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2010年4月

2010年4月30日 (金)

【戦略ノート210】プロジェクトマネジャーたるもの、すべからく、戦略実行者者たるべし

◆プロジェクトにかかわる2つの戦略

この連載は「戦略ノート」という連載である。今回は趣向を変えて、なぜ、戦略ノートというタイトルにしたのかを述べる。

プロジェクトには2つの戦略がある。

(1)プロジェクトを実行する戦略
(2)プロジェクトによって実行する戦略

の2つである。

一般的には、(1)はプロジェクトマネジメントの中で決められる。つまり、プロジェクトに対して、課題が与えられたときに、その課題を解決するためのアプローチ(戦略)を考え、その戦略を計画に落とす。また、このような計画は戦略的計画と呼ばれる、いわば、プロジェクト課題に対して実効性のある計画である。

(2)はもっと根源的な話で、プロジェクトは経営戦略や事業戦略など、上位の戦略を実行するための活動であるという意味での戦略だ。言い換えると、プロジェクトで実現すべき戦略である。問題はこの戦略のマネジメントである。

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【PMスタイル考】第16話:マネジメント過剰・リーダーシップ不足

◆「顧客満足」というミラクルワード

3月15日に開催したプライベートセミナーでは、MIRの浦正樹さんをお招きしてプロジェクトガバナンスのお話をして戴きました。参加者はざっと製造業が半分、IT系が半分という感じでした。このセミナーの中で、浦さんが何人かの方に、「御社にはどんな戦略がありますか?」と質問されていました。製造業の方は、それなりに答えが答えが返ってきましたが、IT系の方は、ほとんど「顧客満足」、「品質向上」でした。

「顧客満足」という言葉はミラクルワードで、「目標はなんですか」、「戦略はなんですか」、「経営理念はなんですか」など、どんな質問の答えでも、「顧客満足」と答えておけば一見もっともらしく思えます。

ところが、「その先に何があるのですか」と尋ねてみると、「継続的な取引」とか、「顧客の抱え込み」とか、あるいは、もっと情緒的に「お客様の喜ぶ顔が見たい」といった答えが返ってきます。

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2010年4月27日 (火)

PMサプリ217:ルールの意味と目的を理解する

ルールの意味と目的を理解する、ルールが実情に合わなくなったら変更を提案する 、ルールが必要ならルール作りを率先して行う(青木高夫、本田技研工業)


【成分】
◆日本人がルールに対してとるべき行動
◆プロジェクトマネジメントに関するルールの実態
◆ルールを理解するとはどういうことか
◆ルールの目的を明確にするのはPMOの問題
◆実情に合わないルールに対しては改善の提案をする

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2010年4月25日 (日)

【補助線】シンクロニシティ

 ◆カーズナーの「次世代プロジェクトマネジャー育成」セミナー

4月23日の金曜日にMIRの浦正樹ダイレクターとプロジェクト経営に関する情報交換ミーティングを行った。その中で、前日に行われたハロルド・カーズナー博士のセミナーの内容が話題になった。

プロジェクトマネジメントの将来
~次世代プロジェクトマネジャーを育成する~

主催は、ハロルド・カーズナー博士がSenior Executive Directorを務めるInternational Institute for Learning, Inc.(IIL)の日本のブランチ。

僕がプロジェクトマネジメントに関してもっとも大きな影響を受けた人を一人上げるとすればハロルド・カーズナー博士であり、22日のセミナーにも参加したかったくらいなので、浦さんからいろいろとセミナーの内容を聞いた。

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2010年4月20日 (火)

【戦略ノート209】オーナーシップとは当事者意識である

  (PM養成マガジン2010年4月20日号より)

◆プロジェクトにおけるオーナーシップ

今ではよく知られるようになってきたが、プロジェクトマネジメントの中でオーナーシップの概念が比較的定着しているのはリスクマネジメントである。ところで、オーナーシップというのはどんな概念なのだろうか?今回の話題はこれだ。

実は、プロジェクトマネジメントの中でもうひとつ、よくオーナーシップという言葉が使われるものがある。プロジェクトオーナーシップである。こちらはなんとなくイメージが分かると思う。オーナーシップのもともとの意味である所有者に近い。たとえば、ビルのオーナーというニュアンスに近い。ビルのオーナーは、所有者として、そのビルが社会的に有効に活用され、なおかつ、収益を上げることを望む。プロジェクトのオーナーもそのプロジェクトが意義のあるものであり、かつ、会社に収益をもたらすことを期待する。

