2007年9月12日 (水)

【補助線】プロジェクト・エグゼクティブ

こういう言葉が、あちこちで見られるようになってきた。PM養成マガジンでも、「エグゼクティブ版」を作った。

非常に単純に定義すれば、プロジェクト(マネジメント)エグゼクティブは、経営的な立場、あるいは組織的な立場で、プロジェクトマネジメントやプロジェクトを統制する立場の人である。例えば、プロジェクト予算の決定権を持つ人、デッドラインに決定権を持つ人といった意味合いである。つまりは、上位組織のマネジャーだということになる。

しかし、そもそもエグゼクティブとは何かと考え出すと話はややこしくなる。ドラッカー博士の本に「経営者の条件」という本がある。多くの著作を残したドラッカー博士の代表作といえる論文集だ。この論文のオリジナルタイトルは「The effective executive」である。

日経BP社の谷島宣之さんにお聞きした話だが、多くのドラッカー作品を翻訳した上田 惇生先生によると、会社役員などをさす言葉ではなく、「人(上司)に言われたこと以上の仕事をする人は新人であろうとエグゼクティブという」というところにドラッカーの真意があるという。従って、日本語では、「できる人」という言葉が適切なのではないかというのが上田先生の解釈だそうだ。

コウビルドには、executiveは

An executive is someone is employed by a "business" at a senior level. Executives decide what the business should do, and ensure that is done.

と説明されている。この説明の中のキーワードはsenior levelである。同じく、

The senior people in an organization or profession have the highest and most important jobs.

とある。

この説明をみればドラッカー博士や上田先生の言っていることはよくわかる。

さて、では、プロジェクトエグゼクティブとはどういう人か?プロジェクトに関して、言われた以上のことをやる人ということになる。この意味は多様である。

 ・言われた目標以上の成果を達成する人
 ・言われたスコープの範囲を超えて活動する人

となる。プロジェクト作業はともかく、プロジェクトマネジメントの作業は自分が担当範囲だといわれている範囲を超えないとなかなかうまく行かない。一般的なプロジェクトにおいて、プロジェクトマネジメントを行っているのは、プロジェクトマネジャー、プロジェクトスポンサー、プロジェクトマネジメントオフィス、シニアマネジャー、プロジェクトメンバーである。プロジェクトマネジメントがスムーズにいくためには、これらのプレイヤーのそれぞれが、自分の担当範囲を超えて、言われた以上のことをやる必要がある。

そのような動きができるプロジェクトステークホルダ(PMBOKでいうところの意味)をプロジェクトエグゼクティブというのだろう。

2007年9月10日 (月)

【補助線】所与の課題ではなくなってきたプロジェクト

よく「優等生」という言い方をされるタイプのビジネスマンがいる。問題解決能力が高いビジネスマンである。かつては、企業は優等生をほしがった。今の時代でも優等生が必要なことは間違いないのだが、優等生だけではどうしようもなくなってきた。

優等生では何が足らないのか?

課題を創る能力、課題設定力である。あるいは問題発見能力だといってもよい。先生(上司)が答えが見えないままに前に進まなくてはならなくなってきたのだ。一本被りする商品もあれば、まったく売れない商品もある。ヒット要因を分析してみてもよくわからない。わかった頃には市場のニーズが変わっていて、役に立たない。こんなビジネスの環境の中で、業績をあげる方法が見えなくなっており、走りながらいろいろなことを感じ、考え、先に進んでいくことが求められるようになってきた。

プロジェクトマネジメントでもこの現象は起こっている。プロジェクトというのは基本的には上位組織が課題を作って、プロジェクトマネジャーを中心としたプロジェクトチームに問題解決をさせるものである。

ところが、上に述べた商品開発プロジェクトのように、課題設定の後に、方針が揺らいだり、変わったりすることが多くなってきたし、方針すらも明確にできないようなプロジェクトも多くなってきた。このようなプロジェクトは「背景」と「要求」のみを与えて、プロジェクトマネジャーにバトンタッチする。

