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2016年10月17日 (月)

【イノベーション戦略ノート:100】イノベーションの本質~イノベーションの種類

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
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Innovation2

◆はじめに

イノベーションの本質の第2回で、今回はイノベーションにはどういうものがあるのかを考えてみたい。体系がなぜ本質だと思われる方もいるかもしれないが、イノベーションの種類は体系というよりも、イノベーションの戦略を立てるときに本質的な要素になる。



◆破壊的/持続的

イノベーションの種類で有名なのは、クレイトン・クリステンセン博士が20年前に提唱した破壊的イノベーションと持続的イノベーションであろう。これについては、第98話で書いたので、こちらを参考にしてほしいが、一言でいえば従来の価値観を崩壊させ、新しい価値を確立することが破壊的イノベーションで、価値観を変えずに価値を増やしていくのが持続的イノベーションである。

【イノベーション戦略ノート:098】アップルのイノベーションのジレンマ
https://mat.lekumo.biz/ppf/2016/10/098-2937.html

大きな意味でイノベーションの戦略を策定するときには、まず、破壊的イノベーションを狙うのか、持続的イノベーションにとどめるのかを明確するところから始まる。


◆イノベーションマトリクス

これをもう少し、精緻にしたイノベーションマトリクスという考え方もある。イノベーションマトリクスは問題とドメイン(分野)を縦横の軸に取ったマトリクスだ。それぞれ、値は定義されている/定義されていないである。

このマトリクス上で4つの領域が出てくるが、まず、問題もドメインも定義されてい
ない状況でのイノベーションがある。これは「問題の洗い出し」と呼ばれる。前回の述べたが、イノベーションを新しい商品を作ることだと考えると、この領域はイノベーションとはいえない。

ところが、前回述べたように3Cを求める活動がイノベーションだと考えた場合、この領域で、問題と見つけ、ドメインを探すことは極めて重要なイノベーションだと言える。このタイプのイノベーションは企業で行われることはあまりなく、主要な実施場所は大学である。日本のイノベーション力が弱い一つの原因は、このタイプのイノベーションが活性化されていないことにある。

次に、問題は定義されていないが、ドメインは発見されているケースがある。基本的にスタートアップで起こっているイノベーションはこのタイプだ。このタイプのイノベーションは「破壊型イノベーション」と呼ばれる。

逆に、問題は定義されているが、ドメインが定義されていないケースがある。このタイプのイノベーションで代表的なものはオープンイノベーションである。このタイプのイノベーションは「ブレイクスルーイノベーション」と呼ばれる。一般的にブレークスルーというのはこういう意味である。

そして、最後の領域は問題定義もドメイン定義もされているケースだ。このタイプのイノベーションは「持続的イノベーション」と呼ばれる。一般的にはR&D活動として、長期間に渡り、継続して商品の改良を行うイノベーションである。

商品開発とイノベーション活動が結びつけてイメージしているのはこのタイプのイノベーションが圧倒的に多いことによる。ただし、前回述べたようにこの分野だけではイノベーションを持続的に起こしていうのは難しい。

このようにイノベーションマトリクスを使うと、イノベーションの区分がもう少し厳密に定義され、イノベーションの戦略を作る中では十分な粒度の区分だといえる。


◆もっと詳細なイノベーションの分類

ただ、経営戦略の中でイノベーションの分類をするには、少し粒度が粗いと感じるケースが多い。そのような場合は、以下の5つの視点からイノベーションを分類することをお奨めしたい。

(1)イノベーションの目的
(2)イノベーションのリソース範囲
(3)イノベーションの推進力
(4)イノベーションのスパン
(5)イノベーションのタイプ

詳細は戦略ノートの第5~6話を参照してほしい。

【イノベーション戦略ノート:005】イノベーションを分類する(1)
https://mat.lekumo.biz/ppf/2013/06/005-4ec0.html

【イノベーション戦略ノート:006】イノベーションを分類する(2)
https://mat.lekumo.biz/ppf/2013/06/006-9b98.html

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。