さっと読み流すと同じであるが、実はこの両者に違いがあることに気づいた人もいらっしゃると思う。ビルのオーナーは自分が儲けようとしている。ところが、プロジェクトのオーナーはいくら頑張っても直接的に自分が儲かるものでもない。

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PMサプリ216:戦略的に考え、自分なりの仮説を明らかにしたうえで行動する

戦略的に考え、自分なりの仮説を明らかにしたうえで行動することは、企業に属するビジネスマンなら皆誰しも強く求められる基本的なスキルである(平井孝志、経営コンサルタント)

【成分】

◆海図を描き続ける
◆戦略的マネジメント
◆戦略には、What、How、Why、Who の4つの要素がある
◆戦略と戦術という整理は一つの視座からのもの
◆戦略マネジメントではすべての人が自分の戦略を決める必要がある
◆戦略には不確実性がある
◆戦略策定には仮説が重要
◆プロジェクトマネジメントからみた戦略

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2010年4月13日 (火)

【ポジティブでいこう!】第1回 ポジティブであるとはどういうことか

◆ポジティブ心理学の教え

何か問題があったとしても、それは何か自分に悪いことがあって起きるのではなく、自分自身が自分のよいところを働かせれば克服できるような問題なのかもしれないと考えていきます。つまり、自分自身の責任で、目標を持って自分を育てていくことによって成長していくという、人間の持っているポジティブな働きのモデルを考えているのです。

この文章は、ポジティブ心理学の研究者である南九州大学の島井哲志教授のポジティブ心理学の説明の一部である。

これまでプロジェクトマネジメントについて、メルマガ、雑誌、書籍などで、いろいろな意見を発信してきたが、どうしてもうまく伝わらない話が「プロジェクトをポジティブな発想でマネジメント」するという話だ。

プロジェクトで問題が生じたときに、ほとんどのケースは、自分自身(自責)か、プロジェクトメンバー、あるいはステークホルダ(他責)に悪い点があると考え、その悪い点を改善することによって問題を解決しようと考える。例えば、プロジェクトのスケジュールが遅れてきたとしよう。そのときにその原因を調査し、取り除く。

そうではなくて、自分やプロジェクトメンバーには、自分たちがよいところを働かせれば解決できる問題だと考えて、対応していく。つまり、頑張れば、スケジュールを挽回できると考える。

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【補助線】グローバルスタンダードの幻想

◆取り残されるという「勝手な思い込み」

我々のもう一つの失敗はグローバルスタンダードに従わないと世界から取り残されるのではないかという、勝手な思い込みしてしまったことである。これは大変な勘違いであった。文化ほど独自なものはない。文化は弱さの原因でもあるが、他の人のまねできない強さ、つまり、独自能力の原因でもある。

このフレーズは、加護野忠男先生の「経営の精神」に出てくるフレーズである。この議論で最も念頭に置かれているのは、SOX法による内部統制である。SOXに限らず、一般的な議論だと思うが、この議論は難しい議論である。何が難しいかというと、競争のルールをどう考えるかだ。

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2010年4月12日 (月)

PMサプリ215:些事を徹底的に実行する精神が高い業績を生む

些細なことにまできっちりと実行するという精神が高い業績に結びついている(加護野忠男、神戸大学経営学大学院教授)

【成分】
◆些事にこだわる
◆成果へのこだわりが、些事を軽視する
◆D評価のプロジェクトマネジャー氏の行動
◆プロセス遵守はルールを増やしてもできない~些事にこだわれ

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2010年4月 7日 (水)

【PMスタイル考】第15話:目的と手段

◆組織の中の目的と手段の関係は「入れ子」になっている

「目的」と「手段」をはき違えないというのは、ビジネスマンであれば一度は言われたことがあるのではないかと思います。個人を中心にみれば、この議論はそんなに難しい議論ではありません。しかし、組織やチームの中で考えると、結構、複雑な議論になることがあります。

プロジェクトで新商品を開発するとしましょう。プロジェクトにとっては、商品を開発することは目的です。そのための手段として、技術やプロセス、あるいはスキルといったものがあります。

ところがマーケティング部門にとっては、商品を開発すること自体は目的ではありません。市場シェアを拡大するとか、競合に勝つといった目的があり、商品を開発することはそのための手段に過ぎません。

経営にとっても同じことです。顧客の役に立つ、社会の役に立つといったことが目的かもしれませんし、利益を上げて、従業員に報いる、株主に配当をするといったことが目的かもしれません。その手段として、市場シェアを拡大することや、競合に勝つといったことがあります。

このように組織の中では、現場の目的は事業部門の手段、事業部門の目的は経営の手段というように、目的と手段が入れ子になっていることがよくあります。これが目的と手段を考える難しさの原因です。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。