また、やたらと制約条件の厳しいプロジェクトが増えてきた。納期が現実的ではない、予算が現実的ではないといったプロジェクトだ。このようなプロジェクトは一見、課題設定ができて、その課題解決をプロジェクトマネジャーに任せているように見えるが、実際は違う。現実的な制約ではないということは、多少の工夫や改善で何とかなるといった話ではない。

つまり、課題設定そのものをしなおさないと課題の背後にある(組織としての)要求を満たすことができない。この手のプロジェクトが実に多くなっている。

いずれの場合も、「優等生」タイプの問題解決に優れたプロジェクトマネジャーではプロジェクトを成功させることはできない。課題設定ができなくては話にならない。

課題を設定するというのは、やれといわれた以上のことをやることに他ならない。いよいよい、プロジェクトマネジャーもやれといわれた以上のことが問われるようになってきたのだ。そのようなプロジェクトマネジャーを目指したいものだ。

2007年9月 8日 (土)

【補助線】プロジェクトマネジャーである前にビジネスマンであれ

プロジェクトマネジャーはプロジェクトマネジャーである前に、ビジネスの目標、経営者や事業マネジャーの役割、マーケティングなどを十分に理解した「ビジネスマン」であるべきだ。

メルマガの創刊以来、プロジェクトマネジャーに対して、ずっと言い続けてきたことだ。最近、気になりだしたのは、プロジェクトマネジャーとしてはプロフェッショナルな人が増えてきた反面、ビジネスマンとしての自覚がある人が少なくなってきたことだ。

先日、ある中堅企業の経営者の4年ぶりくらいにあった。5~6年前にプロジェクトマネジメント導入のコンサルティングをやった企業の経営者である。

コンサルティングをした当時は、プロジェクトの遅延率が下がり、効果があったと喜んでいた。ところが、この2年くらい、決められていることをやればいいんだろという態度が目につくようになってきたという。

特に困っているのが、決められたとおりにやるとマネジメントコストがかかるのは当たり前だということを平然という人が増えてきたことと、プロジェクトの予算や納期が、無理なものはプロジェクトマネジャーを引き受けたがらない人が目立つようになってきたそうだ。

前者で一番困っているのが、厳しい納期でも、計画期間の必要性を訴える人が増えてきたこと、後者では技術的な新規制の高いプロジェクトは管理が大変だとみんなが逃げ腰で、結果としてうまく行かないことが増えたことだという。

常々、感じていることだが、エンジニア感覚でプロジェクトマネジャーをやる人がどんどん、増えている。プロジェクトマネジメントのスキルを身に付けることによってエンジニアリング業務がスムーズに進むという点においては、一定の評価はできるし、シニアなエンジニアを目指す人には不可欠なスキルだともいえよう。

しかし、エンジニアとしていくらプロジェクトマネジメントスキルを身につけたところで本物のプロジェクトマネジャーにはなれない。エンジニアも本来は、エンジニアである前にビジネスマンであるべきだと思っているが、百歩譲ってそうではないとしても、プロジェクトマネジャーは必ず、ビジネスマンでなくてはならない。

ここに大きなハードルがある。このハードルを越えた人だけが「できる」プロジェクトマネジャーになれる。PMBOKブームはこのハードルを乗り越えられないプロジェクトマネジャーを大量生産しているが悪いことではない。ここから、仮に1割でもハードルを乗り越える人材が出てくれば大成功だといえよう。

2007年9月 7日 (金)

PMサプリ90:部下力がPMを救う

「部下力」とはリーダー(上司)の指導力を引き出し、リーダーの舵取りを支える力である。そして、卓越したリーダーシップの陰に必ず存在する現場力である(ドリームコーチ・ドットコム代表 吉田典生)

【効用】
・PM体質改善
  リーダーシップ発揮、リスク管理能力アップ、アカウンタビリティの向上
・PM力向上
  リスク対応力向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気向上

【成分表示】

◆「上に上がるものは能力があるものではなく、組織として必要なものである」
◆神輿を担ぐ
◆トップダウンの体制を前提にしたプロジェクトマネジメント
◆部下力がプロジェクトマネジメントを救う

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2007年9月 6日 (木)

【補助線】プロジェクトマネジャーになるということ

プロジェクトマネジメントをやってプロジェクトマネジャーは何かいいことがあるのだろうか?計画書を作るとか、リスクを考えながら仕事をするとか、面倒なことは山ほどある。では、その見返りに何があるのか?

