◆AさんとBさんの予備時間のマネジメント
リスクマネジメントはプロジェクトマネジメントの中でもっとも進んでいる分野であるが、理解されているようで意外と理解されていないことがある。それは、リスクマネジメントは「意思決定」であるということだ。今回は、このテーマについて考えて見たい。
まず、一つ考えて見て欲しいことがある。
T1~T10までのタスクがある。番号の小さい方から順番に行うタスクである。作業時間の見積もりは500時間だとする。
Aさんは、500時間に対して、10%となる50時間の予備時間をとり、全部で50時間の見積もりをした。これに対して、Bさんはそれぞれのタスクの内容を考え、T1~T10までの仕事に別々に予備時間を割り付け、トータルで50時間の予備時間をとった。トータルの予備時間は双方とも50時間であるが、どう異なるのだろう。
まず、Aさんのやり方だと、問題が起こるごとに予備時間を費やしていく。最終的に予備時間が足らなくなったところで、やり方を変えたり、成果目標を変えたりする。
仮にT1より、T10の方が成果として重要であれば、満足な成果は得られない。
逆にBさんのやり方だと、個別のタスクで予備時間がオーバーしたら、全体をどうするかを考えることになる。たとえば、T1が80時間で、予備時間を10時間とっていたとしよう。すると、T1に90時間を費やしたところで、T1をどうするかと同時に、T2~T10をどうするかを考えることになる。当然、どのタスクが重要かを考え、T1よりT10が重要であれば、T1に費やす時間を極力小さくなるように成果目標を変える。逆にT1が他のタスクより重要なタスクであれば、T1にもう少し時間を費やし、予定した成果を得るまで続けることもある。
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