PMサプリ221:プロジェクトに所有感を持つ
「やらされ感」の対極にあるのは、「所有感」である(太田肇、同志社大学教授)
◆仕事に所有感を持たせる
◆プロジェクトはなぜ、やらされ感があるのか?
◆成功事例
◆失敗事例
◆どのようなプロジェクトや仕事でも所有感を持てる
◆ビジョン・戦略と自分の上に自分の絵を描く
「やらされ感」の対極にあるのは、「所有感」である(太田肇、同志社大学教授)
◆仕事に所有感を持たせる
◆プロジェクトはなぜ、やらされ感があるのか?
◆成功事例
◆失敗事例
◆どのようなプロジェクトや仕事でも所有感を持てる
◆ビジョン・戦略と自分の上に自分の絵を描く
私たちはつい、不安感を払拭するための構えをしますが、構えは構えでしかありません。うまくいけばそれでいいし、うまくいかなければまた、新しい構えをすればいいだけです(枡野俊明、曹洞宗徳雄山建功寺住職)
◆禅の教え
◆あるPMOマネジャーの本音
◆納期ではなく、スケジュールをみる
◆「見る」とは計画との比較
◆大工程しかないのに、納期リスクがある不思議
◆ポジティブであることの重要性
◆T型人材
専門職の道を選ぶと、一度は、T型人材になれとか、あるいはもう一歩進んで、π型人材になれといった指導を受けたことがあるのではないかと思う。
念のために説明していくと、T型人材は、一つの深い専門知識を縦軸にもち、幅広い知識を使いこなす能力を横軸に持つ人材である。πの場合には、Tに加えてもう一つの専門性を持つ。
縦軸はいいと思うが、横軸を改めて考えてみると、意外と複雑であることがわかる。たとえば、技術者の場合には、「多能工」という概念がある。もともとは、工場で、複数のツールを使うことができる技能者をいっていたが、今ではもう少し、広い意味で使われ、異なる技術が必要な業務に対応できる技術者のような意味である。
多能工の場合、キャリアにもよるが、基本的にはT型である。つまり、Tの横軸の意味は技術である。いろいろな技術を知っており、自分の専門技術との「アナロジー」、あるいは、「メタファ」を使って専門外の技術にも「それなり」の対応ができるのが、多能工である。僕たちが学生だった25年前は「システムエンジニア」はT型人材であれと教えられ、縦軸は何でもよかった。ところが、情報化が進むにつれて、T型人材でも縦軸は「情報技術」に限定されるようになってきた。
しかし、それだけではあまりにも人材としての深みがないので、情報技術以外にもう1本縦軸を持つ人材ということでπ型人材の必要性がいわれるようになってきた。
今回の戦略ノートは、Twitterのつぶやきを起点に記事を展開してみたいと思います。記事に対する意見はTwitterでお願いします。
【Twitter 2010年4月26日のつぶやき】
トラブル(事故)をマネジメントに活かしている組織は多いが、インシデント(リスクの発生)をマネジメントに活かしている組織は決して多くない。ひとつはリスクの設定ポイントに問題があるが、それにしてももったいない。マネジメントを根本的に変えるチャンスなのに。(http://bit.ly/bztDFM)
すべてのチャレンジに応じられるように、フィジカルとフィットネスを万全に準備し、しっかりとディシプリンを正した状態でいることが肝心だ(イビチャ・オシム、前サッカー全日本監督)
◆細かいパスをつないでゴールに到達するためにはディシプリンが必要
◆プロジェクトは小さい意思決定の積み重ね
◆プロジェクトマネジメントは分解して意思決定する仕組み
◆リスクの高いプロジェクトへの成功にはディシプリンが不可欠
最高のマネジメントは、プロジェクトチームの階層を越えて、情報がオープンに、しかも上下に流れるようにすることだ(ロバート・オースティン、コペンハーゲンビジネススクール教授)
【成分】
◆プロジェクトマネジメントの魔法の杖はない
◆計画よりコミュニケーションマネジメント
◆不測の問題には組織的な問題解決が必要
◆組織的問題解決には戦略的なコミュニケーションが不可欠
◆戦略的コミュニケーションの計画
◆アンカーを下します
前回は、ポジティブであるとはどういうことかについて見解を述べた。今回からポジティブなプロジェクトマネジメントを目指して、具体的な方策を探っていきたい。その中で南九州大学の島井哲志教授の
何か問題があったとしても、それは何か自分に悪いことがあって起きるのではなく、自分自身が自分のよいところを働かせれば克服できるような問題なのかもしれないと考えていきます。つまり、自分自身の責任で、目標を持って自分を育てていくことによって成長していくという、人間の持っているポジティブな働きのモデルを考えているのです。
という考えを紹介したが、しばらくの間、この考えをアンカー(錨)として使っていきたい。つまり、この考えを中心において、あっちこちにいき、また、戻ってくるということをするつもりだ。
実は、第1回を読んでいただいた心理学の専門家から、このモデルがポジティブ心理学のすべてではないですよというコメントを頂いた。勉強しながら記事を書いているので、ポジティブ心理学という分野の全体はみえていないが、まあ、それはそうだろうと見当はつく。ただし、この連載はポジティブ心理学の解説をすることを目的としているのではなく、プロジェクトマネジメントにどのように応用するかを考えることを目的としているので、とりあえず、これで行くことにする。なにごともポジティブにいこうだ。
◆組織を一部だけ変えることはできない
組織というものはひとつのシステムであり、他の部分への影響を及ぼすことなく、システムの一部だけを変えることはできない。ある人が変化を試みているにもかかわらず、属しているシステムが同じ状態であった場合には、その人はジレンマに陥ってしまう。
この南カリフォルニア大学マーシャルビジネススクールのフレーズはモーガン・マッコール博士の
「ハイ・フライヤー 次世代リーダーの育成法」(プレジデント社、2002)
の一フレーズです。この本は、マッコール博士が、リーダー育成機関として欧米No.1の評価を得るCenter for Creative Leadership(CCL)でリサーチ部門のトップだったときの調査結果を中心にまとめた本です。
人材育成、特に、リーダーの育成をする際には、この指摘は極めて本質的なものです。10年近く、プロジェクトマネジメントの普及の仕事をしてきて、改めて、マッコール博士の言葉の重さを痛感しています。
◆プロジェクトマネジャーが必要な3種類のスキル
プロジェクトマネジャーにはいろいろなスキルが必要である。先人の知恵を借り、大きく分けると、
(1)プロジェクトマネジメントのテクニカルスキル(PM技法)
(2)ヒューマンスキル(人間系スキル)
(3)コンセプチャルスキル(概念化スキル)
の3つに分けることができる。プロジェクトの規模が大きくなったり、あるいは、プロジェクトの複雑性・不確実性が増してくるにつれて、(2)や(3)のスキルの重要性が増してくると言われている。
このような話はプロジェクトマネジャーにとっては釈迦に説法かもしれないが、この議論の中で一つ盲点になっていることがある。それが今回の戦略ノートのテーマだ。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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