これは多くの人がプロジェクトマネジメントに出会ったときに考えることだ。僕は常に、以下のように答えることにしている。

多くのマネジメントがそうであるように、プロジェクトマネジメントも現場の人に便宜を図るためにあるのではない。いうまでもなく、経営的な目的で導入される。

従って、今まで、自己流でプロジェクトを運営していた現場マネジャーが組織の方針でPMBOK流プロジェクトマネジメントを始めたからといって直接的には何もよいことはないだろう?ドキュメントワーク、ミーティングの増加により、タダでさえ忙しかったのがますます忙しくなることは明らかだ。

もちろん、自身できちんと仕事をすることを信念にしている人であれば、適用することによって満足感、達成感はあるかもしれない。しかし、1回、2回のプロジェクトであればともかく、延々と10年もそんなことを続けられる人がどれだけいるだろうか?

この問題に対するひとつの答えは散々言われているように、

「プロジェクトがうまく行けばプロジェクトマネジャーは楽になるじゃないか!みんなが同じ方法で研究すればうまく行く確率も高くなる、頑張ろう」

というものだ。これはウソだ。

そろそろ、このウソに気付く人たちが多発してきた。いつまでたっても楽にならない。どころか、成功率を上げるためと称してだんだん、マネジメントワークが増えてきている。

この1年だけでも、10人くらいの人から、「これなら、トラブルを起こしてばたばたしているほうが楽だし、第一、仕事をしているという充実感がある」というような意見を聞いた。この問いにどう答えるのか?

これに対する僕の答えは

多くのマネジメントがそうであるように、プロジェクトマネジメントも現場の人に便宜を図るためにあるのではない。いうまでもなく、経営的な目的で導入される。

だ。つまり、現場マネジャーは、経営側に立たない限り、プロジェクトマネジメントを導入してもメリットがことがあると感じられないだろう。あなたの会社ではプロジェクトマネジャーは職位でいえばまだ組合員なのかもしれない。しかし、そういう問題ではない。

プロジェクトマネジャーになるということは経営側の視点を持つということを求められるのだ。現場のリーダーだという発想は捨てた方がよいだろう。

2007年9月 1日 (土)

【補助線】サイエンスとアート

プロジェクトマネジャーのスキルの中で、見落とされがちなのが、「想像力」である。プロジェクトマネジメントだけではなく、マネジメントは一般的に、50%がサイエンスで、50%がアートであるといわれる。

サイエンスだけでは決してうまく行かない部分がたくさんある。一つの例。リスクマネジメントである。リスクマネジメントとは可能性のマネジメントである。リスクを識別するというのは、経験知があれば分析的にできると考える人も多い。

確かに、プロジェクトマネジメントの先進的企業ではリスクチェックリストを作り、機械的にリスク識別を行うような取り組みをしている。この部分はサイエンスである。

そのような取り組みをしているあるSI企業のPMOマネジャーに聞いた話。その企業では、リスクチェックリストを使って、リスクを回避し、それに併せて、各プロジェクト独自のリスクを識別するようにしている。すると、プロジェクトマネジャーとしての成績と、独自リスクの洗い出しの数は明らかに相関があるというのだ。もちろん、洗い出す独自リスクが多いプロジェクトマネジャーが成績がよいそうだ。

興味深い話である。たぶん、この話はリスクマネジメントがうまく行くからという話でない。想像力の問題だと思う。つまり、いろいろなシナリオを描くことができ、そこで何が起こるかということが明確なイメージとして頭に浮かんでくるのだろう。

実はこのような能力は、リスクマネジメントだけはなく、計画作業全般に必要だ。著者の知っているプロジェクトマネジャーの中に、計画をものすごく細かく書く人がいる。その人と他のプロジェクトマネジャーを比較してみるとわかるのは、その人はアクティビティのイメージがすごく明確なのだ。だから、細かな計画もかける。

