・どのような場面で
・どのように実例を語るか
を考えてみてください。
そして、それを書き出してみましょう。その際に、前回、考えました、それが誰の言葉で、どのような経験を通じて得られたものかも折り込んでみましょう。
僕は研修のインストラクションのコツで
・違和感を与える
について考えてみます。
受講生はインストラクターが話をしていることは正しいと思い込んでいます。冗談までノートに書くという笑い話があるくらいです。ところが、話は考えながら呑み込んでもらわないと、自分の血や肉にはなりません。ある日、行動分析学の本を読んでいたら、違和感の話が出てきて、これだと思いました。そして、さっそく試してみたところ、格段に発言が増えることが分かり、これは重要なコツだと思うに至りました。
もう少し、具体的に書いてもいいと思いますが、まあ、こんなところです。書き出したものを読んでみて、最初に書いたコツ(持論)はそのままでいいかを考えてみてください。必要に応じてブラッシュアップしてみましょう。
◆メルマガ上で持論作りを体験する(どのようにコツを習得したかを思い出す)
前回は、あなたの得意なことについて、コツをリストして戴きました。手元に残っていますか?
僕は研修のインストラクションのコツを考えました。
・問いかける
・動き回る(受講生の中に入っていく)
・違和感を与える
の3つでした。
いくつか問い合わせがありました。もし、書けなかった人は、ここで改めて考えてみましょう。
まず、得意なことはないという人がいらっしゃいました。人と比較する必要はありません。上には上があるものです。自分が得意だと思えば、そのことについて考えてみましょう。
もう一つ、コツが分からないという方がいらっしゃいました。まさに、ここの言語化が持論の肝なのですが、ここではとりあえず、初心者に聞かれたら、どう答えるかを考えてみてください。きっと何か、見つかるのではないかと思います。
さて、今回は、それぞれのコツについて、どうしてそれをコツだと気づいたかを振り返ってみましょう。自分の具体的な経験、あるいは、他の誰かを観察した経験を思い出してみてください。それを、それぞれのコツの右に書いて行ってください。
僕の場合ですが、
・問いかける
・違和感を与える
の2つは自分がインストラクションの経験の中で大切だと思ったものです。また、
・動き回る(受講生の中に入っていく)
というのは、受講していたセミナーで、インストラクターと受講者の様子を見ていて大切だと気づいたものです。
それからもうひとつ、コツとして書いたことは、誰の言葉を参考にしていますか。これも、コツの下に書き出してみてください。自分の言葉、その分野で尊敬する人の言葉、それに関する本、などいろいろとあるでしょう。
僕の場合ですが、
・問いかける
というのは自分で考えた言葉です。
・違和感を与える
は、行動分析学の本で見つけた言葉です。それから、
・動き回る(受講生の中に入っていく)
というのは受講したセミナーのインストラクターに教えてもらった言葉です。
今回はここまでにします。次回をお楽しみに。なお、書き出した紙は次回まで、必ず保管しておいてくださいね!
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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