計画をどの程度詳細に書くとよいかという議論は別途あるとしても、計画に対する「リアリティ」をどれだけもてるかは歴然とした違いがある。見てきたような計画を書くのと、テンプレートをさわって計画を書くのでは、その後のスムーズさ、とりわけ、トラブルに陥ったときの対応などが違うことは想像に難くない。

これは想像力の賜物であろう。このような部分がアートなのだ。プロジェクトマネジメントが普及してくるにつれて、アートの部分が軽んじられるようになってきたと思うのは、著者だけだろうか?

この議論は、組織の成熟度が上がってくればサイエンスの部分が増えるというほど単純な議論ではない。成熟度が上がれば、サイエンスの部分の質は上がってくる。これは間違いない。しかし、やはり、一定の割合でより高度がアートが求められるようになるだろう。

2007年8月24日 (金)

PMサプリ89:前提を疑う

最良の前提は、ありふれた信念はすべて間違っているというものだ(DEC社CEO、ケン・オルセン)

【効用】
・PM体質改善
  リーダーシップ発揮、顧客感度アップ、リスク管理力アップ、現象観察力アップ
・PM力向上
  ピープルマネジメント力向上、ステークホルダをコントロールする力の向上、
  チームをまとめる力の向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気高揚

【成分】

◆「家庭内でコンピュータが求められる理由はどこにもない」?!
◆前提への過信が大きなトラブルを招く
◆すべての人が異なる前提を持っている可能性がある
◆前提を十分に検討する

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2007年8月20日 (月)

【補助線】前提条件を合意する

プロジェクトが満たすべき前提条件
https://mat.lekumo.biz/ppf/2007/07/post_ee2b.html

の続き。プロジェクトが満たしているべき前提条件が実は満たされていなくて、プロジェクトでひどい目にあったことがある人は多いと思う。しかし、意外なことに多くの人は、同じ過ちを繰り返す傾向がある。

なぜだろうか?

はっきりしているのは、「問題はなかったことにしよう」という態度だ。

 問題はなかったことにしよう
  https://mat.lekumo.biz/ppf/2007/06/post_3fc7.html

プロジェクトが満たすべき前提条件で述べたように、前提条件の崩壊の多くはプロジェクト環境の問題である。つまり、本来、整備されているべき環境が整備されていない。社内調整ができていない、ベンダーとの調整ができていない、顧客との調整ができていない、などなど。

これらはいずれもかなり本質的な問題である。言い換えると、組織にとって「大問題」なのだ。にも関わらず、組織としての問題はなかったことにし、「プロジェクトマネジャー」の問題として済ませてしまう。しらっとして

 「弊社の問題の一つはプロジェクトマネジャーのコミュニケーション能力不足です!」

などといっているわけだ。

例えば、社内で特定の人材のプロジェクト配置の調整がつかないという事態が、プロジェクトマネジャーのコミュニケーションの方法で解消するはずがないことくらいすぐにわかる。というより、そういっているプロジェクトマネジャーの上司自身、そんなことはよくわかっているのだ。ところが、プロジェクトの前提条件の崩壊の原因というのはパンドラの箱だ。あけてはならないのだ。それで「コミュニケーションの悪いプロマネ」という犠牲者が作られるのだ。

では、このような問題に対して、プロジェクトマネジャーはどう対応すればよいのか?

 前提条件を明確にし、上司(プロジェクトスポンサー)と合意する。

これしかない。

2007年8月17日 (金)

PMサプリ88:先ず「覚悟」を示せ

管理職はその能力を示す前に、先ず「覚悟」を示せ(生島誠士郎・元リクルート常務)

【効用】
・PM体質改善
  アカウンタビリティ向上、顧客説得力アップ、問題解決能力向上
・PM力向上
  チームをまとめる力の向上、ステークホルダをコントロールする力の向上、
  リスク対応力向上、プロ意識の向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、プロジェクトにおける辛さの克服

【成分】

◆能力に部下がついてくる期間は短い
◆プロジェクトマネジャーにまず求められるのは「覚悟」
◆管理者の覚悟が部下に伝染する
◆覚悟はコンビニでは売っていない

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2007年8月14日 (火)

【補助線】PMBOKはハコモノ、PMOが魂を入れる

◆PMOブーム!?

PMI東京事務局の永谷裕子さんに聞いた話だが、永谷さんがJUAS(日本情報システムユーザ協会)で初めてPMOのセミナーをやったところ、あっという間に100名の応募があったそうだ。

この話を聞いてもそんなにびっくりしないくらい、PMOへの関心は高まっている。PMstyleでも昨年からPMOリーダー養成講座というPMOスタッフ育成の体系的講座(全6回)をやっていBume る。今年4月からの第4期ではほとんどのセッションが満席になっている。

◆米国のある企業@1996

なぜ、こんなにPMOが注目されるようになってきたのだろうか?プロジェクトマネジメントは米国から10年遅れているといわれる。「プロジェクト的な性格を持つ業務の管理方法の唯一解がプロジェクトマネジメントだ」というのは少し違うと思うので、これがそのまま「プロジェクトのマネジメント」が遅れていることと意味しないが、「モダンプロジェクトマネジメント」ということであれば、10年以上だと思う。僕はちょうど、1996年は米国の企業と一緒に仕事をしていたが、今のSI企業と較べると、たぶん、その企業のプロジェクトマネジメントの方が進んでように思う。

この会社にはかなりしっかりとしたPMO組織があった。プロジェクトマネジメントのオーナーシップを持つだけではなく、プロジェクトへの支援活動も実践的なもので、我々のプロジェクトもずいぶん助けられた。特に、米国の拠点にプロジェクト本体があって、日本にも部隊がいるようなバーチャルチームだったが、チームのコミュニケーションの支援はまさに、「プロフェッショナルの業」だったような印象がある。

◆定着に10年かかる

実は最近、PMOの仕事をするようになって、改めて、この企業のPMOマネジャーとコンタクトをしていていろいろなことがわかったが、設立は80年代前半だそうだ。10年くらいはうまく機能しなかったそうだ。ただ、うまく行きだしたら、加速的にうまくいくようになったそうで、このあたりは定着化の話としてたいへん、興味深い。

さて、日本の企業はプロジェクトマネジメントに関心を持つようになってきて、まず、何をやったかというと多くの会社がPMBOKの導入を行った。そして、多くの企業がうまく行かずに苦しんでいる。理由ははっきりしている。PMBOKというのは多くの企業がやっていることを標準化したものだが、その背後にはPMBOKそのものではあまりフォーカスされていないプロジェクトマネジメントの推進体制というのがある。

◆PMBOKはハコモノ、PMOで魂を入れる?

つまり、多くの企業は「ハコモノ」としてPMBOKを入れている。まあ、ハコモノを入れて、後で中身をつめていくというのは日本型マネジメントの特技だといえるので、失敗だとは言い切れないが、あまり感心したことではない。

それはそうとして、我々がPMBOKの導入コンサルティングをやったクライアントのPMOは例外なく、「これだけのことはできないし、プロジェクトマネジャーにやれとも言えない。できる範囲でやればいいよね」という。できなくて当たり前である。プロジェクトマネジャーにやらせることを前提にしているからだ。もちろん、PMOとしても何らかの支援はしなくてはならないと考えるが、そもそも、前提が間違っている。

PMBOKはプロジェクトマネジャーのやることを示したものではない。プロジェクトマネジメントとしてすべきことを示したものだ。

PMBOKを採用する、しないに関わらず、プロジェクトマネジメントはプロジェクトマネジャーだけがやるものではないことに多くの企業が気がついてきた。そこで、とりあえず、PMOを作ってプロジェクトマネジメントの一端を担うようにし始めた。ハコモノにやっと少し、中身ができてきたわけだが、これが、今、PMOが注目されている理由である。

PMstyle 2025年9月~12月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。